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「お先失礼しま~す」
「お疲れ~」
仕事仲間に挨拶して、ユーリは仕事場から引き上げる。
施設を出て2ヶ月。
もう皆俺のことなんて忘れてんだろうなぁ、と考える。
まるで自分なんて最初から居なかった様に、新しい思い出が増えて行くんだろう。
共に育った子供たちが、引き取られて行くのをユーリは何度も見送ってきた。
始めは寂しいのだ。確かに。
でも一週間もすると慣れてくる。
一ヶ月も経てば顔もまともに思い出せなくなってきて、
二ヶ月経てば思い出すこともなくなる。
あいつもそうだろうか。
懐いてくれていた小さな子供。
不思議と、彼の顔も声も、頭から消えてはくれなかった。
いつものようになかったことにしてくれれば、この気持ちも楽だったろうに。
あいつは今日も笑っているだろうか。
俺のことなんか微塵も思い出すことはなく、楽しく暮らしているだろうか。
寂しいのは、俺だけだろうか…。
出迎えなど誰もしてくれない家に帰る。
鍵を開けた時、部屋が暗いのが今でも慣れない。
経験のない寂しさ。
コンビニで貰った期限切れの弁当を広げる。
味はしない。
「…俺…こんな弱い奴だったんだな…」
ただ目の前にあるものを口に運んでいく。
全て食べ終えて箸を置いた。
「…食べ終わったらごちそうさまだろ」
「 」
「…美味かったか?風呂には入ったか?もう寝るか?」
「 」
誰に話しかけているんだろう。
あるはずの素直な返事は、聞こえない。
目の前にあった弁当の空箱を勢いよく払いのけた。
カシャンとアルミが床に落ちる音がする。
ただそれだけが、響く部屋。
部屋なんて片付ける暇なんてなくて、荒れ放題。
「ユーリばっちい」と眉を寄せる小さな子供が頭を過ぎる。
ユーリは机に突っ伏して、腕を抱く手に力を込める。
「辛ぇ…」
毎日毎日、学校とバイトと家の往復の繰り返し。
足りない。
足りない。
足りない…。
心が締め付けられるような感覚は、あの日フレンと別れてから消えたことはない。
「……ほんと…ダメだな、俺…」
少し顔を上げたら、目線に置いてあった鏡に自分の顔が映る。
「俺のが先に音をあげるなんて情けねぇの…」
ユーリは疲れきった自分の酷い顔を見て、冷笑した。
こんなに、あの子に依存していたなんて…………。
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昨日書き忘れてしまってたんですが…
川上さんの訃報に心が痛みました。
戻ってきてくれると思っていたんですが。
まだ信じられない。
ご冥福をお祈り申し上げます。
ノベルティなんですが〆切的にすでに無理でした。orz
金曜までにどうにかしなきゃいけなかった。うっかりしてました。
明日休みなら…っ!!ごめんなさい…
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次の日の朝。
ユーリはとうとうこの施設を巣立つ。
とは言ってもまだまだおんぶに抱っこの事実は拭えないが。
「ユーリたまには帰ってきてねっ」
「忘れたら許さないからな!」
「お土産も忘れんなよ!」
もう落ち着いていた子供たちも、いざ当日になると目を潤ませてユーリにしがみついた。
「あぁ。皆母さんにあんま迷惑掛けんなよ」
「ユーリに言われちゃおしまいね」
あははっと母親が笑った。
「なんだよそれ…」
ユーリがむくれると母親は優しく微笑んだ。
「いつでも帰って来なよ、あんたの家はここなんだからね」
「…あぁ」
ユーリも照れ臭そうに言う。
そして見送りの子供たちの顔を一人ずつ眺めて顔を曇らせる。
「……」
「…フレンなら…部屋に居るわ。」
「…そっか。」
「…無理矢理連れて来る?会いに行く?」
ユーリは首を横にゆっくり振った。
「いや、いい。辛くさせるだけだ。」
「あんたもね。」
母親の言葉にユーリは自嘲気味に笑った。
「フレンにとってあんたは誰にも代えられない存在なんだよ。
親でもなく、兄弟でもなく。ユーリという一人の人。時間出来たらちゃんと話してやりな。」
「…うん…」
ユーリは小さく頷いて、そしてまたいつもの笑みを浮かべて言った。
