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2


昔騎士団長に初めて謁見した時のこと。
初めてのことで緊張していた僕はちゃんと報告出来たのかも怪しい記憶しかないのだが
「わかった」という短い返事と「下がれ」という簡潔な命令だけ下されたのはよく覚えている。
その目は常に手に持った資料を見詰めていてこちらなど見向きもせず、
最後までフレンの姿を映すことはなかった。
そんな出会いだったのに、フレンは部屋を出た後高鳴る心臓を抑えるのに必死だった。



しばらく黙り込んでいた親友はフレンの仕事が終わったらしいのを見計らって
「あ~…」とか話したそうな声を出した。
「なんだい?君が話すタイミングを伺うなんて珍しいね」
「…俺がいつも仕事邪魔してるみたいに言うな…」
ムスッと拗ねたその表情からも何か緊張しているという雰囲気がある。
「なんか怖いね、悪い知らせかな」
「知らね…」
ユーリは顔を逸らして端的にそう答えた。
机の上を片付けてユーリが座るソファーに腰かけた。
「本当に何だい?そろそろ話してくれないと本気で怖いんだけど…」
ユーリは目を逸らしたまま一点を見詰めていた。
その目線を辿るとそこにあったものは固い石の欠片。
それはユーリがザウデでいなくなって捜しに行ったとき見付けたもので
つい拾って持って帰ってしまったものだ。
以前ユーリに「なんだ?これ」と何気なく聞かれ正直に答えてしまった。
その時ユーリは酷く辛そうな顔をしていた。

それが「鎧の欠片」だと答えたとき。

それが誰の鎧の欠片かなんて聞かなくてもわかってしまった親友は
「あいつのことはもう忘れろ」と震えた声で言った。


「…まだ捨ててなかったのか…」
「……ごめん……」
ユーリはその欠片から目を離さない。
「…頭ではわかってるんだ…あの人は謀反を起こし世界を危険に曝した…でも……」
「フレン、あいつ間違ってた。」
「わかってる…っ頭ではわかってるけど…心がそれを認めないんだ…っ!僕はあの人を…」
「フレン」
目を逸らして取り乱すようにフレンが叫ぶと
それを聞くのを拒むかのようにユーリが名前を呼んで言葉を遮った。
「…っ………。」
ユーリはまっすぐフレンを見る。
フレンはユーリから目を逸らした。
「…フレン…もう忘れろよ…」
「……。」
「…忘れてくれ………俺が…


 俺がずっとお前の傍に居るから…」


「………」
目を見開いて、そして逸らしていた目でユーリを見た。
彼の目は見たことないくらい真剣だった。





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ただいま~~です。
長旅から帰ってまいりました。
年末は田舎で寝まくり、
年始は友人宅でずっと起きていた
そんな年越しでした(笑)
明日からまた普通の日々が始まるんだなぁ…
やっぱり休みは短い。
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1



憧れた人がいた。

本当にすごい人だと思っていたし、雲の上のようなそんな存在だった。
彼の理想は自分の理想で、彼が目指す世界は自分の望むものだった。
近くに居たいと、そう思った。
彼の傍で支えていきたいと、そう思った。
あの人の謀反を目の当たりにしたとき、
信じられなくて、夢であったならとどれだけ祈ったかわからない。
あの人と戦わなくてはならなくなったとき、
それでもあの人に生きていてほしいと、そればかり考えていた。
好きだった。
僕はアレクセイを愛していた。

彼がいなくなって、ぽっかり空いた騎士団の団長の椅子。
自分がそれの代理を任された。
彼のことを忘れようと必死で任務をこなした。
だがやはり付き纏うのはいつもあの人のことばかりで…
忘れるなんて不可能なのだ。
騎士団にいる限り、

