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「ただいま…」
若干疲れ気味に帰宅した。
「あ、おかえり、ユーリ!」
ひょこっと顔を出したのは同居人のフレンとラピード。
癒しだ…
と思った。
ユーリはその顔を見ただけで疲れも多少吹っ飛んだように優しい笑顔を返した。
靴を脱いでフレンに近付く。
「あんまり遅いから心配した」
「ん、わり。」
ちょっと最後に色々あって…
とは言わなかった。
癒しを求めるようにフレンの体に手を伸ばす。
同じ男なのに不思議なことだがフレンには人を癒す能力があるんじゃないかと思うほど安心する。
ギュッと抱きしめて深呼吸。
帰り際面倒なことになったが小一時間ほど説得して納得してもらった。
擦り減った精神力もフレンで回復だ。
………。よし。
また普段通り何事もなく離れて水でも飲もうかと台所へ歩き出す。
その瞬間にフレンの表情が少し曇っていることに気が付いた。
「…フレン?どうかしたか?」
「…ユーリ今日学校の友達と食べて来たんだよね…?」
「ん?あぁそうだけど?」
「……香水の匂い…」
「え、あ、あぁ、その場に女も二人居たんだ。」
「……そう…」
ただその場にいるというだけでこんなに匂いが移るものだろうか。
どこか悲しそうな表情をするフレンにユーリはしばし首を傾げたが
ふと何かに気が付いたようにニヤリと微笑んだ。
「もしかしてヤキモチやいてくれてる?」
「え?……なっそ、そんなんじゃないよっ!」
カァッと赤くなって否定する。
「違うの?」
「ち、ちょっと寂しいと思っただけっ」
ユーリに彼女が出来たらきっと今まで通りではいられない。
自分に構う時間なんてなくなるだろうし一緒に住んでいても顔を合わせない日があるかもしれない。
それを寂しいと思わずにいられるだろうか。
今まであんなに一緒に居たのに。
そんなフレンの気持ちを察してユーリは苦笑する。
そんな心配必要ないのに…。
だって俺はお前だけが大切。
はっきり言って他はどうでもいい。
昔からお前は俺の太陽。
お前がいないと俺は輝けない、何よりも大事な存在。
言うなればそう、自分よりも。
言いたい…言いたい……
お前を誰にも渡したくないから言葉で縛りたい。
お前は優しいから、ちゃんと返事をするまで誰のものにもならないだろう。
俺が言えば頭の中は俺のことしか考えられなくなるだろう。
言いたい…言いたい……
言葉で縛りたい…。
「やいてくれたら嬉しいのに…」
思いっ切り顔を近付けて低い声で耳元に囁く。
その声の振動を耳で感じてフレンがブルッと体を震わせる。
何かの間違いだとでも言うように首を振ってユーリに問う。
「う、嬉しい…?」
そんなわけないじゃないか。
僕は男でただ距離が近いというだけの存在。
妬かれて嬉しいなんて思うはずがない。
幼なじみに甘えているこの幼さに呆れられることはあっても…。
「嬉しい…」
「な、なんで…」
ギュッと目をつむって体を震わせる。
いつもと何かが違うユーリの声。
わかりやすく言えば色気がある。
そんな風に感じてしまうなんて友人としてどうなんだとフレンはいたたまれなくなった。
「嬉しい…フレンが妬いてくれたら嬉しい…俺は…」
お前のことが好きだから。
低い低い声で心に届くように言ってやった。
フレンの体は時間が止まったようにピタリと動きを止めて呆然と座り込んでいる。
想いは伝わったようでユーリは動かないフレンの唇をそっと奪った。
それでも何が起こったのかわかっていないフレンにもう一度囁いた。
「愛してる」と。
漸くお話が本題へ…ww
この連載はユーリ→フレン色が強いです。
フレンは鈍感ちゃんなのでまだ自分の気持ちには全く気付いてないです。
保存のときにちょっと失敗して絵のど真ん中に変な点が…。
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ダブルデートという名の2対2の合コンが始まった。
自己紹介から始まり適当に料理をつまみながら談笑する。
相手の女性は普通に可愛い印象でその辺の男ならコロッといってしまうんだろうなぁ
なんて思いながらユーリはオレンジジュースを口にする。
そんな外見の可愛さではなく内面の可愛さというやつを知っているユーリは
そんなものに騙されるわけがないのだが。
しかしこの目の前の女性、ユーリの事情を知ると本気を出したようで
あの手この手で悩殺しようとしてくる。
一歩引いた目で見ていると色々見えて面白い。
そんな作戦には終ぞ引っ掛からなかったユーリに焦りをみせる女性。
しかし無情にも時は刻々と過ぎいよいよ帰ろうかという時間になった。
「ユーリ、もう遅いからそれぞれ彼女送ってってやろうぜ!」
