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買い物を済ませて宿に戻る。
「ユーリ~おかえり~なのじゃ~っ」
「おかえりユーリ…あれ、フレンは?」
抱き着いてきたパティを綺麗に交わし中に入るとカロルから当然の質問が飛んできた。
「フレンはちょっと別行動とることになった」
「えっなんで!?」
「まさか喧嘩でもしたんじゃないだろうねぇ?」
レイウ゛ンが顎を摩りながら言った。
「違ぇっつの。……なんか…あいつんとこの副官が怪我したとかで連れてかれた」
「副官ってソディアとかいう子よね?別任務中の隊長が呼ばれるなんてよっぽどなんじゃない?」
「重傷だとは…言ってたけど…」
「それは大変ですっユーリ、場所は聞いていないのです?」
「いや…それは……、……」
「私も何かしてあげたいです…」
心配そうなエステルを見てユーリの心にチリッと疑心が芽生えていた。
なんで…エステルを連れて行かなかったんだ…?
わざわざ動いてもらうのを申し訳なく思った?
あいつなら有り得そうだけど命にはかえられないはずだ。
それにジュディに頼んでバウルで行った方が速いに決まってる…
あいつならすぐ考えたはずだ
嫌な予感がする………。
ユーリの心にモヤモヤと黒い霧が立ち込めてきた。
「無事だといいね…」
カロルの言葉にハッと我に返った。
カロルの言葉はソディアを指していたがユーリにはフレンへの言葉に聞こえて息を呑んだ。
「今は居場所もわからないんだし僕たちは僕たちで進んでいくしかないね」
カロルが話を纏めてそれに皆が頷く。
「じゃあ予定通りオルニオンへの支援物質調達を続けるのね。」
ジュディスが確認をとる。
今はボランティアでオルニオン開発へ物資を運んでいた。
「………」
「…青年は、フレンちゃん連れてった騎士に見覚えはないのよね?」
「ぁ?あぁ…」
「なるほど…検討も付かないってわけね…」
レイウ゛ンはユーリが考えることがわかっているようだ。
「悩んだってしょうがないわよ、それにその感じだとフレンちゃん……
いや、まぁその…ソディアちゃんのこと相当心配だったのね」
なんだと首を傾げる仲間に対してレイウ゛ンは心配かけまいと咄嗟にごまかした。
だがユーリにはわかっていた。
レイウ゛ンが言おうとしたことを…
フレンは全てわかった上で自分の行動を決めたってことだ。
「…のばかやろ…っ!」
ドンッと壁を拳で殴りつけたユーリに
まだ事を理解していない仲間はお互い心配そうに顔を見合わせることしか出来なかった。
…別れ際に言われた言葉が頭に何度も再生される。
ユーリ、…無茶はしないでね
何かを覚悟したようなあの目が、
頭からこびりついて消えてはくれなかった。
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その日ヘリオードに寄った一行は長旅に疲れて街に着くなり宿で休んでいた。
買い物当番であるユーリとフレンはそれを羨ましく思いながら街に買い出しに繰り出した。
「えーっと…あとはライフボトルと…各種グミ……最近消費激しいね」
「まぁ敵も強くなってきたしなぁ…」
「ちょっと無理し過ぎなんじゃない?
今日だってみんなくたくたで宿に着くなりベッドに突っ伏して動かなくなっちゃったし…」
「しゃぁねぇだろ、敵が強くて戦いが長引くのは俺にはどうも出来ねぇよ」
「君だって…」
ユーリの頬に優しく触れる。
そこには細い傷があった。
今はもう血も出ないくらい浅い傷だが手当てもされていないそれは痛々しい。
「こんなもん放っときゃ治る」とユーリが治癒術をかけようとしたエステルを拒んだ結果だが。
少し触れた手が暖かくなるのを感じてユーリはその手を引きはがした。
「術は必要ねぇって」
フレンは少しムッとしたように睨み付けた。
「ここだけじゃないよね、足の捻挫だって完治してないの知ってるんだよっ」
「痛くねぇっつってんの!」
「痛くないわけないだろ!?」
「俺が痛くねぇっつってんだから痛くねぇんだよ!」
「嘘ばっかり!庇いながら戦ってるの気付かないとでも思ってるのか!?」
「痛くねぇってんだよ!お前に俺の痛覚がわかるわけねぇだろ!」
「君はすぐ無理しがちなんだよっ必要以上のものを背負い込んで!