僕がフレン・シーフォでいる限り。



「フレン、最近働きすぎじゃねぇか?」
何度言っても窓から侵入してくる幼なじみに小言を言うのももう諦めた。
彼は今日も窓から颯爽と現れ部屋で寛いでいる。
ギルドの仕事の合間を縫って下町に戻って来てはよくここにも顔を見せにきてくれた。
「そんなことないよ。ただ今日はやらなきゃいけないことがたくさんあるんだ。
 手を止められなくて悪いね…」
持っていた書類から少し目を外してユーリの顔を申し訳なさそうに見詰めた。
「…いや…別にそういう意味で言ってんじゃねぇけどさ…」
ユーリは頭をガリガリと掻いて
「それじゃまるで構って貰えないことに拗ねてるみたいじゃねぇか」とぽつりと呟いた。
紅茶も場所なんか当たり前のように知っていて、自分でいれるというセルフサービスだ。
「そんなことはどうでもいいんだよ、最近休んでねぇだろ、痩せた気がするぞ」
「そうかな?変わらないと思うけど…」
嘘だ。
ベルトの穴は一つ狭くなった。
「ぜってぇ痩せてる!前会った時より確実に!」
「…心配してくれるのは嬉しいけど今は休めない。後でちゃんと纏まった休みもらうつもりだから…」
「本当だろうな…?」
「嘘付いてどうするのさ」
苦笑を漏らして再び手の資料へと視線を戻した。
今は休めない。
魔導器のことや騎士団再編の大事な時だ。
今は見習い騎士だってろくに休めない現状だ。
皆がそれぞれ出来ることを頑張っている。
とても休みなんて取る余裕はない。
ユーリの言葉は有り難く受け取って頭は再び仕事に戻した。




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シリアスです。多分。
3


「うぅ…体がだるい…」
蕎麦も食べてお楽しみも終わった元旦。
御来光もベッドの中で二人素っ裸でカーテンごしにうすらんでいくのを感じるだけという
情緒も何もあったもんじゃない感じで迎えた。
「お前さ、その台詞結構エロい」
「な、何がだよ!?」
「いや、自然と思い出すことになんじゃん、誘ってんのかと勘違いすんぞ」
昨日のボーナスのプリンを使ったプレイはなかなかマニアックで良かったなぁ…
うっかり思い出してしまったじゃないか。
「べっ別に誘ってなんかないよっ」
顔を真っ赤にして首を振る。
「なんだよ、誘ってくれねぇの?」
ユーリが身を乗り出してフレンの頬にキスをする。
「ひゃっな、何するんだよっ」
「可愛い可愛い、やっぱこうじゃなくちゃなぁ」
ユーリは昨日の自分ばかりからかわれたことが今だに引っ掛かっているらしい。
「ん、フレン俺のこと好きか?」
「なっなんで今…っ」
「好きか?言ってみ?」
「昨日言っただろ!?」
「今聞きたい」
フレンは普段なら恥ずかしがらずに言えるようなことも雰囲気によっては態度を180度変える。
この恥ずかしがってんのが可愛いんだよなぁ
ユーリはしみじみ思う。
「…ゆ、ユーリは…?」
「ん?」
「ユーリは…?昨日だって結局僕だけしか言ってない…」
「聞きたいか?昨日あんなに体に教え込んだのに…」
「こ、言葉にしてくれ…っ」
顔を真っ赤にして思い出させるなと睨まれる。
「好きだぜ、すげぇ好きだ、フレン」
ユーリは額、瞼、鼻、頬とキスを落としていく。
フレンは目をギュッと瞑って堪えている。
こういうムードの時は完全に二人の優劣がはっきりする。
「愛してるよ、フレン。…ほら、お前も言えよ、俺ばっかり好きみてぇじゃん」
と拗ねたように言うとフレンは「う…」と言葉を詰まらせた。
「…好きだよ…」
ぽつり恥ずかしそうに呟く。
その声を聞いてしまったらもう抑えるのは無理だった。
「…っフレン…!!」
「ゆ、うわっ」
ユーリは思いっきりフレンに抱き着き、キスをして、

そしてそのまま…。


また更にだるくなった体を気遣って、
ユーリが午後になって漸く雑煮を作り始める幸せな元日だった。




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あけましておめでとうございますーーーっ!!!
今年も皆様にとって良い年でありますように。
そして今後ともよろしくお願いいたします!!!

