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25


すっかり元気をなくしたフレンはとぼとぼとユーリの後ろについて歩く。
あのあと一応「親友だから好き」という結論を与えてフレンは頷いたのだが、
やはり一度言ったことは消えないのだ。
「…あ~…フレン、大丈夫か?」
「………。うん」
フレンはゆっくり頷いた。
これは…もう限界かもしれない。
この旅でフレンから何としても気持ちを聞かなければフレンはきっとユーリの前から姿を消すだろう。
ユーリは思う。
自分だって結構わかりやすく態度に出してると思う。
俺はフレンが好きだ。
なのにどうして本人には伝わらない?
手を繋いでも抱きしめてもキスしても、からかわれてると思ってすべてを否定する。
考えてみろ、キスまですんでるんだ。
もうこうなってきたら普通なら「付き合ってる」って段階なんじゃないのか?
フレンは真面目だからちゃんと告白してお互い了承しないと
付き合い出したことにはならないんだろうが。
世間一般ならそういう状況にあるというのにフレンは微塵もそういう風に取ってくれない。
少しくらい、もしかして、とか考えてくれてもいいんじゃないのか。

昔から色恋沙汰には奥手で自信が無かったみたいだが
こいつははっきり言って俺よりモテるしいつまでも野放しにしてるのは俺も気が気じゃない。
こいつのことだからユーリを諦めて違う誰かと…なんて考え出してもおかしくないのだ。

俺がこんなに好きだって態度に出してるのにこいつにどうやったら伝わるんだ…?
どうやったらこいつは俺に気持ちを伝えてくれるんだ?
っつーか相手は俺だぞ俺。
そんな難しい相手じゃねぇと思うんだけどなぁ…
フレンの中で俺は一体どういう存在なんだ?
こんなに近くにいてそれなのにこの態度。
嬉しいような悲しいような…複雑だ。

もしフレンが気持ちを打ち明けてくれるようなことがあれば…
いや、打ち明けようとする素振りを見せてくれただけでも、
俺は今まで我慢していたあんなことやこんなことを
我慢出来る気がしないほどフレンのことが好きなのに。
きっと気持ちを紡ごうとしたその言葉ごとキスをして塞いで抱きしめて
押し倒してしまうかもしれない………

楽しみだ。



ユーリの思考がどんどん明後日の方へ行く中、フレンは後ろからユーリを見詰めていた。
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24


「………」

青い顔をして見詰めるフレンを前にしてユーリは「あ」と我に返ったような声を出した。
「いや、悪ぃ、今のなし。」
ユーリの中ではフレンの気持ちはちゃんとフレンが自分から言ってくるまで待つと決めていた。
売り言葉に買い言葉、頭にうっかり血が上って勢いで言ってしまったが
フレンの顔面蒼白な姿を見てしまったと思ったのだが既に遅かった。
一度言ってしまったことはなしには出来ない。
青い顔をしたままフレンの目は濡れだした。
ぽろりと、一粒堪えきれなかった涙が落ちた。
「えっや、フレン!?ご、ごめんな、ちょっとふざけすぎたなっ謝るから泣くなよっな?フレン~」
ぽろぽろと止まらなくなってしまった涙を見て、面白いようにうろたえだすユーリ。
ここに「カッコイイユーリ」を憧れとして抱いてきたカロルが居たらどう思っただろうか。
「お前俺のことなんて好きじゃないよな?うん知ってるっ大丈夫だ!」
フレンを泣き止ます為とはいっても言ってて悲しい…
ユーリは涙目でフレンを抱きしめた。
するとフレンはふるふると首を横に振ってくれた。
どうやら否定してくれているようだ。
こんな状態でもユーリのことを嫌いと言えない素直な優しいフレン。
ユーリは愛しさが込み上げて抱きしめる腕の力を強くした。
「ん、否定してくれんの?ありがとなフレン」
よしよしと頭を撫でる。
「そうだよな、俺ら親友だもんな、そりゃ好きだよな。俺もフレンのこと好きだしな。」
「……しん…ゆう…」
「ん、そうそう。親友。な」
こくりとフレンは頷いてくれた。
ほっと肩を撫で下ろしそのまま座らせる。
徐々に力を抜いて眠りに落ちていったフレンにユーリは気付かれないように溜め息をつく。

一体いつになったらフレンから気持ちが聞けるんだと…。



昔から気持ちを隠してきたフレンだからその口はそれはもう固かった。
フレンにとってその告白は絶対に成就しないもので
そして知られた時がユーリとの最後だと考えている。
だから決して言えない。
はっきり拒絶されるのが怖い。
ユーリがどんな女の人と居てもフレンは黙って祝福してきたしこれからもそうするだろう。