この間倒れたのも無理が原因じゃないか!」
「うっせーうっせぇっ!倒れたとか大袈裟なんだよっちょっと立ちくらみしただけじゃねぇかっ
大体なんでこんな話になってんだっての!買い物してただけだろ!」
「うるさいってなんだよっ僕は心配して言ってるんだろ!」
「余計なお世話!俺のことより自分の心配しろっての。
お前だって最近気が散漫でよく怪我してるじゃねぇか!」
「…僕はちゃんと治してるよ」
少し怯んだように見えたフレンは何でもないと繕うように声を出した。
その時ガシャガシャと地面を蹴る甲冑の音がこちらに向かって来た。
二人の男の騎士だった。
「フレン様!」
「フレン団長代行!」
フレンは呼ばれて振り返る。
「…君達は…」
「はっ我々ヘリオード駐屯部隊の騎士であります!
実は…フレン隊副官ソディア様が…お怪我をなされたとかで…」
「!ソディアが…!?」
「かなりの重傷とのことでフレン様をお見掛け次第お越しいただくよう言づてを賜っておりました」
「……そうか…ソディアが…」
「我々は場所を知っております。是非ご一緒に来て頂けないでしょうか…」
「………」
「フレン?」
口を挟まずに見守っていたユーリはフレンの様子に首を傾げた。
「行ってやれよ…怪我酷いみてぇだし…」
「ユーリ…」
「………?」
何か言いたげなフレンの瞳。
まるでユーリの姿を目に焼き付けようとでもいうような熱い視線だった。
しかしそれもすぐ伏せられた。
「…わかった。一緒に行こう。ユーリ、少し別行動をとる」
「へいへい、早く行ってやれ」
「……じゃあ」
フレンは騎士と走り出す。
しかしぴたりと止まって振り返った。
「…怪我、ちゃんとエステリーゼ様に見てもらいなよ。…あとくれぐれも無茶はしないように」
ユーリは面倒臭そうに手をひらひらと振って返事をした。
後になって思えばあの時のあの真剣な瞳に気付いてやるべきだったのだ。
「……ユーリ…」
「ん?」
「…眠い…」
「だ~め。もう一回」
「………」
フレンはもう重い瞼も頭も上げる体力なさ気にこくこくと舟をこぎつつある。
「…お前さぁ、俺のこと好きならなんで女と付き合えなんて言ってたワケ?」
告白を聞いてて疑問に思って当然のことを聞いた。
「…ユーリに好きな人が出来たら…諦めるしかないでしょ…?」
重い頭を上げられないままフレンは話す。
「…言う前にフッてもらえたら…親友ではいられるから…」
「…だから誰かと付き合ってほしかったのか?