正月早々肌色の多い絵ですみません。
あまり反省もしてませんが(笑)

明日からはアレフレ風味シリアスユリフレです。
2


「あれは浮気じゃねぇからな!お前だって見てただろ」
すっかり暗くなってしまった帰り道を行く。
ユーリは先程のことを弁解し続けている。
「見てたよ、ユーリが大事そうに紙をポケットに入れるのを」
「あんなんなんか捨てらんねぇだろ!?」
「…連絡取ったら浮気だからな」
「心配ねぇ店長に押し付けてきた」
親指を上に立ててビジッとフレンにどうだと向けた。
フレンは苦笑を漏らす。
「いいの?美人だったのに」
「お前には負ける」
「変わってるよね、ユーリは」
ふふっと笑うフレンだがユーリは許してもらえたことに安堵するが内心は不安でもあった。
この恋人はイマイチ自分の魅力というものを理解していない。
恋人を狙う輩から守るのも楽ではない。

というかさっきフレンは笑って許してくれたがこれがもし逆の立場ならそうは出来なかっただろう。
俺は心が狭いのだ。
あんな場面に出くわしただけで頭に血が上り問答無用であの輪の中に入り
紙を奪い取って破って捨て去り、こんなコンビニ辞めてしまえとまくし立てるに違いない。
いや良く出来た恋人だ。
そのくせ二人きりの時には甘えてくるから可愛い。
「なぁ、」
「ん?」
少し先を歩いていたフレンを呼ぶと顔をこちらに向けてくれた。
「俺のこと好きか?」
「え、どうしたの急に…」
途端顔をぽっと赤らめて素直で可愛いったらない。
「俺のこと好き?」
「ぅ…うん…」
「そっかそっか」
目を逸らして恥ずかしそうに頷くフレンに満足そうに頷くユーリ。
「…で、なんなの」
フレンが少し怪しんで眉を顰める。
「なんもねぇって。ただ聞きたかっただけ」
「………」
本当に理由はない。
フレンに好きだと言ってもらいたかっただけだ。
満足して今度はユーリの方が先を歩いていたのだが「ユーリ」という声に振り返った。
「ん、どうした?」
「好きだよ、ユーリ」
「…、ん、うん」
「愛してるよ。誰よりもね」
真顔で真っ直ぐ前を見据えて大胆な告白をしてくるフレンに降参したのはユーリだった。
「……いや、俺が悪かった…もういい…」
顔は真っ赤。
俯いて隠そうとしているようだが耳まで赤くて隠しきれていない。
「あはは、ユーリ顔真っ赤だよ」
忘れていた。こいつはこういうこと結構平気で伝えてくるタイプだった…。
ベッドの中では顔を真っ赤にして泣きじゃくるくせに…
ってやばい、自分で理性崩壊させてどうすんだ俺。
その時、かすかにゴーン、ゴーンと音がした。
「あ、除夜の鐘…」
携帯を見ると0時0分。
「あーあ、こんなとこで新年迎えちまったな」
「明けましておめでとう、ユーリ。今年もよろしくお願いします。」
頭を丁寧に下げてにっこり微笑んだフレンにユーリは顔を赤くして
「あ、こちらこそ…」とぶっきらぼうに答えた。
フレンはそんなユーリを見て微笑む。
なんだかさっきからやられてばっかで納得がいかない。
「早く帰って蕎麦食べちゃお!」
フレンがユーリの手を握って少し速めに歩き出す。
ユーリは引かれるままに歩調を合わせていたが悪戯を思いついたようににやりと笑うと
フレンを追い越して逆にフレンを引くように速足で歩いた。
「そうだな、やらなきゃいけないこともあるからな~」
「え?」
フレンは首を傾げながら前のめり気味にユーリに付いていく。
「やらなきゃいけないこと?」
「そ。」
「何?何かあった?」
「決まってんだろ、ひ・め・は・じ・め」
「ひめ……ってっ!!!」
事を理解したフレンはぼっと顔を赤くする。
これだけでも少し気が晴れるがまだまだこれからだ。
俺をからかった代償はその体で存分に返してもらおう。
二人はいつの間にか走って家へ向かっていた。




