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6


ユーリと知り合って、興味を持って、近付いた。
こうなることがわかっていればそんな馬鹿なことしなかったのに。

まさか友情以上の感情を抱いてしまうなんて…。

抑えられない感情を込めてユーリに手紙を出すことにした。
自分の想いをうまく言葉になど出来なくて、想いを込めた真っ白なラブレター。
幸いユーリは僕だと気付いていないし喜んでいるようだったから
やめないといけないとわかっていてもやめられなかった。

でも本当は知っていた。
ユーリには好きな人がいること。
噂が広がった。
付き合ってるとか、結婚してる、とかは嘘だとわかった。
でも、ユーリに好きな人がいるのは本当だ。
だから余計言えなかった。
ラブレターには何も書けなかった。


彼は優しいけれど男の人だし、自分が抱く感情は迷惑以外何物でもなかった。
わかっていた。最初から。
この恋が実ることは、絶対にない。



ユーリはいつもの時間に登校した。
いつもの様に手紙が入っているであろう下駄箱の扉を期待して開ける。
「………あれ…」
手紙が…ない。
靴を退かして、隅から隅まで探して、もしかして場所間違えてんじゃ、
と考えて周りのロッカーも調べた。
やっぱり…ない。
ユーリは走って教室へ向かった。
もしかしたらまだ来てないだけかもしれない。
ガラッと開けた扉の向こう、期待を裏切る様に彼はいつもの場所に座っていた。
「…よ、おはよ」
「あ、ユーリおはよう」
にっこり、可愛い笑顔を向けられた。
いや、これに騙されてはいけない。
「…今日手紙がなかった…」
「え、あ、そ、そうなんだ…」
気まずそうに目を逸らされた。
「…何でだと思う?」
「え、さ、さぁ…」
「嫌われたのかなぁ俺…」
「…そ、そんなこともないんじゃない…?」
「え、そうなのか!?」
フレンの言葉にユーリは素直に反応する。
フレンの言葉は手紙の子の言葉だ。
「う、僕は…わからないけど…」
「お前はそう思うのか?」
「…う…うん…いや、わ、わからない…」
「俺はお前に聞いてんの」
「………」
真っ直ぐ見詰めてくるユーリに鼓動が高まる。
顔が熱い。
ダメだ、ダメだダメだっこんな感情抱いちゃいけないっ
いけないのに……。

「…嫌いじゃない…と…思うよ…」
「…そっか。良かった。」


ねぇユーリ…誰に重ねてるの…?
誰からの手紙だと思って楽しみにしていたの…?

涙が出そうになるのを、必死に堪えた。
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5


フレンを中庭まで引っ張ってきた。
チャイムが鳴るのが聞こえて帰ろうとしたフレンを無理矢理引きずってベンチに座らせた。
「あーもうなんなわけこのデマの嵐…」
「………ユーリが昨日の金髪美人と付き合いだした、とか
 ユーリが金髪美人をフッたのは既に結婚してるからだ、とか…」
「…まさかお前まで真に受けてないよな…?」
俯いたままのフレンにユーリは覗き込むように言った。
「……うん、結婚なんてちょっと有り得なくてさすがに…」
否定したフレンに気付かれないようにほっと息を吐いた。
「まぁ俺の話はいいわ、お前のことだ。何か悩んでんじゃねぇの?」
「……ん、別に?」
作り笑いで答えたフレンの両頬を手の平でむにっと挟んだ。
「その間はなんだ。」
「……、ホントに何でもないよ?」
「…俺には言えないことか…?」
「言えないんじゃなくて言うことがないんだよ」
「………」
嘘つけ。
ユーリは諦めの溜め息を吐いて手を離した。
「…はぁ、何だかドキドキする…」
「は?」
心臓辺りを押さえてフレンが言う。
顔は少し赤みがかっていてその発言にユーリは過剰反応した。
「僕授業サボるの初めて。」
「あ、あぁ、なんだ…」
ユーリは頭をガリガリ掻いていたたまれなさに顔を逸らした。
「ユーリと居るとやっぱり面白いね」
ふふっと笑ったフレンにユーリはつい顔を綻ばせる。
「だったらずっと一緒にいればいい。」
肩を引き寄せて抱きしめた。
まるで恋人の様な光景に茶々を入れる友人らはいない。
フレンもゆっくり背中に手を回した。
だが「うん」と言う声も、頷く様子もない。
抱き合っていてフレンの表情を見れなかったので感情を窺い知ることは出来なかった。
笑ってくれているといい、と望んだ。