永遠に離れることも考えているフレンにユーリは
最終手段としてこちらから想いを告げてフレンの気持ちを聞き出すということも考えてはいるのだが
あくまでそれは最終手段で出来るならフレンの口から告げて欲しいと考えている。

ユーリとフレン、どちらが先に折れるか、
フレンの知らないところでユーリの賭けは始まっていた。
23



暫く硬直していたフレンだったがふるふると体を震わせ始めた。
「な…」
「あ?」
「何するんだっ!!!」
「がはっ」
強烈なアッパーと共に投げかけられた言葉。
フレンははぁはぁと息を荒げてユーリを見下ろしている。
「ちょ…時間差攻撃過ぎるだろっ」
さすがに油断していたユーリは見事にアッパーを顎にクリーンヒットさせていた。
「知るかっ!信じられないっこっこんな…ききき、き、す…なんてするなんてっ!」
「初めてじゃねぇだろ?」
「子供の時の話だっ!」
フレンとユーリは子供の頃、確かにお休みのキス、なんてものの習慣があった。
人知れず育んだ二人だけの秘密だった。
だがいつからか「友達同士ではそんなことしない」という知識がついてきて
二人はどちらが言うでもなくその習慣を止めてしまったのだ。
「ふ~ん…子供の時のねぇ…」
ユーリの顔が悪い笑みへと変わる。
「じゃあフレンさんは今のキスに子供の時とは違う気持ちを抱いたわけだ?」
「え…?」
「だってそうだろ?昔と今を比べるなってことは、だ。昔と今が違うからそう言うんだろ?」
「……そ…っ」
かぁぁっとフレンの顔が赤くなる。
「フレンさんは一体今のキスをどんな風に感じて下さったのかなぁ~」
「な、な、な…っ違うっそういうことじゃなくてっ
 昔と今じゃキスってものの認識が違うだろって言ってるんだっ」
「じゃあそういう認識も含んだキスとして受け止めてくれ」
「っいい加減なことばっかり言うなっどうせ女の人相手でもそんな風に軽々しくしてるんだろっ
 不潔っ最低っ変態っ」
「あのなぁ…あんま言ってると怒んぞ…」
ユーリがすっと立ち上がってフレンに近付く。
「こっち寄るなっ近付くなっ」
拒む声は聞かない。どんどん距離を縮める。
「あんまりなんじゃねぇの?俺が女にそういう態度とったとかお前知らねぇだろ…?」
その表情には明らかに怒りが込められていた。
「じ、じゃあ僕だけそんなっからかおうとして…」
「誰がからかってんだよ…?お前が素直になんねぇなら襲うっつっといたろ?」
パシッと手を握られて木に縫い付けられた。
「そ、そもそもそれもおかしいじゃないかっ僕は君に素直になることなんてないっ!」
「はぁ?何、ばれてねぇとでも思ってんのか?」
「なにが…っ」

「お前俺のこと好きなんだろ?」

「………っ」

フレンは目を見開いて顔を青くした。



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そういえば。
マイソロにヴァン師匠参戦ですね!ヴァンを操作できる日がこようとは…っ!!
ちょっとのろそうだtt…(ry
そんなことより個人的にそれで楽しみなのは
ルーク、アッシュ、ヴァン、そしてガイ(離脱)が一緒に旅してたってことですよね!!
ちょっとどういう関係なんですかっヴァンガイきますかおい!!!
長髪ルークとアッシュの掛け合い、ガイを巡る攻防(笑)
ガイに対するヴァンの態度…ちょ…アビスチームが楽しみすぎるんですが…っ!!!!
力関係がじゃんけんの強弱みたいですごく萌えるんですが…っ!!!(><)
とか言っててガイが普通の使用人キャラだったらorzだ…。
22