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今回のは切りどころがなくていつもより少し眺めです。
明日で終わります~~
1


「もうちょっとで終わるから…ホント悪ぃな…」
「いいよ気にしなくて…レジ並びだしたよ」
「げ、じゃ待っててくれな」
ぽんと頭を撫でてレジへ走って行く。
フレンはぶらぶらと店内を歩いて時間を潰して過ごした。

今日は大晦日。
二人で仲良く特番でも見ながら年越蕎麦を啜って静かに新年を迎えるはずだったのだが。
今日の朝ユーリの携帯が鳴り人手不足でバイトに駆り出されて今に至る。
夜10時までという予定で入ったはずが減らぬ客を捌くため残業になり今や11時。
24時間年中無休の便利なコンビニ営業の裏で犠牲者は付き物だ。
蕎麦は食べられるんだろうか、と迎えに来て既に1時間がたとうとしているフレンは
そんなことを考えながら商品を見て回る。

列んでいた客も捌ききって大分空いてきた頃
「お兄さん超カッコイイじゃん!」
レジの方から若い女性の声がした。
そちらへ目をやるとユーリが対応していた若い女性の二人組がレジで騒いでいた。
「ねぇねぇメルアド交換しようよっ」
「あ、私も私も~」
「や、悪ぃけど…」
「私のここに書くから後で連絡頂戴!」
「人の話聞けよ…」
ユーリを置いて話は進む。
「はいこれ私のアドレスね!」
女性が袋詰めをしていたユーリの手をとって紙を握らせる。
「だから受け取れねぇって…」
「連絡くれなかったらここ通いつめるから!」
「いやちょっと…」
「じゃ、お金ちょうどね~連絡待ってるから~」
「え、おいっちょっ…」
二人組の女性は自動ドアをくぐって出て行ってしまった。
手に握らされた紙を呆然と見る。
捨てるのも何だか気が引けてとりあえずポケットへしまった。
「浮気者」
「えっ!?」
フレンがその一部始終を見てぽそりと呟いた言葉はユーリを酷く動揺させた。
「や、違うだろ不可抗力だろ今のはっ」
「美人だったね、今の子たち。」
「フレンっ」
カウンターから飛び出てフレンの所に駆け寄ろうとした時、品だし中だった店長がユーリに叫んだ。
「ユーリもう帰っていいぞ!客が引いてる今のうちに行ってくれ!今日は助かった」
言いながら商品のプリンをユーリに向かって放った。
ユーリがそれをキャッチする。
「ボーナスだ。ご苦労さん」
「あ、サンキュ店長。すぐ着替えて来るからここ居ろよ」
ユーリは慌ててバックヤードへ下がる。
フレンはまたしばらく店内を見て回った。





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店長はナイレンのイメージです。
18


デートを思いっきり楽しんで二人は箒星へと向かっていた。
いよいよこの偽りの恋人ごっこが終わろうとしている。
「ユーリ、先帰ってていいよ」
「ん、何か心配だから付いてく。」
「心配…?」
フレンは首を傾げるがデート中でもフレンの姿を見て振り返らない男はいなかった。
何かあったら大変だ。
とりあえず変な目で見てくる奴には睨みをきかせておいたが。