4



噂が広がる。
いつもクールな奴に好きな人がいる。
噂には尾鰭が付く。
いつしか噂は原型を留めなくなった。
金髪碧眼の美人と一緒に暮らしている。
ユーリはその娘と婚約している。
いやいや、ユーリは実は既に結婚している。

元々変に目立っていたユーリだから、知っている人も多く
噂は瞬く間に学校中に広まった。

フレンはそんな噂をあちこちで聞いては耳を塞いだ。


下駄箱に紙が入っているのを確認して気分を良くしたユーリの元にもその噂は襲い掛かった。
根も葉も無い妙な話にユーリの顔はさすがに引き攣る。

なんっだそりゃ!俺がいつ結婚したんだっての…っ
ムカつく。
こんな日はあいつの笑顔でも見て回復するに限る。
教室の戸を開けていつもの場所に座るその人を見ると顔を綻ばせた。
「よ、今日も早いな」
「…うん…おはよう」
振り向いたフレンは俯きがちで浮かべた笑顔にいつもの眩しさはなかった。
ユーリは首を傾げる。
「どうした?なんかあった?」
「ん?別になにもないよ?」
そういうと思った。
ユーリは心の中で息を吐いた。
こいつは何か悩みを抱えていても絶対口に出したりしない。
いつもならそれどころか顔にも出さねぇから
大体一人で解決してから過去形で話を聞かされることが多いのだが。
今日は明らかに暗い。
心配しないわけがない。
どうしたんだよ、と声をかけようとしたその時、逆に周りからわっと声をかけられた。
「やるなぁユーリ!」
「おま…っもう結婚してるとか有り得ねぇだろ!」
「だからあんま女の話に乗り気じゃなかったのか!」
「…っうるせぇなっ邪魔すんな…!」
今フレンと話してんだ!と手をしっしっと振った。
「なんだよはぐらかすなよ~っ」
「あほかお前らっ結婚なんかしてるわけねぇだろ!?いいからどっか行け!」
ギャアギャア騒ぐ男たちに囲まれている間もフレンは俯いたままだった。
しかし尚も騒ぎ続ける空気に耐えられないと言うようにフレンはカタンと席を立った。
「え、ちょ、フレンっどこ行くんだ!?」
「…ちょっと…」
フレンは特に当てもなさそうに言葉を濁してその場を立ち去ろうとした。
「ち、ちょ、待て俺も行く!」
「…気遣わないで。僕元気だから」
どこがだ!とツッコミを入れたく成る程の苦笑いだった。
「…っあぁもう!」
ユーリはもうめんどくさいとばかりにフレンの手を掴んでその場から逃げ出した。




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ペン入れをしているもんだからペンタブとの感覚の差に驚愕します。
3


マドンナが呼び出した理由はやはり愛の告白だった。
「あ~、悪ぃけど無理。」
「!、どうして?誰か付き合ってる人いるの?」
「いやそうじゃねぇけど…」
「私ずっとあなたのこと気になってて…
 最近あなたの好みのタイプが私の容姿にも当て嵌まることを知ったの、
 だから告白しようって勇気出したのに…っ」
「出したのにって言われてもなぁ…お前あいつじゃねぇし…」
ユーリが頭を掻きながら目を逸らして言った。
「…あ、あいつ…?もしかして…」
マドンナはそれで察する。
「気になってる奴がいるんだ。だから付き合えない。ゴメン」
はっきり言われてマドンナは残念そうに笑った。
「なんだそっか。じゃあ仕方ないね」
マドンナはゴメンなさい、忘れてね、と言いながら去って行った。
いい子だと思う。
ただあいつ以上に自分に響くものがなかった。