心配かけないように。
「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
母親に続いて子供たちも「いってらっしゃい」と口にする。
一人ずつ頭をくしゃくしゃ撫でてやって、ユーリは施設の門から出て行った。
「……………。」
フレンは一人でカーテンも開けない暗い部屋で
ぺたんと地べたに座り込んでお気に入りの絵本を見ていた。
ユーリが初めて読み聞かせてくれた本。
いつもワクワクしながら読めていたのに、今は寂しさしか出てこなかった。
「フレン」
母親が戸を開けて立っていた。
「まったくこんな暗い部屋で本なんか読んで、目を悪くするよ」
カーテンをシャッと開けると太陽の光が入り込んできた。
その光は、沈む心には辛過ぎるくらいの暖かさだった。
「さて、と。フレン、お掃除しなくちゃ。手伝ってくれる?」
母親が逆光越しに笑みを浮かべてこちらを見ている。
フレンは目を本に向けたままふるふると首を横に振った。
「…やだ。」
母親は初めて聞くフレンの反抗的な言葉に目を丸くして、苦笑した。
ユーリはすごいね、と。
「いたた…フレン、お母さん腰痛いわ。いたたたた…」
わざとらしく腰を摩る。
「………」
フレンはそれに目をちらりとやると暫く無視していたが、やがてゆっくり立ち上がった。
「フレンはいい子ね。」
『フレン、いい子にしてたか?』
「…僕…いい子じゃない…」
ぽたぽたこぼれ落ちる滴を、隠す様に抱きしめる。
「いい子だよ、フレンはとってもいい子。」
「…ふぇ…」
ついに声に出して泣きはじめたフレンを、母親はずっと抱きしめていた。
力を強めたフレンにユーリは優しく問い掛ける。
「どした?眠いのか?」
フレンはふるふると首を振った。
「…ユーリ…」
「ん?」
振り絞るような声がユーリに届く。
「…ユーリ、僕…僕もユーリと一緒に新しいお家で住みたい…」
「は?」
縋るような目を向けられた。
「何言ってんだよ、そんなの無理に決まってるだろ?」
「無理じゃないよっ?あのね、僕たくさん練習したの、」
「練習?」
フレンはこくこく首を縦に振った。
「歯磨きでしょ?お風呂だって一人で入れるし、
あとね、お母さんのお手伝いもたくさんしたからご飯だって大丈夫なんだよ!」
「……お前…いつから知ってたの?」
「夏にお母さんと、話してるの聞いちゃった」
なんてこった…
それはフレンがやたら一人でなんかしたがりだした頃だ。
急に成長を伺わせるような態度を見せたフレンに、ユーリは寂しさを覚えたものだ。
そんな前から…俺と暮らそうと頑張ってたのか…?
「…………」
ユーリはフレンを見詰めた。
かわいいかわいい俺のフレン。
さみしがり屋で、しっかり者で。
とても大切な存在。
手放したくない。
連れて行きたい。
「フレン…」
頭を撫でようとした手を、触れる直前、止めた。
「フレン、ダメだ。お前は連れて行かない。」
「…っどうして?僕迷惑かけないよ?一人で何でも出来るもん」
「そうじゃねぇ。俺学校行って、バイト行って、帰ってくるのは毎日夜だ。
休みの日だって一緒に居てやれねぇし、ここにいたらいつも寂しくないだろ」
「寂しいよ?だってユーリがいないもん!」
「一人で出来るっつっても限りがあるだろ。
俺お前に何もしてやれねぇしここに居た方がお前は絶対幸せなんだよ」
「幸せじゃないっ僕ユーリと一緒に行きたいっ」
「フレン!我が儘言うな!」
「……っ」
びくんと体を硬直させてフレンはユーリを見上げた。
「…フレンわかってくれ、お前のために言ってんだ…」
「……さい…」
青い顔をしたフレンがみるみる頬を赤らめて目に水の膜を張った。
「…めんなさい…もう、いわない…」
フレンは引きはがす様にユーリの体から離れる。
俯いた後ろ姿が、とても小さく、儚い。
「ごめんなさい…」
「ふれ…」
伸ばした手を避ける様にフレンは走って部屋を出てしまった。
これでいいはずだ。
連れて行っても、寂しくさせるだけだ。
これでいいはずなのに…
ユーリの心には痛みだけが残った。
ユーリが施設を出ると皆に知らせてから一週間が経った。
引っ越しはいよいよ明日に迫っていた。