「っていうか何で先行ったってわかったんだ…?」
「お前の考えてることなんてお見通しだっつの。」
「…考えてること…」
本当にそうなら大変だ、とフレンは冷や汗を流す。
「あ、疲れてんなら寝ていいぜ」
「え、本当かい?ありがとう」
「肩か膝どっちがいい?」
「……いや、こっちで寝るからどっちも貸していらないよ…」
「じゃダメだ!俺が寝る。フレンの膝を借りて。」
じりじりとにじり寄るユーリ。
「えぇっ!?なんだよそれ意味わからないよっ」
それを両手で阻みながら顔が熱くなるのを感じる。
「…ほら、ちょっと寒いだろ?くっついた方が暖かいじゃん」
「じゃあラピードとくっついてたら…?僕暑いくらいだし…」
主に顔が。
とは言わない。
「暑いんだったら俺にとっては好都合だって。な、ほらフレンこっち来い」
「や、やだよっ恥ずかしいだろっ」
「誰も見てねぇよ」
「嫌なもんは嫌だっ!」
「…じゃあいい。」
「ゆ、ユーリ…?」
急に態度を変えたユーリにフレンは少し心配したように言う。
ユーリは顔を逸らして俯いて、ポツポツと呟く。
「明日俺が凍え死んでてもお前はちゃんとダングレストに行けよ」
「え、そんな大袈裟な…」
「あぁでも会合が終わったその後は戻って火葬でもして灰は下町に…」
「縁起でもないこと言うなっ!…わ、わかったよ…一緒に寝よう…」
「おっそうかそうかっ!で、どっち貸して欲しい?」
「……選ばなきゃダメか…?」
「じゃあ抱き合って…」
「肩っ肩にしようっ肩を貸してくれっ!」
「肩か?わかった。」
ん、と木にもたれ掛かって来い来いとジェスチャーする。
フレンは深呼吸してはいはいの体勢で近付いて行く。
「……じゃあ…失礼します…」
そんな様子を目の当たりにしたユーリは「おま……ホント可愛いな…」と思わず本音を呟いたら
フレンにムッと睨まれたので慌てて言い直した。
「やっどうぞっ」
「………。」
恥ずかしさから少ししかめっつらになったままのフレンはそっとユーリの肩に頭を乗せた。
ユーリの顔にフレンの髪が触れてくすぐったくて気持ち良くていい匂いがして思わず鼻を近付ける。
それに反応してフレンがぴくりと体を震わす。
「あ、そうだ」
ユーリが思い出したと言うように口を開いた。
「ん、何?」
フレンはその言葉に耳を傾けるため一度肩から顔を話してユーリの顔を見ようと体勢を変えた。
「どうしたの、ユー……」
フレンの言葉は何かに吸い込まれるように途切れた。
自分の口に何かが触れる。
それがユーリの唇だということを認識するのに一体どれだけの時間を要しただろう。
優しく触れるだけの口づけ。
そっと距離が空いて目と目が合う。
「………え…」
まだ条件を整理出来ていないフレンにユーリはにっと笑った。
「素直になんねぇと襲うっつったよな、俺。」
呆然とするフレンにユーリはぽんぽんと頭を撫でて肩に寄り掛からせた。

あぁ、今夜はとても眠れそうにない。

反論すら頭が回らない中、フレンはそれだけを理解した。
21

本当は仕事なんかとっくに終えていたフレンはまっすぐ街の出口を目指した。

もう嫌だ。
苦しい、苦しい、苦しい。
ユーリは優しいから…この気持ちは伝えてはいけない。
ここでお別れだ。
これ以上ユーリと居ると僕はこの気持ちを抑えられなくなる。
きっと傷付けてしまう。
そうなる前に…。


フレンは一人街を出た。



仕事中、フレンの傍に居たラピードがユーリのもとへ戻ってきた。
「怒ったかしら」
「誰が?」
ラピードの頭を撫でながらジュディスの脈絡ない会話に返事をする。
「あなたが」
「何で?」
「勘違いされたんじゃないかしら」
「…ん~…まぁ…なぁ…」
「じゃあ怒った?」
「いや、怒んねぇけど…そんなことよりもっと根本的なことなんだよなぁ…」
「根本的?」
「あいつこういう話題になると途端に気を遣い過ぎるっつーかなんつーか…
 そんなに慎重に考えなくても何も壊れたりしねぇんだけどな…」
「じゃあ言ってあげたら?」
「う~~ん…そうだな…そろそろ行動に移しとくか…」
ユーリはガタリと席から立ち上がる。
「よし、ラピード頼むぞ」
「ワン!」
「お前の鼻が頼りだからな。じゃあなジュティ、また休暇明けに」
「えぇ。騎士様によろしく」
ユーリはジュティに適当に手をヒラヒラ振って挨拶し宿を出た。