フレンと出会ったのは高校に入った時だった。
入学式で祝辞を述べる為に壇上に上がる優等生、
遠い存在だと思ってその姿を興味も無しに眺めていた。
フレンと同じクラスになった。
意外にも最初に話しかけてきたのはフレンからだった。
「ユーリ・ローウェルくん…だよね」
「あ?何で知ってんの…?」
「壇上から見て君目立ってたから」
緊張して真面目に座っている生徒たちの中で自分のようにだらしなく座っていると悪目立ちするもんだ。
「…あ~…成る程。」
それで教師が式の間中睨んでたってわけか…。
「何だか君とは合いそうな気がする」
「はぁ?冗談だろ、俺自慢じゃねぇけど今まで優等生の友達なんか持ったことねぇぞ」
「僕優等生かな?」
フレンは首を傾げてユーリに問うた。
「は?俺に聞くなよ…」
なんか…天然か、こいつ…


そんなやり取りが最初だった。
フレンの言う通り、付き合ってみると確かに気が合った。
今では親友と呼び合う仲だ。

しかしいつしか俺の中に独占欲めいたものがフツフツと沸き上がっていることに気が付いた。
素直に気持ちを伝えてくるフレンのことを可愛いと思い、
離れたくない、
離したくない、
誰にも渡したくない…
と気持ちが変化していた。

そんなときに下駄箱に紙きれが入れてあったのだ。
それがフレンだと知った時、更に愛しさが込み上げた。

俺はフレンに恋をしているのだと思い知った瞬間だった。
2



「お~いユーリ~、呼び出しだぞ~」
級友の言葉にユーリはうんざり目を向けた。
「なんでだよ、今日はちゃんと授業受けてたろ?」
今日一日移動教室もなく、常にフレンの近くだったからサボらなかった。
動機は不純でもちゃんと授業を受けていることには違いない。
「ば~か説教じゃねぇよ。お・ん・な・の・こ!」
友人が意味を込めて言うのに「はぁ?」と反応したのはユーリと、
そして教科書から目を離して顔を上げたフレンだった。
見れば教室のドア付近に可愛い女の子が立っている。
金髪で碧眼だ。
「…だれ?」
「おまっ学年のマドンナに向かってなんつーことを…っ!」
友人らは騒ぎ出す。
「いや知らねえし」
「お前の好きな金髪碧眼だろ!」
「ん?…あぁ言われてみれば…」
「お前…金髪碧眼が好きなんじゃなかったのかよ…
 言われるまで気付かないとかそれって好みのタイプとは言わねぇんじゃねぇか…?」
「いやいや、好きなビジュアルだ」
…というかフレンの容姿の特徴だから
フレンが赤髪で緑色の目だとしたらそれが好みになるわけだけれども。
「とにかく行ってやれよ、ずっと待ってんだから」
「あ~はいはい。」
だるそうに席を立つ。
ユーリは俯くフレンににやりと笑って声をかけた。
「告白されんのかな、俺」
「…さぁ…知らない。」
「金髪碧眼の理想の女だもんなぁ」
「…良かったね…しかも美人だよ」
振り向いたフレンの笑顔はいつもより曇っている気がした。
俺くらいしか気付かないだろうけど。
「もし告られたらどうしたらいいと思う?」
「え!?…そ、そんなの…ユーリの好きにしたらいいと…思うよ…」
「好きに、ね」
ユーリはぽんとフレンの頭の上に手を置いて、くしゃ、と少し撫でた。
そしてドア付近で待つマドンナの元へ向かう。
フレンはそれをただ寂しそうに見送った。
1



「お、今日もあった」
ユーリは下駄箱の扉を開けて中を覗いて嬉しそうに表情を綻ばせた。
毎日毎日ユーリの下駄箱には靴と、1枚の紙が入れてある。
差出人は不明。
それどころかその紙には何も書かれていない。
ただの二つ折りの1枚の紙きれだった。
しかしユーリは毎日いれられるそれを楽しみにしているのだ。
「また入ってたんです?」
そう言ったのはやんわり微笑んだのは一つ学年が下のエステリーゼ。
「あぁ。きっと可愛い子が入れてくれてんだぜ」
紙を下駄箱から取り出してポケットにしまった。
「でも何でなにも書いてないんでしょう…」
「さぁな?」
「もしかして…」
「ん?」
「字が汚いとか!」
「………、あ~。そういうのを恥ずかしいと思ってるところもまた可愛いな」
「理想と全然違ったらどうするんです?」
「いや、それはないな!」
ユーリは意気揚々と廊下を歩いて行く。
エステルは首を傾げる。
見ず知らずの人に何故あそこまで入れ込むことが出来るのか。