俺はお前にそれ言われる度にフラれてる気がしてたのに…」
目の前で俯く頭を優しく撫でた。
「……ユーリぃ…」
「ん?」
「…好きだよ、…大好き…。ユーリが一番好き…」
「…っフレン…っ!」
「だからもう寝かせて…」
こてりとユーリに体を預けて目を閉じる。
「…って何でいらない言葉付け足すんだよっ!最後のさえなけりゃ…っておいフレンっ」
「…うぅ~…もうしつこいユーリ…」
「しつこいってなんだよ!?」
フレンはゆっくり体をユーリから離して重い瞼を持ち上げる。
「もう何度も言ってるんだからいいでしょ?で、返事はくれないの?」
「は?返事なんてオッケーにきまってんだろ、
俺さっきからずっとお前のこと好きだって言ってたつもりだけど?」
あっさりと言った。
フレンはむぅ、と眉を寄せて頬を膨らませる。
「なにそれ、軽すぎ。やり直し!」
「はぁ?」
「人には散々言い方注文しといて自分のその軽さはなに?僕だって妥協しないよ…!」
「だから好きだってばっガキん時からずーっと!」
「明日には忘れてる」
「忘れねぇってば!愛してます!」
「投げやり…」
「愛してるっお前だけだ!」
「………ほんとに?」
「あぁ!」
「うん、僕も愛してるよ、ユーリ」
にっこり笑って微笑んだ。
昔見たあの笑顔。
思わずかぁっと熱くなったユーリにフレンがまたこてりと体を預けた。
「ユーリ…もっと言って…」
甘えるその声にユーリは体を抱きしめながら耳元に囁いて応える。
「…愛してるよ…フレン…」
フレンは幸せそうな笑顔で夢の世界へ旅だった。
「フ~レ~ン~、なぁ顔上げて?」
「~~~っ無理…っ恥ずかしい…っ」
翌日起きてみれば昨晩の異常さが冷静な頭ではそれはキツイものがあった。
お互い好きだ愛してると何時間も言い合って見詰め合ったあの甘い時間。
素面の頭にはダメージが大き過ぎた。
「フレン、俺ちゃんと覚えてるぞ、お前が言ったこと、一言も忘れてねぇ」
昨日ユーリにもたれかかったまま寝てしまったフレンは
ユーリの腹辺りに顔を埋めて抱き着くような格好で目が覚めて動けなくなった。
恥ずかしさから腰に回した腕に力が入る。
「かわいいかわいい」と頭を撫でられ羞恥と嬉しさが混ざり合う。
なのに体を離すという考えは思い浮かばないから困ったものだ。
「ユーリ…」
「ん?」
「…もう女の人とお酒飲みに行かないでね…」
「あぁ」
フレンは漸くユーリから体を離して、笑顔を向けた。
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次回はシリアスです。多分。
「…告白しろってこと?」
「今なら断らねぇらしいぞ」
「で、明日には忘れてる君に「昨日告白してオッケーもらったよ」って自分で報告するの?」
「忘れねぇから安心しろ」
「言ってることが支離滅裂なんですけど…」
酔っ払ってると言ったり忘れると言ったり忘れないと言ったり…
もしかして相当お酒が回っているんだろうか。
それともやっぱりまともなんだろうか。
フレンはよくわからなくなってきた。
ただわかっていることはもう言ってしまったわけだし今更だということ。
明日忘れているにしろ、今フラれるにしろ対して変わらないか、
とだんだんめんどくさくなってきたフレンは半ば投げやりに言った。
「ん~、じゃあ付き合ってください」
「…いやだ」
「………」
フレンは本気で一発殴りたくなった。
言えって言ったくせに言うとフるってどういうことだ。
からかわれているんだろうか。
しかしユーリの口からは予想とは違う言葉が出てきた。
「もっとこう…ねぇのか?」
「何が?」
「顔を赤らめたり恥じらったりっていうの」
「…どうせ明日には忘れてるんでしょ」
「忘れてたら思いっきり殴っていいから、もう一回やり直し」
「……」
一体何の権限があってこんなことさせられてるんだろうか…