子供たちは少し落ち着いて、また「遊んで」「遊んで」とユーリに群がる様になった。
だがフレンだけはユーリに近寄ろうとはせずに、母親の周りをちょろちょろくっついて回っていた。
お風呂から上がったユーリはお気に入りの金髪っ子が一人で絵本を読む後ろ姿に会った。
そっと近付いて本を覗き込む。
「お前本好きだなぁ…」
「ひゃっ!」
大袈裟にびくついた小さな体は振り返る。
「ユーリ…」
「懐かしいな、お前がまだ小さい頃は俺に本読め本読めってうるさかったんだよなぁ」
思い出して楽しそうに笑う。
「……今は一人で読めるよ?」
「そだな。」
と、フレンの体をひょいと抱き抱えて胡座をかくユーリの足の上に置いた。
抱きしめる様に腕を回すとフレンもしがみついてくる。
まだ小さかったフレンがこの施設に入って来たとき、
母親は他の子で手一杯で最後に入って来たフレンにまで手が回らなかった。
今は親になりたいと言ってきた人達のおかげでここの人数も落ち着いているが、
当時はそりゃ沢山の子供がいた。
子供(というか赤ん坊)がどちらかと言うと苦手なユーリが、
一人でいいから面倒見てくれと母親から押し付けられたのがフレンだった。
慣れない子守をして、必死に育てた子供、それがフレンだ。
いわばユーリはフレンにとって母親よりも母親なのだ。
他の子よりも情が移ってもしょうがない。
我が儘を言わない子で、手はかからなかった。
だけどいつもどこか嫌われることを恐れていて、自分の欲求を口にすることもないから、
心を探るのに時間がかかった。
それでもその心をなんとか読んで、プレゼントしたものが彼にとって「当たり」だったとき、
フレンはとても嬉しそうにするから、もっと喜ばせてあげたいと思うようになった。
絵本だって沢山読み聞かせたし、さみしがり屋のフレンは抱きしめられると落ち着くようで、
毎日毎日抱きしめてやった。
俺が居なくなるとさみしがるかな、と思っていたユーリだが、
フレンは今までそのことに対して何も感じていないようだった。
いつものようにお手伝いをして、聞き分けのいいお利口さんのままだ。
ちょっと寂しいと思ったのは俺だけなのか、とフレンの頭を撫でてやると、
フレンのしがみつく手がきゅっと強くなった。
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漸くオフライン更新しました。お待たせいたしました。
簡易的ですみません…またの機会があれば…ちゃんとページ作りたいとおもいます。
ノベルティと言う名の購入者特典をどうするか考え中です。
当日なかったらすみません…;;
3月下旬。
そろそろ引っ越しの準備をしなければならない。
少ないながらも荷物を段ボールに詰めなければならなくなってきて、
さすがに話さなければならない時期がやってきた。
中学校も卒業式を終え、アルバイトの面接も受け、採用された。
4月から働くことが決まっている。
朝、食器を洗う母親の隣で、その食器を拭きながらユーリが言う。
「今日皆に言う」
短く簡潔な言葉で。
「…そう。…なんか実感わかないねぇ、あんたが独り立ちなんて。
悪戯坊主のままだと思ってたのに!」
ふふっと笑う母親。
「…母さんには感謝してる。最後までここに置いといてくれて…今までホントありがとな」
それは初めて口に出す感謝の言葉だった。
今までも何度か引き取りたいと言ってきた親はいた。
だがユーリは既に物心がついていたのもあって、その人たちと暮らすことを拒否したのだ。
他人なんだと、捻くれた心は拒絶した。
そんな我が儘を、この母親は理解して受け入れてくれた。
素直になるのが苦手な性格だと知られていたから、直接こんな言葉を伝えたことはなかった。
ユーリは食器を全て拭き終えて布巾を置くと部屋から出て行く。
母親が少し涙ぐんでいたのは見ないフリをした。
夜、食卓は賑やかだ。
大きな机を囲んで家族が食事する。
今日のメニューは子供たち大好きなハンバーグ。
滅多に出ないご馳走に皆満面の笑みだ。
ユーリは母親と目配せして話すタイミングを探る。
そろそろごちそうさまというところでユーリが「あ~…」と声を出した。
「ハンバーグうまいか?」
ユーリが子供たちに聞く。