「彼女って…」
「それ賛成!ね、ねっ!」
「…う、うん…」
もう一人の女性は迷惑そうだったがこの友人の気迫におされて断ることが出来なかった。
もちろん迷惑そうなのがユーリの友人が狙っている女性、
賛成しているのはユーリを狙っている女性だ。
ユーリもこんな遅い時間に女一人で帰すのもどうかと思うので断らなかった。
友人らとわかれてユーリは女性と二人夜道を歩く。
絶えないように喋り続ける女性にユーリは特に目も合わさず正面を向いて歩いていた。
別に嫌っているからではなくそれはユーリのスタイルだったのだが女性はそうは思わなかったようで。
突然ぐっとユーリの服の袖を掴んで立ち止まった。
「うぉっな、なんだよ!?」
急に引っ張られてよろける。
思わず振り返る。
「…さっきから…目も合わせてくれないのね…」
女性は俯いて震えている。
「…いや、それは…」
「そんなに私魅力ないですか!?」
バッと上げた顔、目から一筋涙が頬を伝う。
「…んなことねぇと思うけど…」
めんどせぇことになった…
ユーリは心の中でうんざりした。
ボロボロと涙を流し続ける女性を放っておくわけにもいかず適当に宥める。
「あ~…いや、魅力あると…思うけど?」
俺には通用しなかっただけで。
「顔も可愛いと思うし…」
俺にはあんたより可愛いと思う人がいただけで。
「本当!?」
女性の表情がパッと明るくなる。
「あぁ。」
だからさっさと歩き出してくれ。
帰りたい。
そう言おうと口を開きかけたその時。
何を思ったか女性はユーリの胸目掛けて抱き着いてきた。
「…ちょ…」
「嬉しいっじゃあ私を彼女にして下さい!」
「………」
本気で勘弁して下さい…
ユーリは心の中で途方に暮れた。
この連載のユーリは基本フレン以外はどうでもいいようです。
友人の案内で目的地であるファミレスまでやって来たユーリ。
「よっしゃ!じゃあ入ろうぜ!もう来てるかもしれねぇ!お前が遅刻してくるから…」
「はいはい、悪かったよ」
「これで俺が彼女とうまくいかなかったら飯代請求するからな」
「は!?いやちょっと…」
「待ってて俺のハニー!」
友人らはウキウキしながら店に足を踏み入れる。
その後に続くユーリは入り口で少し立ち止まった。
フレンは今日そんなに遅くならないと言っていた。
耳を垂れながら言ったフレンの「早く帰ってきてね」という言葉を思い出して
友人には悪いが出来るだけ早く帰ろうとユーリは思った。
店に入るとそこに既に女性陣が来ていた。
「わっお待たせしちゃってすいませんっ」
友人が調子良く言う。
「え~、別にいいんですよ~、あ、それよりぃ~」
ちらりと女子の視線がユーリに向けられる。
「あ!ちゃんと約束通り連れてきましたよっ」
「わぁ~生で見るとやっぱりカッコイイねぇ!」
「そうそう、今まで写真くらいしか見たことなかったから」
頬を赤く染め合う女子らの話を聞いてユーリが首を傾げる。
「写真…?」
女子らは慌ててごまかす。
「あ、あの…卒業アルバムとか、ね!」
こくこくと頷く女性陣にユーリは「ふ~ん…」と返すに留めた。
まさか自分のブロマイドが少なからず出回っているなんて思いもしない。
「あ、今度は彼も連れて来てほしいなぁ~」
ちらりと男性を見る企んだ瞳。
上目遣いのそれは彼女の甘える時の必殺テクだろうか。
友人はデレッとした表情で「え、誰だれ?」と聞き返す。
そう言われる時点で自分は意識されていないと気付いた方がいい。
「ほら、いつもユーリくんと一緒にいる…」
「王子様みたいな子!」
ぴくりとユーリが反応する。
「あぁ~フレンかぁ…フレンならユーリから…」
「ぜってぇダメ。」
言葉が被るように拒否した。
店員が置いて行った水を飲み干して、若干荒々しく机に置いた。
「…ユーリさん、大事な幼なじみなのはわかるけど…」
「あいつ呼ぶっつーなら俺帰るぜ。んであいつも来させない。」
「えぇーっ何で!?」
女性らもその頑なな態度に頭上に「?」を飛ばす。
「はは、やっぱそういう反応になるよなぁ、
俺はもう結構慣れちまったけどこいつ幼なじみ溺愛しててさ、大切でしょうがねぇって感じなの。」
「へぇ~」
気のせいか女性らの目が一層輝きを増したような気がする。
「だからさ、頑張ってこいつ落としてね!」
「は?」
ユーリが友人を何言ってるんだという顔で見詰める。
言われた彼女の友人は「じゃあ本気出しちゃおっかな~」などと頬を赤らめている。
「そろそろさ、幼なじみ卒業しろよ。彼女作ってな!」
バシッと肩を叩かれて話が違う方向に流れているのを感じたが、
それでもユーリはただご飯を食べに来たという認識でその場にいた。
居酒屋と間違えてイラストを描き始めてしまったので色々おかしなことに…
筋肉痛がきた…っ!!