ユーリの真剣な顔にフレンははぁ、と一つ溜め息を吐いた。
「……ユーリ」
「ん!」
フレンがユーリの方を向いて座り直すとユーリも体をこちらに向けて姿勢を正した。
「……好きです。付き合ってください」
「…う~~ん…」
ユーリは腕を組んで考えている。
女の告白なら二つ返事で即オッケーするくせに何が気にいらないんだ。
フレンはユーリの言葉を待った。
「もうちょっと…気持ち込めらんねぇ?」
「…今更無理だよ。なんかこの告白おかしいもん」
酒の席で白状させられて、告白しろと言われて、挙げ句やり直しさせられている。
確かにユーリのことはずっとずっと、小さい頃から好きだったから
気持ちが全くこもっていないわけではないけれど。
「フレン、俺お前が女と付き合えっていうからとりあえず色んな女と付き合ってきた。」
「うん…?」
「今までは本命じゃないし適当にオッケーしてたけど今回のは妥協するわけにはいかないんだ。」
「…どういう意味?」
「意味は自分で考えろ。さ、もう一回!」
結局フレンはこのあと延々告白させられ続けた。
学校も終わって、ついに友人たちの泣き落としにも怯まなかったユーリとフレンは
帰りにスーパーに立ち寄っていた。
今日は何が食べたい?と聞いてみてもユーリはどこか上の空だった。
しょうがないので適当に特売の物をカゴに入れて後で組み合わせて考えようなんて思っていたが
酒コーナーのところでフレンはゆっくり立ち止まった。
「ね、ユーリ」
「んぁ?」
「たまには家で飲む?」
ユーリは酒をちらりと見て、「あぁ」と小さく頷いた。
缶チューハイを何個か並べて晩酌が始まった。
家でなら気兼ねなく飲めるとユーリも遠慮なく開ける。
そこそこいい感じになってきたところでフレンが聞きたかったことを尋ねた。
「ねぇ、気になることってなに?」
「ん?なに?」
「気になることがあるって言ってたろ?」
「…あぁ…」
ユーリは理解して顔を逸らして間延びした返事をした。
「…言いたくないならいいけど…」
「……言いたくないわけじゃねぇけど…」
「けど?」
フレンが続きを促すとユーリはゆっくり向き直って口を開いた。
「……好きな奴って誰…?」
「………またその話?」
お酒を口に入れようとしていたその手を止めて呆れたようにユーリを見た。
「またってなんだ。俺はお前が思うよりお前のこと考えてんぞ」
「………それこそ言いたくないわけじゃないけどって感じだよ…」
今度はフレンが顔を逸らした。
「じゃあ教えて、誰?」
「…聞いてもユーリ困るだけだと思うけど…」
「なんで困るんだよ?」
「…ユーリ今酔っ払ってる?」
「さぁ?ってか誰なんだよ」
「君が酔っ払ったら言う。」
「なんで、酔っ払ったら俺記憶……」
言ってから気付く。
なくして欲しいのか、記憶を。
「フレン、俺もう酔っ払ってるから。明日にはきっと何も覚えてない」
「なにそれ、信じられるわけないでしょ…」
「フレン」
「………」
それでも食い下がるユーリに
フレンはついに諦めた様にぐいっと缶に残っていた少しのお酒を飲み干した。
「…ユーリ…。」
「ん?」
「僕が好きなのはユーリ。」
「………」
「どう、後悔したでしょ?約束だよ、明日には綺麗さっぱり忘れてね」
フレンはまた次のお酒に手をかけた。
「…フレン」
「なに?」
「…俺今酒入ってる。酔っ払ってる。」
「…うん…?」
「なんか言うことねぇ?」
「………」
ユーリが促すことがわかってフレンは口の中の酒をごくりと喉に通した。
フレンのあの言葉を聞いて声が出なくなった。
自分が一番よく知る人物…
言われた時に数人の友人の顔が思い浮かんだがどれもしっくりこなかった。
それにやはり自分が一番よく知る人物とはフレンのことで、今やそれすら怪しい。
フレンに昔から好きな人がいる…
それを聞いてから今まで抑え込んでいた気持ちが溢れそうになる。