一方フレンはやはり暗い森の中を闇雲に歩き回るのは得策ではないと考え、
ヘリオードからしばらく行ったところで野宿をすることにした。
一人なので寝るわけにはいかない。
見張りをしないと、ここは魔物が出る危険な森…
あ、ダメだ眠い…
少しうとうとしてきたフレンは背後に近付く気配にまったく気付かなかった。
「おい!」
「っわっ!!」
何者かに肩を掴まれる。
「何先に出発してんだよ、こんな暗いし…」
「ユーリ!?ど、どうして…今日は宿を取ったって言っただろ!?」
「あぁ、悪いけどその宿ならジュティが使ってるぜ。
 俺は先に出発したどっかのアホを追いかけねぇといけなかったからな」
「あ、アホ!?」
「アホだろ、あんな遅い時間に街を出発して魔物が出る森で野宿、
 一人だから自分で見張らねぇといけねぇし、なのに眠そうだし、
 俺の気配にすら気付かねぇくらい疲れてんのに。どうだ?」
ん?とユーリに迫られてフレンは言葉を詰まらせた。
「…あ…アホだね…」
「わかったら二度とすんな?」
口調よりも真面目な目で見つめられて息を詰める。
「はい…」
そういうとユーリの顔はにこりと表情を変えフレンの頭をわしゃわしゃと撫でたのだった。
20


フレンが仕事から解放された時にはすっかり陽は落ちていて
建物の窓から漏れる明かりと月の光が辺りを照らしていた。
大分待たせてしまった…どころかヘリオードで立ち往生をくらったユーリはきっと怒っているだろう、
とユーリが待っていると言った宿に向かった。

そこで目にしたものに息をのむ。
楽しそうに笑うユーリ。
目の前には美人な女性。

あぁ、ほらやっぱり…すごくお似合いだ。
僕なんかじゃ…あげられない当たり前の幸せがそこにはある気がした。
ダメなんだ、自分ではダメなんだ。
わかってたはずだった。
だからユーリから離れようとしたんじゃないか。
危うく…忘れるところだった。
近付いてくれることを嬉しいと感じて甘えてしまうところだった。

痛む胸をギュッと押さえた。

好きだよ、好きだユーリ
僕は君が好きです。

有りったけの気持ちをユーリに向かって発信した。
今にも泣いてしまいそうな感情を押さえ込む。
振り返ってその場を立ち去ろうとしたその時、
その声を聞き取ってくれたように優しい瞳がこちらをとらえた。
「あ、フレン!」
「………。」
「お前な、今まで仕事してたのか?」
「…ごめん…すごく待たせてしまったね」
「いや…そりゃ別にいいんだけど……フレン?」
様子がおかしいフレンにユーリは顔を覗き込むように傾けた。
「…ジュディス、久しぶりだね」
「お久しぶり。」
「仕事でここに来てたんだと。…な、飯食うだろ?こっち来いよ」
くいっと腕を取られたがフレンは動かない。
「…ごめん、実はまだ仕事終わってないんだ。今日はここに部屋をとるからユーリ先に休んでてくれ」
「は?まだ仕事すんのか!?」
「……ごめん…」
「いや、謝らなくてもいいけど…」
「…違うよ…」
「は?」

君が近くにおいてくれるから僕は錯覚していたんだ。
この想いは届くことはない。
伝えることもない。
ここで…終わりだ……。

「…フレン?お前どうかしたか?」
俯いたフレンが顔を上げる。
「何が?別に何もないよ?食事二人だけで楽しんで。じゃあ」
ジュディスにも挨拶してその場を立ち去る。
その笑顔はまさにいつものフレンだった。


もうおしまいにしよう。
君に迷惑がかかるこんな気持ちは持ってちゃいけない。
わかってたことだ。
この気持ちは彼に伝えてはいけないものだと。
どうしたら忘れられるんだろうか。
離れたらいつか忘れられる日が来るだろうか。

フレンが一人、宿を出て向かった先は…




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絵日記連載の予約を1話分飛ばして予約していることに気が付いて
修正してたら意外と大変だった。
話が繋がらなくなるところでしたよ~危ない危ない…。
19


あっさり団長だとばれてしまったフレンは騎士たちにあっという間に囲まれて
「見て頂きたい報告書があるんです」「ぜひお茶でも…」
「街開発の進行状況の視察もお願い頂けますでしょうか」と連れて行かれてしまった。
しょうがないので宿の喫茶コーナーでパフェでもつついていたのだが
傾きつつある陽の光を見て溜め息をつかずにはいられなかった。