ユーリが教室に入ると窓際一番後ろのユーリの席、その一つ前の席に座る美しい金髪の人。
ユーリはその存在を確認すると優しい笑顔を浮かべて近付いた。
「相変わらず早いな、フレン」
荷物を置きながら挨拶代わりの言葉をかけるとフレンは勉強の手を止めて振り返った。
「おはよう、ユーリ」
眩しい笑顔。
ユーリは自分の席につく。
「今日も入ってた。」
「あぁ、下駄箱の紙かい?」
「そ。どこの誰かは知らねえけど毎日毎日可愛いことしてくれるよな」
「…ユーリはどんな子だったら嬉しい?」
フレンの言葉にユーリはフレンを真っ直ぐ見詰め返して答えた。
「ん~そうだな~、金髪碧眼の美人で可愛い子」
「美人で可愛いの?なんか難しいね」
「そか?」
「ユーリは美人が好きなのか…」と呟きながらフレンは前を向き直す。
自分のこととは思わねぇか…とユーリは少し残念そうに苦笑を漏らした。

本当は知っている。
あの紙を入れてくれているのは目の前にいる人物なのだと。

以前から紙が入れてあることがしばしばあって、
誰が人の下駄箱の中にゴミ入れてんだ、とムカついていたことがあった。
犯人を突き止めようとしたユーリは放課後、そして早朝に下駄箱を見張ったのだ。
そしてその犯人を見た時に目を疑った。
同じクラスの優等生だった。
それを入れる姿はとても切なそうで、いたずらなんかじゃないことは明らかだった。
祈る様にその白い紙きれをユーリの下駄箱の中へ入れて立ち去るフレン。
あぁそうか。両想いなんだと確信した時だった。



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11


巡回がてら昨日の店の近くに立ち寄ったフレン。
窓から中を覗くと昨日もいた面々がまた騒いでいる。
…騒いでいるというか今日は何だか嘆いているように見える。
全員揃って失恋でもしたかのような、そんな雰囲気が漂っていた。
まぁ人生なんて長いんだから、全員一辺に失恋することくらいあるかも…
とフレンは持ち前の天然を発揮する。
そんなことを考えている時、三軒くらい隣のレストランが何やら騒がしい。
人々が叫んでいる方にフレンの意識は集中する。
キャーとかうわぁとかの声の合間を縫って人だかりから一人の男が飛び出してきた。
手にはナイフ。見事な悪人面。
決め手はレストラン店主の「強盗だぁーっ!」という叫び声だった。
フレンはすっかり騎士モード。
強盗は真っ直ぐ立ち塞がるフレンに向かって突っ込んで来る。
「どけぇーっ!」
犯人が切り掛かりながらフレンに叫んだ。
フレンには当たり前だが避ける気配はない。
敵の攻撃をギリギリのところでかわすとその腕を掴んで背中側に捻って背中を膝で固定した。
「いってーっ!!」
思わず犯人も降参の関節技が決まっている。
その騒ぎに飲み屋からもギルドの連中が顔を出してきた。
今まさに関節技を決めている人物を見ると皆目を輝かせた。
「フレンじゃねぇか~っ!」
ギルドの男たちの騒ぎにも気付かずフレンはゆっくり体を離すと
犯人はすぐに駆け付けてきた騎士に取り押さえられた。
「あなたのおかげで無事犯人を確保出来ました。ありがとう」
一人の騎士が頭を下げるがもう一人の騎士がフレンを見て顔をみるみる驚愕の色に染めていった。
「あ、あなたは…フレン騎士団長…っ!!!」
「騎士団長!!!?」
それに驚いたのは最初に礼を言った騎士、回りの野次馬、
そして店から出てきていた昨日知り合ったギルドのメンバーと女店長。
「被害などは聞いてないので後のことはお任せします。」
「あ、はい…っ」
見目麗しいと風の噂が流れるも本物のレベルなんて知らないこの街の住人たちは、
一瞬でこの騎士団長の虜になってしまった。