久しぶりにカレーとか作ったら手がたまねぎ臭いよ…
手荒れが悪化せんでよかった。
「フレン」
「ユーリ!まったく君は今日も遅刻して!朝あんなに言ったのに!」
話し掛けるや否や怒りをかってしまった。
がユーリは何も怒られに話かけたのではない。
「あぁ悪かった。ってかそうじゃなくてな、今日俺遅くなるから、晩飯いらねぇわ。」
「え…どこか行くの?」
急に心細そうに尋ねるフレンを見て何だか抱きしめたくなる衝動が沸く。
頭に垂れ下がった耳が見える。
捨て犬に見詰められているような気分だ。
「あぁちょっとな、奢ってくれるっつーから行ってくる。」
「…そう…早く帰ってきてね」
「……お前…」
「?…ってぅわっ!」
ぎゅうーっと思い切り抱きしめてやった。
可愛い可愛い…可愛すぎるだろこいつ…っ!
「ゆ、ユーリ…?」
フレンがどうしたんだと優しく背中を叩く。
パッと離れて何事もなかったような顔で言った。
「出来るだけ早く帰るな。」
「…うん…」
首を傾げながらもフレンは頷いた。
これ以上はやばいと思いユーリはフレンから離れて席に戻った。
「相変わらずラブラブだなぁおたくら…」
ユーリの席の周りで屯していた友人らが若干白い目でユーリを見る。
「ラブラブだったら嬉しいんだけどな。」
「男の幼なじみなんかに心奪われてないでお前もそろそろ彼女作っちまえば?
より取り見取りなんだからよ。せっかくだから今日彼女ゲット!しちゃえよ」
「別にいらねぇってば。今日は飯食いに行くだけだから。」
「変わった奴だなぁ~」
「貧乏人に恋愛してる暇なんてねぇんだよ」
「ふ~ん…」
一応納得していた友人らだが何か企むようにニヤリと笑ったことに気が付かなかったのは
ユーリにとって一生の不覚だった。
イラストにはフレンに垂れ下がった犬耳をつけるか迷いましたが
ユーリさんにだけ見えてればいいという解釈でつけませんでしたwww
ってことで今日は奈良行って来ました~~~!!!
京都に続き近場探索第2弾です(笑)
とりあえず薬師寺まで電車→歩き→唐招提寺(見ただけ)→歩き→古墳(何とか天皇の)立ち寄る→電車→平城京跡→延々歩き→探索しまくってものすごい日に焼ける。→電車と歩き→4時ごろ漸くご飯→電車→奈良公園に食い倒れ→歩き→鹿と戯れる予定が時間が遅くなってしまって暗くて写真に写せない→歩き→春日大社→歩きとバスと電車→地元戻って晩御飯代わりのさっぱりスイーツ堪能。
というわけで。ほぼ歩きっぱなしでした…っ!!!
ものすごい日差し強くて腕とか襟元とかこれは最早焼けどって程赤くなってます…;;
しかも顔面焼けたーーまた…前にもこんなことあったのに全く学習しません。
友人の万歩計によると3万歩歩いたことになっていたがそんなには歩いてないだろうと
やっぱり半信半疑。
特に平城京跡は無駄に広くてあそこでものすごい体力使いました;;
遅いお昼に美味しいと噂の釜飯を食べに行きました。
これはうまい!!!!一口食べて虜になりました。全員何一つ残さず完食。
もう足腰くたくたです。今日はぐっすり眠れるといいなぁ。
おはよう~、
あ、おはよ!