宿まで来た二人は二階の借りている部屋に入る。
「はぁ…疲れた…」
フレンはすぐにベッドに腰掛けた。
気疲れしたのか疲労が見える表情にユーリも素直に謝る。
「ご苦労さん、悪かったな」
「そう思うならこれからはこんなことにならないよう気をつけてくれ。もう二度とこんなことしないからな」
「え、二度と…?」
「何?」
「いや…」
二度としないのか…
ユーリは少し寂しいような残念なような、とりあえず悲しい感情が沸き上がった。
このまま別れるのが辛くてユーリはあるお願いをしてみることにした。
「……なぁ…」
「何?」
「お前俺の彼女だよな?」
「振りだけどね」
「じゃあさ、最後に一つお願い聞いてくんない?」
「……一応聞いとく。」
嫌な予感がして間を置いたがとりあえず聞くことにした。
「キスしていい?」
「………。」
フレンはそのまま無言でウィッグを外し着替えの準備をしだした。
「ひでぇなっせめて何か言えよっ」
「……君は…いいかい、
 僕はこんな格好してるけど男だ。君の彼女の役をやったけど僕は君の幼なじみだ。」
呆れたように言い諭す。
「知ってる」
「じゃあどの口がキスとか言うんだ…」
「…なんか…もったいねぇなと思って。」
「………信じられない…君は誰でもいいのか…」
「誰でもよくねぇよ。お前とキスしたいって言ってる。」
フレンとすぐ触れ合えるところに腰掛けてフレンを見詰める。
それは真剣な眼差し。
こっちの気持ちを知っているのか…
知っててからかっているのか…
「フレン?」
「………。なんでもない!とにかくキスなんかしない!着替えて行くから先城に戻っててくれ!」
「……わかった。」

「………」

一瞬の隙をつかれた。
自分の唇に触れたのがユーリのそれだということも理解するのに数秒要した。
「………」
「お前にしか言わねぇよ、こんなこと…」
「………」
自分の唇に触って呆然とするフレンの頭を優しく撫でて
ユーリは「じゃあ先帰ってるな。変な親父に捕まったりすんなよ」などと言いながら部屋を出て行った。

「…ホント…信じられない…」

何がって…こんなことをされてドキドキ胸を高鳴らせている自分自身が。
「うぅ…サイアクだ…」
フレンはボフッと布団に倒れて顔を埋めた。
顔は赤くて、ドキドキ心臓が煩くて、
思わず笑みが浮かぶほど幸せに感じたなんて、
ユーリには絶対、一生言ってやらないとフレンは心の中で誓った。
17


「やっぱりフレンじゃねぇか…」
「…ごめんなさい…」
「…悪かった…」
言い逃れ出来ないくらい追い詰められて二人は渋々謝った。
だって服脱がすとかこんな公衆の面前で髪引っ張らせろとか…
強行突破されたらアグエロンを犯罪者にしてしまいかねないことを
言われてしまったら認めるしかなかった。
大体こんな知り合いがいるかもしれない場所で女装していることがばれるのだけは避けたかった。
「…男…なの?」
フレンを見詰めながらシーアが心底驚いた表情で言う。
「ご…ごめん…騙すつもりはなかったんだけど…」
「………」
「あぁっでも結局騙してることには変わりないんだけど…っ」
「…はっ!じゃあユーリ彼女いないんじゃ…!?」
シーアが勢いよくユーリを見る。
「や、悪ぃけどさすがにダチの彼女はちょっと…」
「…ダチの彼女……?……あ、あぁ…」
「し、シーアっさっき俺の彼女だってこと忘れてただろ!?」
「そんなことないわっ」
言いながら目が泳いでいる。
「まぁばれちまったらしゃあねぇな…フレン」
「ん、なに?」
ユーリがフレンの手を取った。
「じゃ、俺ら行くから。二人でデート楽しんできてくれ!」
「え、わっちょっとっ」
誰の返事も聞かずユーリはフレンの手を引っ張って歩き出す。
後ろで二人が慌てる声がする。
それでも構わず歩く。
「ちょっとっユーリっ」
「フレン」
「何?とりあえず手を離してくれ、歩きにくい…」
「デートするぞ!」
「わかったから……って、え!?」
なんだって!?
フレンは耳を疑う。
「デート!?」
「そ。惚れさせてやるって言っただろ?」
「そ、それはもう終わったんじゃないのか?!」
「終わった?もう惚れたのか?」
「なっなんでそうなるんだ…っだって二人にばれたんだからもうこんな格好してる意味が…」
「勿体ねぇの…人前で堂々とイチャイチャできる時なんてねぇぜ?」
「いっ…」
反論しようとしたその言葉は急に引き寄せられて発することが出来なかった。
肩を組まれて歩きにくいことこの上ない。
それなのに、振りほどく気にならなくて戸惑う。
「どうせなら思いっきり楽しむぞ!」
「………」
向けられる眩しい微笑み。