「うん!」「おいしいよ!」と皆元気に答える。
「そか、良かったな。今度からは一人分の取り分増えるぞ」
「え~?どうして?」と子供らは首を傾げる。
「俺来週引っ越すから。人数減りゃおかずは増えんだろ?」
思ってもないことに皆が黙ってユーリを見上げる。
「え?」「嘘だよね?」
と口々に弱々しい声が飛ぶ。
「春から高校だからな、こっからじゃちょっと遠いんだ。
っつってもそんな遠くねぇし、会おうと思えばいつでも会える」
「…嫌だぁ…」
「ユーリ出てかないで…」
子供たちが泣きそうな小さな声で縋るようにユーリを見る。
それを宥めながら、ふと青い瞳と合う。
フレンは無表情で、ユーリを見上げていた。
そして何も感じていないかのように俯きながらハンバーグをかじった。
思ってもみない反応にユーリは困惑する。
ただ、大好物であるハンバーグを食べているようにはとても見えなかった。
風呂から上がったユーリはやはり子供たちに囲まれた。
元気な子供たちをやっとの思いで寝かしつけ、フレンのところに行く。
フレンは本を読んだまま眠ってしまった様で俯せに広げた本の上に頭を預けていた。
くーくーと規則正しい寝息が聞こえる。
頬につく髪を払うように撫でてやれば「う…ん」と身じろいだ。
「…ユーリ…」
「寝言か?俺の夢見てんのかな、マジでかわいいなこのヤロ…」
そっと頭の下から少し大きめの絵本を抜き取って枕元に置いた。
隣に寝転ぶ。
このかわいい寝顔とももうすぐお別れかと思うと寂しくなる。
ユーリはずっと、高校生になったら独り立ちするんだと決めていた。
母親にも相談済みで、支援者が貸し出す格安のアパートも紹介してもらった。
高校生になったらアルバイトをしながら一人暮らしだ。
早く自立して、母親の負担を減らすことがユーリの目標なのだ。
どんな貰い手も拒んできたユーリの、恩返しだった。
子供達にはまだ言えてないけれど。
そろそろ言わなきゃなぁ、でもこいつきっと寂しそうな顔すんだろなぁ
そんな顔見たくねぇな…
でも逆に満面の笑みで送り出されても微妙だな…
と、そんなことをぼんやり考えながら、ユーリの瞼も段々重くなって、目を閉じた。
翌朝。
フレンは一番に目を覚ます。
隣にユーリが寝ていて優しく微笑んだ。
起き上がる。
台所で音がする。
お母さんはもう起きていて、全員の朝ご飯とユーリのお弁当を作っている。
部屋の入口で静かにその後ろ姿を見ていると視線に気が付いた母親が振り返る。
「おはようフレン、よく寝れた?」
こくっと頷くことで返事をする。
「ご飯まだだから顔洗ってきなさい」
「…お手伝いする…」
「そう?じゃあ先に顔洗ってからね。そしたら手伝ってもらおっかな」
「うんっ」
フレンは笑顔を浮かべて洗面所へ向かう。
昔は出来なかった歯磨きも、今ではちゃんと一人で出来る様になった。
「いてててててっ」
フレンがかちゃかちゃと食器を並べていると寝室から騒がしい声が聞こえた。
「ユーリ朝~っ」「起きろ~っ」と子供たちが上に跨がる。
「ちょ、重、重いっつの!起きるからっ」
たたき起こされたユーリは眠そうに頭を掻いて「ふぁ~」と欠伸をしながら起き上がる。
「ユーリ遊んで~」
「…朝っぱらから勘弁しろって…」
元気な子供たちになんで朝からこんな元気なんだと目を向けていると、
戸の所で立つ金髪と目があった。
手には茶碗を持ってユーリを見ている。
「おはよ、フレン」
そう言って笑いかけるとフレンもにこっと微笑み返してくれる。
「おはよう、ユーリ」
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最近友人にあったりしたこととか日記書き逃したりしてましたが
これだけは書いておこう!!
脱稿した…っ!!!!!
今日出版社さまへアップしてきました~~
これであとはどうなることやら待つだけです。
不備があれば明日また原稿作業へ戻りますが…;;
とりあえずおめでとう自分!お疲れ自分!!
時間と経済的な余裕を見いだせたらノベルティ的なものも…(いまから…)
とか考えてるんですがどうなることやら…
ただ本の発行部数が部数なのでノベルティというか購入者全員特典になりそうな……
何かあったほうがいいですかね???