嫉妬という形で…。
「朝メール来てた」
「ふ~ん、誰から?」
ユーリの主語のない言葉にフレンは素直に質問を返した。
「カノジョから」
「…そう…」
「『お別れしましょう』って」
「………。絶対昨日のせいだよね…」
「あの程度でなぁ…努力するまでもなかったな」
「…君ねぇ…」
呆れたように言うのをユーリは言葉で遮った。
「お前だって付き合ってる奴いねぇじゃん、俺のことより自分のこと気にしろよ」
「だから僕には……っ、僕のことはいいよ、ユーリみたいにいい加減に人と付き合ったりしないから…」
「俺だって別にいい加減に付き合ってるわけじゃねぇよ」
「いい加減だよっ僕のことなんか放っとけばいいだろ!?」
「放っとけねぇから構ってるんだろ」
「…っ、……どうして…構わないことなんて簡単じゃないか…」
「知らねぇよ、放っとけねぇもんは放っとけねぇんだよ」
「………あまり優しくしないでくれ…」
「フレン?」
俯いて呟いた言葉はユーリには届かなかった。
「…ごめん、何でもない。それより早く食べて、もう出ないと遅刻するよ」
「ん、あ、あぁ」
先に立ち上がって食器を片付けるフレンを見てユーリも最後の食パンを口に含んだ。
「なぁユーリ、今日空いてるか?」
学校で顔を合わせるなり友人がユーリを誘った。
「…空いてるけど何?」
「合コンだよ、ご・う・こ・ん!」
「…お前ら俺が告られた時一緒に居たよな…?彼女いると思わねぇのか?」
「んなもんどうせもう終わってんだろ?」
「…………。」
図星なだけに返す言葉もない。
「な、フレンも。」
「え、あぁ…ユーリが行くなら…」
酔っ払いの介抱に…という言葉は濁した。
「よっしゃ決定だな!お前らが来ると女子のレベルも上がるんだよなぁ~」
楽しそうに期待を膨らませる友人だったがユーリは結構真剣な顔で言った。
「いや、いい。俺パス。」
「は!?いや、パスってなんで!?」
いつも嫌々ながらも二つ返事でオッケーしていたユーリが断って来て
友人は当てが外れたと目を丸くする。
「また知らねぇ女子と付き合うことになったら嫌だもんな。
ちょっと今気になることがあってそれどころじゃねぇ。」
きっぱり断ったユーリに続き、友人は涙目でフレンを見た。
「あ…ユーリが行かないんだったら僕も…」
「があぁぁぁんっ何なんだよお前らーっもう合コンあっても誘ってやらねぇぞー!?」
友人は必死に気持ちを向けさせようとするがフレンもまた、
ユーリの考えていることがわからず首を傾げるしかなかった。
結局デートらしい会話もあまり行われないまま初デートは終了した。
別れ際の彼女のあの不満そうな顔はユーリにはきっと届いていない。
タイムセールをするスーパーに向かう二人。
フレンは溜め息をつきながら言う。
「…ユーリ…君はあんなデートでいいと思っているのか?」
「あ?」
フレンの言葉に怠そうに聞き返した。
「だから、あれじゃデートって呼べないだろ?」
「…今日のはデートじゃないだろ、俺とお前がパフェ食いに行くのにあっちが勝手に付いてきただけだ」
「でも僕が居なかったらデートって呼べたよ。
彼女ずっと僕のこと邪魔そうに見てた、居心地すごい悪かったんだから…」
「…どっちかってーとあっちのが邪魔だろ…」
「え?何だって?」
「別に何も。とにかく終わったことはもうしょうがねぇ。」
「…今度こういうことがあったら彼女を優先してくれ。僕のこと気遣ってくれるのは嬉しいけど…」
「別に気遣ってねぇよ、俺のしたいようにしてるだけだ」
「なら今度からは僕の気持ちも考慮してくれ。」
「…へいへい」
ちゃんと僕が言ってることがわかっているんだろうか。
自分との約束を守ろうとしてくれるのは嬉しいけどあの場には居たくない。
彼女の為じゃない。
本当は自分の為に立ち去りたかった。
晩御飯も美味しくいただいてお風呂も入って漸く寝る時間がやってきた。