っつーかどうせここでこう無駄な時間を過ごすならせめてフレンと一緒に居たかった。
二人で旅をしているというのに別行動って悲しすぎるだろう…

空になったパフェの容器にからんからんとスプーンを少し乱暴に投げ入れた。


「おかわりする?」
「あ?」
突然話かけてきた方向を見るとそこにはよく見知った女性が立っていた。
「ってジュティっ!」
「機嫌悪いのね、騎士様関係かしら」
微笑みながらも的確に分析するジュティに話を逸らすように話題を投げかけた。
「こんなところで何してんの?」
ジュディスは話題をすり替えられたことを気付いているようにクスッと微笑んでからその質問に答えた。
「あなたを一番に帝都に送ったあとカロルをダングレストに送ったのだけれど、
 その時に依頼を受けてここまで人を運んで来たの」
「…何気に厭味言われたか?俺…」
「そんなことないわよ?ただ夢中になれる人がいて羨ましいわって思うくらいかしら」
にっこり微笑まれてユーリは辺りを伺うように目を逸らした。
「カロルも一緒なのか?」
「いいえ、人を送るくらい一人で出来るもの。ボスにも休んでもらってるわ」
自然な動作でユーリの正面に座る。
「最近やたら忙しかったからな」
「こんなときだから駆け出しギルドでも重宝がられるのね。」
「だな…って何メニュー開いてんだよ」
「あら?こんなところで会ったというのにそのまま別れる気?」
「はいはい、あんま手持ちねぇから高いの頼むなよ?」
「ふふ、ありがとう。なんだかこうしているとデートみたいね」
「…あのな…」
からかうなとユーリがジュディスを呆れたように見るとジュディスは「冗談よ」と笑った。
「あなた意外に一途だものね」
「意外か?」
「否定しないのね」
「一途だからな」
「ふふ、彼も幸せ者ね、両想いなんて」
「いや、それはまだ…」
「え?まだ言ってないの?」
「なんかバレバレなのに隠そうとしてる感じが…妙に可愛いというかツボというか…」
「……あ、じゃあこれお願いしようかしら、店員さ~ん」
「無視かよっ」
二人は時間的に夕飯にあたる料理を注文した。
18


朝がきて眠い目を擦りながら起き上がる。
昨日のあれはどういう意味だったんだろう。
フレンは考える。
素直にならないと襲う…?
意味がわからない。
まさかユーリは僕の気持ちに気付いているんだろうか。
…それはないか。
だったら離れるはずだし、昨日親友として好きだと言ったばかりだ。
やっぱりわからない。
ユーリに聞いた方が早いかな…
いや、墓穴を掘りそうで怖いからやめよう。
最近は特に必要以上に近くに来たがるユーリに意識が勝手に向いてしまっている。
まともに目を見て話せるかも怪しい。
昨日のあれは気になるけど…下手に突っ込まない方がいいな。

「何怖い顔してんだよ」
「…ちょっと考え事を………ってうわっユーリ!起きてたのかっ」
「まぁな。ほら、さっさと支度しようぜ、今日中にはダングレスト着けそうだ」
「そ、そうだね」
フレンは支度を始めるユーリをちらりと見ながら、平常心、平常心、と呪文のように唱えていた。


再び歩きの旅が始まる。
ヘリオードで食料の買い足しをする。
「お昼くらいにはヘリオードに着ければいいんだけど…」
「ヘリオードではお前顔隠しといた方がいいんじゃねぇの?」
「え、何で?」
「また剣の稽古つけてくれとか言われたら厄介だろ」
「…そうか…眼鏡でもかけたらいいかな…」
フレンは露店に出ていたおもちゃの眼鏡を手に取った。
「…お前それでばれなかったら俺、1万ガルド払ってもいいわ…」
ユーリはがくりと肩を落としたがフレンはどうやらこの簡単な変装で突き通すらしい。
しっかり眼鏡を購入して「さ、準備万端だね!」と目を輝かせながら言ってきたのでとりあえず頷いた。


予定より少し遅れてヘリオードに着いた。
「ちょっと時間押したね、ヘリオードは長居しないですぐ出発しないと…」
と、買っておいた眼鏡を取り出しながら予定を述べるので
「お前本当に早く出発する気があるのか」とつっこみたくなったが
言っても無駄だろうと思って言わなかった。
街に入ってすぐだった。
出入口の見張り兵が二人を見て敬礼した。
「お仕事ご苦労様です騎士団長っ!」
「……え、何でばれたんだろ…」
「………」
本気で驚いたように目を丸くして首を傾げる姿を見て、
ユーリは「この天然まじで可愛いな…」とぽつり呟いて口元を押さえながら顔を逸らしたのだった。



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