また近いうちにオフラインを更新したいと思いますよ~~。
とりあえずトルネに溜まりまくったビデオをどうにかしよう…;
「さぁ~、良い子は寝る時間よ~」
母親の声に良い子たちはブーイングの嵐だ。
「えーっまだ眠くないよ~」
「まだ遊びた~い」
なんて反抗的な態度を見せる。そんな中フレンはパタンと読んでいた本を閉じると
布団を敷く母親を手伝おうと歩いていく。
「あら、フレン手伝ってくれるの?」
母親の優しい笑顔に微笑み返してフレンが頷く。
「じゃあこれお願いね」
薄手の掛け布団を渡してやると小さな体には大きいそれを一生懸命運ぶ。
その必死さが笑える、あ、いや可愛らしい。
「お前らも手伝えよ」
と周りに群がる子供たちに声をかけると
「やだ~」「ユーリ遊んで~」と聞き分けのない声が返ってくる。
「お前らなぁ…」
ユーリが呆れた様に言うのを見て母親は
「あなたもそっちの部類だったでしょ」と笑った。
なんて可愛いげのない子供だったんだろう、俺。
フレンを見ていると本当にそう思う。
欲がなく、ただ素でいい子。
お手伝いをよくして我が儘なんてひとつも言わない。
この孤児院創設以来の良い子だと俺は思う。
布団が敷き終わったのを見ると今度は女の子たちがユーリを一緒に寝かせようと周りを囲む。
「ユーリ一緒に寝よ~」
「俺まだ寝ねぇよ。風呂だって入ってねぇし」
「えぇ~早く入って来てよ~」
腕を掴んで立ち上がらせようとする。
「わかったわかった、入って来るから先寝てろ」
「そう言ってユーリまだ寝ないつもりでしょ~っ」
「寝るから先布団入ってろ。」
「やだ~ユーリ本読んで~じゃなきゃ寝れない~」
「はぁ?本なんて母さんに読んでもらえよっ」
「ユーリがいい~」
女の子たちはユーリに抱き着いて離さない。
そんな光景をただじっと見ていたのはフレンだ。
そんなフレンと目が合うとフレンは気まずそうに目を逸らした。
ユーリは女の子たちを引っぺがして寝支度を始めるフレンのところに近付く。
「フレンこんな端っこで寝んのか?」
「う?うん。」
こっくりと頷く。
こんなどうでもいい仕種までかわいいとはどうだ。
「そっか。じゃ風呂入ってくるから、隣開けといてな。」
よしよしと頭を撫でてやると期待に満ちた嬉しそうな顔を向けられて思わず抱きしめてしまった。
最初に注意書きしときます。
ユーリが中学生、フレンが幼稚園児の年の差設定です。
大丈夫!!な方はどうぞ。
全10話+おまけ(1話か2話)です。
まさに俺得な連載。

ユーリは孤児院育ちだ。
小さい頃に両親をなくし、この明星と言う孤児院で育った。
しっかり育ててもらったユーリは今年の4月から高校生だ。
ここまで育ててくれた母さんたちには頭が上がらない。
学校も終わって、孤児院に帰る。
「あっユーリ帰ってきたーっ」と家族が騒ぎ出す。
なんだかんだで面倒見のいいユーリは年下の兄弟たちに人気だ。
遊んで遊んでとせがむ子供たちに「後でな」と面倒そうに言う。
それでもその言葉の中に優しさがあるから子供たちはユーリを追いかけるのをやめないのだ。
「あら、お帰りユーリ」
母親が微笑んで出迎えてくれた。
ご飯食べるでしょ?と準備を始めてくれる。
ユーリは「あぁ」と頷いて席につく。
孤児院の夜は早い。
電気代節約のため夜は9時には就寝だ。
「…あいつは?」
「フレン?今お風呂入ってるわ」
「…ふ~ん…いつの間に一人で入れる様になったんだか…」
「一年生になったらお風呂一人で入るって目標にしてたからね、その予行練習。はい」
茶碗に盛られたご飯を受け取る。
質素なおかずとご飯を口に頬張る。
「あっユーリっ!」
「んぁ」
咀嚼していると後ろから呼ばれて振り返る。
そこにはお風呂上がりでほかほか湯気を体に纏ったフレンがいた。
4月から小学生になるフレンは金髪碧眼の男の子だ。
まるで女の子と見紛うような可愛さだが。
ユーリも一緒にお風呂に入るまでは女の子だと思っていた。
「おかえりなさい」
にっこりと、やや頬を赤らめて嬉しそうに言われた。
他の子たちとは違うこの可愛らしい反応はどうだ。
ユーリは茶碗と箸を置いて体ごと振り向くとちょいちょいと手招きした。