数日後、フレンの部屋に遊びに来ていたユーリは
その執務室のドアをノックして入ってきた騎士にあからさまに敵意の目を向けた。
「フレン団長!任務の報告書をお持ちしました!!」
それはあのギルドのボス。
すっかりフレンのことを気に入ったあのギルドの一団は揃って騎士団に入隊したのだ。
「ご苦労様です」
フレンが手を伸ばすと元ボスはデレデレとフレンに近寄った。
言うまでもなくフレンに辿り着く前にユーリに阻まれる。
「それ以上近付くんじゃねぇよ…」
男の手から報告書を奪い取ったユーリは男を睨みながら後ろ手にフレンに手渡した。
「フレン、こいつ辞めさせろっつったろ!」
「え、だって仕事はしっかりしてくれてるし…」
「お前への下心丸見えの奴側に置いとくなっつってんだーっ!!!」

今日もユーリの悲痛な叫び声が木霊する。
あの日フレンとユーリ、ついていないのはどっちだったのかなんて、
きっと皆がユーリと答えるに違いない。




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次回は学パロです~~~


あれ、おかしい。今日下書きが終わっている予定だったのに。
なんで明日平日なんだ。
10


散々ユーリに憂さ晴らしされたフレンはふらふらと宿の廊下を歩いていた。
「あ」
「あ…」
ばったり会ったその人と、同時に声を出す。
エステリーゼだ。
「あ…あの、フレン、おはようございます…」
「あ、はいおはようございます、エステリーゼ様」
「………」
「………」
沈黙が痛い。
好きな人の恋人だとも知らずに好きな人を打ち明けてデートをセッティングしてもらったエステリーゼも
恋人であることを言わずにデートをセッティングしたフレンも
感じる気まずさは一緒だった。
それでもこれはなあなあに出来る話題ではなくて、謝らなければいけない。
「…あのフレン」
「すみませんでした!!」
フレンはエステリーゼよりも先に頭を下げた。
「あ、謝らないでくださいっ私が悪いんです、
 フレンは私のお願いを断る人じゃないと知っていたのに…」
「いえっ言わなかったこちらがやはり悪いですっ…結果二人を傷付けることになってしまって…」
「いえっ傷付けたのは私ですっ今思えば思い当たることは沢山あったのに私鈍感で…っ」
「え、思い当たることが沢山あるんですか…?」
そこまできてフレンの表情は引き攣る。
仲間への配慮とかもあったから二人の関係は内緒にしようと、
合流してからユーリと話し合ったはずだ。
つまりうまく隠せている気でいたのだ。
思い当たることが沢山あると言われるのは心外だ。
「ユーリにも言われました…なんか酷いことされてるけどやっぱりフレンが好きなんだって…」
「…は、はぁ…」
少しちくりとくる言い方だ。
ユーリらしい。
「これからもいいお友達でいてくれます…?」
「そ、それは勿論!こちらからお願いしたいくらいで!」
「よかった!嫌われたらどうしようと思っていたんです!」
エステリーゼはほっと笑みを零した。
「でもフレンとはデート出来なくなりました…」
「は?」
フレンはエステリーゼの言葉を理解出来ず首を傾げる。
「私はフレンのことも好きなのにフレンはユーリと恋人ですから…残念です…」
「………はぁ…」
このお姫様は一体どういう感情でユーリをデートに誘ったのだろう。
その疑問と同時にやはりフレンは鈍感だったと思わざるを得ない。


何だかとても虚しくなる言葉を頂いてフレンは部屋に戻る。

とりあえず今日は巡回でもしながら昨日の店を見に行ってみようなんて考えながらドアを開けた。


ちなみにエステリーゼがあの時デートをしたがったのはユーリが好きなのではなく
デートという行為そのものに憧れを抱いていただけだったらしい。
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