よっ今日もアウトだな!
ニヒヒと笑いながら肩を叩かれる。
ユーリは「うっせぇ」とその手を跳ね退けた。
おはようと挨拶はされるが今もう2時間目が終わりを告げるチャイムが鳴ったところだ。
重役出勤なユーリは廊下を歩いているだけで次々に声が掛けられる。
ガラリと教室の扉を開けると怒り心頭の幼なじみと目が合った。
席を立ち俺に何か文句でも言おうと口を開いたその瞬間だ。
「ユーリ!今日はもうサボりかと思ってたぜ~」
それを遮るようにユーリの周りに友人が群がった。
ユーリはモテる。
それは老若男女問わず。
友情であったり愛情であったり、その好意は人それぞれだが彼の周りにはよく人が集まった。
別に本人といえば愛想を振り撒いているわけではなく適当に対応しているだけのことなのだが。
「サボると口利いてもらえなくなる」
「あぁ~怖~い嫁がいるもんなぁ」
ちらりと全員で見られてフレンは居心地悪げに席についた。
「感謝しろよ~雷落ちなかったのは俺らのおかげ」
「ばーっか、逆だよ。」
「は?」
ユーリは少し残念そうな顔をして席に向かって歩き出す。
ユーリの席は窓際一番後ろ。
フレンの左2個斜め後ろだ。
「何お前怒られたかったの?」
「マゾ?」
「…殴るぞ…」
んなわけねぇだろと睨みつける。
鞄を適当に机に置いて席につく。
その動作を見終えてから友人の一人がユーリの前の席に腰掛けて話を始めた。
「なぁなぁ、とりあえず嫁からの雷を一時回避さしてやったわけだしさ、
ちょっと頼みたいことあんだけど…」
「頼み?何」
なんだかんだ言いつつこういう時は聞いてくれるのがユーリだった。
とりあえず聞いてもらえることに安心して友人が様子を伺うように言った。
「お前今日暇?」
「今日か?あぁ、今日はバイトもねぇし」
「マジで!いや~良かった!
相手の女子がダブルデートじゃなきゃ嫌とか言い出すんでどうしようかと思ってたんだよなぁ!」
「……おい…」
「今日の18時、まぁ場所はファミレスであんま盛り上がらねぇんだけどな」
「ちょっと待てってばっ勝手に話進めんなよっ」
どんどん進んでいく話にユーリは堪らず待ったをかける。
「何の話してんだっ」
「あぁ…実は今俺には口説いてる女がいてな?
その相手が二人きりは嫌だからダブルデートならいいって言ってきたんだよ」
「へぇ…で?」
「いや、だから…その相手の友達がな、お前ご指名なわけよ。
ってか相手華のウ゛ェス女だぜっ俺、感謝してもらいたいくらいだぜ!?」
「わりぃけど行かねぇから。」
「えーっお前、馬鹿なんじゃねーの!?ウ゛ェス女だぜウ゛ェス女!」
「ウ゛ェス女にもブラ工にも興味ねぇ。行かないもんは行かない。」
「アホッブラ工には興味ねぇよ、あそこ男子高だろ…てか頼むよ…
一ヶ月毎日口説いて漸く条件付きでOK出たんだからよぉっ」
「だからってなんで俺が…」
「お前が女に困ってねぇのは知ってるけどさぁ、人助けだと思って付き合ってくれよ、飯代奢るから!」
「え、奢り…?」
ぴくりと反応する。
その反応を見て友人はユーリ説得に全身全霊の力を注いだ。
「お前は居てくれるだけでいいんだよ、座って食ってるだけでいい!しかもタダ!」
「………ホントに座ってるだけで良いんだよな…?」
奢り、タダという言葉に貧乏まっしぐらのユーリは非常に弱かった。
友人はガッツポーズを作りユーリを巻き込んで喜んだ。
その他の友人はそれを羨ましそうに見て悔しがっていた。
書くの忘れてましたがこの話にはオリキャラっぽい友人たちが多数出現します。
顔出し、名前出しなしの方向で進めていきますので
友人のことを「友人の友人」といったちょっとわかりにくい表記の仕方してる部分ありますが
その辺はなんとか頑張ってご理解いただけると…(笑)
これからの連載にはちょくちょく「友人」が登場し、その度に同じようなことになってますので
よろしくお願いいたします。
嫁は公認。
明日は奈良へ行ってきます!!