フレンは素直に近付いてくる。
その体をくいっと引き寄せて抱き留めた。
「いい子にしてたか?」
「うんっいっぱいお手伝いしたんだよ」
抱きしめられてフレンは気持ち良さそうに目を細める。
顔を近付けて風呂上がりの清潔な匂いを吸い込む。
「一人で風呂入ったんだって?」
「うんっ」
「ちゃんと出来たか?」
「ちゃんと出来たよっ頭も洗うとき目も開けたよっ」
「そっかそっか、偉いな」
濡れた頭を撫でてやるとへへ~と満足そうに笑った。
「あ~っ俺らにはユーリ後でって言ったくせにっ」
ご飯を中断してフレンと戯れているところを子供たちに見付かってしまった。
フレンはそんな子供たちの声に反応するようにユーリから体を離す。
「ぼ、僕あっちで本読んでるっ」
そそくさとその場を立ち去る。
フレンはあんな歳で遠慮というものが体に染み付いてしまっていて
二人きりでもないと甘えようともしてくれない。
母親に捨てられたフレンは嫌われることを極度に嫌う。
部屋の隅っこでぺたんと座り込んで本を広げて一人読む姿を見て、
ユーリは「お前らもちょっとは見習えよ」とタックルを仕掛けてくる子供たちに言った。
ユーリが中学生、フレンが幼稚園児の年の差設定です。
大丈夫!!な方はどうぞ。
全10話+おまけ(1話か2話)です。
まさに俺得な連載。
ユーリは孤児院育ちだ。
小さい頃に両親をなくし、この明星と言う孤児院で育った。
しっかり育ててもらったユーリは今年の4月から高校生だ。
ここまで育ててくれた母さんたちには頭が上がらない。
学校も終わって、孤児院に帰る。
「あっユーリ帰ってきたーっ」と家族が騒ぎ出す。
なんだかんだで面倒見のいいユーリは年下の兄弟たちに人気だ。
遊んで遊んでとせがむ子供たちに「後でな」と面倒そうに言う。
それでもその言葉の中に優しさがあるから子供たちはユーリを追いかけるのをやめないのだ。
「あら、お帰りユーリ」
母親が微笑んで出迎えてくれた。
ご飯食べるでしょ?と準備を始めてくれる。
ユーリは「あぁ」と頷いて席につく。
孤児院の夜は早い。
電気代節約のため夜は9時には就寝だ。
「…あいつは?」
「フレン?今お風呂入ってるわ」
「…ふ~ん…いつの間に一人で入れる様になったんだか…」
「一年生になったらお風呂一人で入るって目標にしてたからね、その予行練習。はい」
茶碗に盛られたご飯を受け取る。
質素なおかずとご飯を口に頬張る。
「あっユーリっ!」
「んぁ」
咀嚼していると後ろから呼ばれて振り返る。
そこにはお風呂上がりでほかほか湯気を体に纏ったフレンがいた。
4月から小学生になるフレンは金髪碧眼の男の子だ。
まるで女の子と見紛うような可愛さだが。
ユーリも一緒にお風呂に入るまでは女の子だと思っていた。
「おかえりなさい」
にっこりと、やや頬を赤らめて嬉しそうに言われた。
他の子たちとは違うこの可愛らしい反応はどうだ。
ユーリは茶碗と箸を置いて体ごと振り向くとちょいちょいと手招きした。
フレンは素直に近付いてくる。
その体をくいっと引き寄せて抱き留めた。
「いい子にしてたか?」
「うんっいっぱいお手伝いしたんだよ」
抱きしめられてフレンは気持ち良さそうに目を細める。
顔を近付けて風呂上がりの清潔な匂いを吸い込む。
「一人で風呂入ったんだって?」
「うんっ」
「ちゃんと出来たか?」
「ちゃんと出来たよっ頭も洗うとき目も開けたよっ」
「そっかそっか、偉いな」
濡れた頭を撫でてやるとへへ~と満足そうに笑った。
「あ~っ俺らにはユーリ後でって言ったくせにっ」
ご飯を中断してフレンと戯れているところを子供たちに見付かってしまった。
フレンはそんな子供たちの声に反応するようにユーリから体を離す。
「ぼ、僕あっちで本読んでるっ」
そそくさとその場を立ち去る。
フレンはあんな歳で遠慮というものが体に染み付いてしまっていて
二人きりでもないと甘えようともしてくれない。
母親に捨てられたフレンは嫌われることを極度に嫌う。
部屋の隅っこでぺたんと座り込んで本を広げて一人読む姿を見て、
ユーリは「お前らもちょっとは見習えよ」とタックルを仕掛けてくる子供たちに言った。