あぁ、僕は…
最初から好きだったのかもしれない…。

だったらこの勝負どっちが勝ちなんだろうね。
16


「う~ん…」
ユーリが何やら腕を組んで考えている。
「………。」
フレンはユーリをじっと見詰めた。
「確かに…顔はすげえ好みだな…」
フレンを見詰め返してユーリが呟いた。
「………。」
顔が好きだから一緒に居ると言われたようでフレンは目を逸らした。
「ま、それだけじゃねぇけど」
「…え」
フレンが顔を上げるとユーリはフレンを見詰めて微笑んでいた。
「今日初めて顔も好きだって気付いたくらいだし…」
くしゃ、と頭を撫でられた。
無性に聞きたくなった。
ユーリは自分のどこが好きなんだと。
小さい頃から一緒に居て当たり前のようになっていた。
でもそれだって確かに自分の意思で隣に居るのだ。
「…ユーリ……僕の…どこが好きなの…?」
「へ?…あ、あぁ…」
ユーリは赤くなって言葉を探しているようだった。

どこ…確かに今の女装したフレンには一目惚れに近いけど…
それは中身であるフレンだから、という前提があるのは自分の中で明白だった。
いつもうるさいと思っていた小言だって女という視点から見ると随分可愛らしい。
前からこんなに可愛かったっけ?と考えて、
やっぱり今のこいつは普段隣にいるフレンだと思い知らされる。
異性という違う角度から見たことで自分の気持ちに気付いてしまった。

俺はフレンが好きだから一緒にいる……。


「……」
「………か…」
「…か?」
「…顔…」
「………」
フレンがじとりと睨んでくる。
ちょっと待ってくれ、だってまだ心の整理が出来てないっていうか…
いきなり気付かされて俺だって困惑してんだ…

「顔…ね…」
「そ、そういうお前はどうなんだよ、俺のどこが……好きなんだよ…」
「……。じゃあ僕も顔ってことで…」
「なんだよそれ!?ちゃんと答えろよっ」
「そういう言葉は自分がちゃんと答えてから言ったらどうなんだ!」
「お前が言ったら俺も言う!」
「僕は君が言ったら言うよっ!」

二人の口喧嘩を黙って見ていたアグエロンが何かを考えて、そして二人に向かって言った。
「まぁ落ち着けよ、フレン」
「僕は落ち着いてるよっユーリが先に………………え……」
はたと気が付いた時には…
にやりと笑ったアグエロンの顔がそこにあった。




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一時帰還中です。
29日から3日まで留守にしますが相変わらず絵日記は予約して更新しますので年中無休です(執念)

遅くなりましたが14話でコメントがきてたのでそれのレスなんですが
一応ここにも書いといた方がいいような内容だったのでこちらに。

肉さま
ユーリがフレンのことを思いっきりフレンと言ってる件ですがわざとでございます。
その描写をすっ飛ばしていたために伝わらなかったですね(汗)
2人の会話はアグエロンカップルには聞こえていません。
あくまで2人だけの会話です。
クレープ屋を見つけてからはユーリが急ぎだしたために距離さえ開いています。
そして最後のお金がどうこうというところで漸く追いついてきたアグエロンに
その口論がまるでフレンに似ていると思わせたというわけです。
すみません今読むとホントそういう描写まったくなかったですね;;
少し修正を加えてみました。
会話メインに書いていってしまう癖があるので気をつけてはいたのですが
わかりにくい回ですみませんでした。コメントありがとうございます!!!

一応ユーリは今「フレン」とデートをしてるつもりなのでこういう呼び方になってしまってます。
周りがあまり見えていません。




今マイソロ公式見てきてしいなに鳥肌が立ちました。
おおお漸くーーっってのももちろんなのですが(しいな好き)
秘奥義ーーーっべりウスーーーーっ!!!コココ、コリンーーーーーっ!!!!!
マクスウェルあたりかと思いきやなんと素晴らしい…っ!!!
やばいです。テンション上がります。
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