僕には同い年の幼なじみがいる。
現在彼と二人暮らし。
と、いうのは実は僕たちは孤児で孤児院が用意したアパートに自立目的で住ませて貰っているのだ。
勿論お互いバイトをして生活費は自分達で稼いでいる。
贅沢は大敵。
貧乏らしい最低限の生活で二人は今日も共に朝を迎える。
そしてフレンの朝は決まってこの幼なじみをたたき起こすところから始まる。
「ユーリ!もう遅刻するよっいい加減起きてくれ!」
「ん~…あと5分…」
「もう5分前にもそれ聞いたよっ」
「…ん…昨日バイト忙しくて…疲れてんだよ…」
「そんなことで休むのか!?学費出してくれてる先生たちに申し訳たたないよっ」
「………。」
そう言うとその言葉は彼の弱点なようで。のそのそと起き上がる。
「さっ早く顔洗って!」
「……ん…フレン…」
「何?」
目を擦りながらユーリがフレンを呼ぶ。
何か言いたいのかと顔を近付ける。
「おはよ」
ちゅっ
頬にキス。
「………。おはよ。早く起きて顔洗って着替えてくれ。お弁当置いてあるから忘れないようにね」
フレンはパッと離れて鞄を持ってドアに手をかける。
「今日も遅刻したらもう絶っっっ対宿題見せてやらないからな!」
その絶対の言い方に何度この条件を出しても見せてしまっているという
自分の彼に対しての甘さが浮き彫りになっている。
フレンはユーリを残して家を出る。
残されたユーリは布団の上に座って大きく欠伸をする。
「……無反応…」
一言呟いてからよっと声を出して立ち上がった。
部屋に二人きり。
昨日とは違い、またいつもともちょっと違うピンク色の空気が流れる。
フレンがベッドの枕にもたれるように座りそれに抱き着くようにユーリが寝転んでいた。
顔はフレンの腹部に埋めて体温を思いっきり感じる。
言葉にするなら「べったり」がピッタリだ。
フレンの手には昨日の林檎飴。
「…まだ食ってなかったのか?」
フレンはふんわり幸せそうに笑った。
「君にはわからないかもね、昨日これをもらった僕がどんなに嬉しかったか…」
「へぇ、そんなに嬉しかったのか?」
その時の気持ちを思い出してフレンは切なく笑った。
「ねぇユーリ、エステリーゼ様のことは本当にいいの…?」
「いいも何もなんもねぇから。お前が疑ってるだけだろ?」
「でも…僕が言うことじゃないと思うけどエステリーゼ様は君のこと…」
「たとえそうだとしてもな、俺はお前が好きだからその気持ちには答えてやれねぇ。
愛とか恋とかってやつはそういうもんだろ?」
「う、うん…」
何気に恥ずかしいことを言われてしまった…。
フレンは顔を真っ赤にして顔を逸らす。
それを見たユーリはニヤリと笑って唇をペロリと舐めた。
「フーレンー」
首に腕を絡め誘うような声を出す。
「…ユー…んっ」
フレンの言葉はキスで塞ぐ。
甘い甘い口づけを交わし息苦しくなったころに一度離して角度を変えてもう一度。
何度も何度も何度も。
次第に力が抜けてしまったフレンがかくりとバランスを崩す。
腕が当たってフレンの隣に座っていたぬいぐるみが地面に落ちた。
「…それ捨てちまえよ…」
ユーリが不機嫌そうに言う。
「なんで…せっかくレイウ゛ンさんがくれたものなのに…」
「…お前がそういうの大事にしてんのムカつく。」
噛み付くようにキスをした。
「ん…ぅん…む、ムカつくって何…どう言われようと捨てる気はないよ」
少しムッとしたようにフレンが言うとユーリもカチンと頭に血が上る。
「かっわいくねぇな!素直にはいって言うこと聞きゃあ丸く収まんだろがっ」
「だからそれは出来ないって言ってる!」
「なんで出来ねぇんだよ前から思ってたけどお前おっさんに気があんじゃねーの!?」
「なっそんなわけないだろ!憧れの人なだけだっ前から思ってたってなんだよっ」
口論は次第にヒートアップしていく。
「今日もなんか膝枕とかしてたしなっ疑われてもしょうがないんじゃねぇ!?」
「酷いっあれは成り行きでそうなっただけだろ!」
「成り行きであんなことなるかっつのっ」
「君とはいつもあんな感じになるじゃないかっ」
「俺はいいんだよ俺はっでもおっさんはダメだろっ!ってか俺以外はダメだろっ」
「ダメじゃないっ意味わかんないっ」
「なんで意味わかんねぇんだよ鈍感にも程があんだろっ!」
「どっ…なっ」
フレンは怒りで真っ赤な顔のまま口をパクパクさせている。
「もういいっムカつく!」
ユーリは立ち上がって落ちているぬいぐるみを拾い部屋を出ようとする。
「ちょっどこ行くんだよっ」
「…諸悪の根源を成敗してくんだよっ」
バタンッと扉は閉められた。
そのあとレイウ゛ンの部屋に殴り込みに行ったユーリを必死にフレンが止めるのだが
そんなことがあってもフレンはぬいぐるみを捨てようとはせず
今でも度々喧嘩の議題に上るのだった。
その度巻き込まれるレイウ゛ンは勘弁してくれとフレンに訴える。
「フレンちゃんっおっさんが悪かった!
形残るもの渡しちゃって悪かったからっ頼むからそれ捨てて!?」
「いいえっここまできたら引き下がれませんっ僕は絶対負けませんから!」
すでにおっさんが上げたという事実ははどうでもいいようでただの意地の張り合いになっていた。
しかしそろそろ本気で暗殺されかねないので夜中にこっそり奪い取ってやろうかとか考えたが
それを見つかると余計青年に殺されそうなのでどうしたもんかと頭を悩ませる日々が続くのだった。
「おいこらおっさん!!!」
「ひぃっ今度は何よ!」
「ユーリやめないかっ!」
ヤキモチやきの彼氏がいる美人には手を出すな。
レイウ゛ンは心にその言葉を深く刻み込んだのだった。
お疲れ様です。最終話です。
次回からは現パロになります。
「よぉ、おっさん!さっきは悪かったな!」
キラキラとした笑みを浮かべながら左手を軽く上げてこれまた軽い謝罪をされた。
ダングレストに戻った一行は朝出た宿で体を休めていた。
部屋に戻ろうとしていたレイウ゛ンはその手前の廊下でユーリに声をかけられたのだ。
「…機嫌治ったみたいね…」
いろいろ疲れてしまったレイウ゛ンはうんざりしたように返した。
「ん~おっさんには感謝しねぇといけねぇなぁと思ってな」
「…?」
さっきフレンに聞いたんだよ。
「俺、お前はそういう気持ち一生気付かないんじゃないかって思ったぜ。
一生片想いでいる覚悟してたんだけど…」
ユーリが言うとフレンは頬を紅潮させた。
「あ…それは…レイウ゛ンさんが…」
「おっさん?なんでおっさんが出てくんだよ」
またつまらなそうにユーリが聞く。
「ほら…祭の日に一緒に居ただろ?
あの時…僕はユーリのこと好きなんだって…教えて下さった…」
「…あの時か…」
二人で祭を楽しんで来たことはムカつくがそういう理由なら許してやらんでもない…百歩譲って。
「んでそう言われたものの俺には気持ちを隠そうと思ったわけだな?」
「だっ…て…僕はあの時ユーリとエステリーゼ様のあんな場面を見てしまって…
失恋してたわけだし…」
「ん?あれ、お前まさかあの夜「失恋した」って言ったの…まさか相手俺か…?」
こくりと頷くフレンを見てユーリは思わず自分の口を手で押さえた。
やばい、嬉しすぎる…
あの時なんか元気なかったり気付かれまいと強がったり、
本人はうまくごまかせていると信じていたであろう挙動の数々は見事にばれていたわけだが、
それが全てユーリが原因だと知ればフレンを溺愛している彼が嬉しくないわけがない。
「…お前…可愛すぎ…」
その後何度もキスをしてさぁそのあとも…と盛り上がったのだが
そこは真っ赤になったフレンに頑なに拒まれた。
まぁ初めてがこんな森の中ってのもエロすぎるっつーかなんつーか、
それでもいいと俺は思ったがやっぱりシャワーとかすぐ浴びれる環境のがいいかな、
とか物凄く冷静にユーリは分析していた。
真顔で。
「ってわけでな、まさかおっさんがフレンに言ってくれてるとは思わなかった!わりぃ!」
「ん、いや、別にいいんだけどね」
レイウ゛ンは自分に向けられる満面の笑みを見ながら何か知れない恐怖と戦っていた。
第六感というやつがやたら反応する。
このまま何も起こりませんように…
レイウ゛ンは手を合わせて祈りながら部屋に戻っていった。
明日で最終回です。