何だか気疲れしてやけに眠い。
先に布団に寝転がってふぅ、と息を吐いた。
ちょっとうとうとしてきたと思ったら上からずんっと重い衝撃を感じた。
「う゛っ」
「何だよもう寝んのか?」
重みの正体はユーリだった。
「………そうだよ、もう寝たいからどいてくれないか…重くて眠れない」
「………なんか最近お前ちょっと冷たくねぇか?」
「そんなことないよ、いつもと一緒だろ?」
「いや、絶対冷たい。」
「……じゃあどういう反応がお望みなんだい?」
言い切るユーリに溜め息を吐いて聞いてみた。
おちゃらけた答えしか返ってこないと思っていたから、ユーリが真剣な目をしていて息を呑んだ。
「…なぁ、好きな奴ってだれ?」
「………なに」
「好きな奴、いるんだろ?昔から好きだって奴が」
「………」
「昔からってことは俺も知ってる奴か?」
「………」
「……フレン?」
「………」
聞き出そうとする度フレンは辛そうに表情を歪めた。
「…そうだね…君が一番よく知る人かもね…」
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あれから一週間です。
今までなんと書いていいものかわからずコメントを自粛してきました。
私が住んでいるところでも揺れを感じまして家に帰ってテレビを見るまでは
まさかこんなことになっているとは思いもしませんでした。
募金や物資、他国からの活動、思いやりは力だと感じます。
まだまだこれからだと思います。
希望を失わず頑張っていって欲しいです。
早く傷が癒えることをお祈りしております。
これは…明らかにおかしいだろ…
最近出来た喫茶店。
付き合う男女が向かい合って座るのに、男の数が一人多い。
ユーリの隣に座るフレンは壁側に座らされてユーリに断らなければ歩き回ることも不可能だ。
つまりは逃げられない。
あれから説得を頑張ったフレンだが努力は実らず
結局この意味のわからない構図が出来上がっている。
明らかに自分は邪魔だ。
フレンはここから立ち去ろうと目論む。
だって彼女の目がそう訴えてきている。
「えーと…ユーリ、僕ちょっとトイレに…行きたいんだけど…」
「ダメだ」
「ダメって何!?」
「お前帰るつもりだろ、嘘下手だなぁ相変わらず…」
「………」
頬杖をつきながら言うユーリにむぅっとフレンは眉に皺を寄せた。
「じゃあはっきり言うけど帰りたい。僕居なくてもいいでしょ別に…」
「いやいる。このあと一緒に買い物すんだろ」
今日は行きつけのスーパーが18時からタイムセールをする日だ。
それはいつも「お一人様一つ限り」で二人で行くと得である。
「じゃあその時に待ち合わせよう」
「んなめんどいことしなくても一緒に行きゃいいだろ」
「だから今はデート中だろって言ってるんだ!」
「……パフェ食いに来ただけだろ?」
「………」
彼女はじとりと睨む。
何故かユーリではなくフレンを。
そう、自分の存在のせいでこれはデートではなくただパフェを食べに来ているという行為になっている。
自分さえいなければデートと呼べるのに。
「わかった、じゃあ席を離そう。僕カウンターに行くから」
「お待たせしました~」
提案の途中でタイミング悪くパフェを持った店員が来てしまった。
「あ、すみません、一人向こうの席に移動したいんですが…」
「え?あ、別に構いませんが…」
「よかった!じゃあユーむぐっ」
席を立つためユーリに一度立ってもらおうとお願いしようとした時、
勢いよく口を手の平で押さえられた。
誰の手って勿論ユーリの。
「ごめんお姉さん、席移動ないから全部ここに置いてって」
にっこり微笑む笑顔はよそ行きの嘘くさい笑顔。
「あ、はい…」
店員のお姉さんは頬を赤らめて可哀相にその笑顔に騙されてしまった。
テーブルの上に並ぶパフェとコーヒー。
ユーリのものだけ名物ジャンボパフェだ。
彼女の前には普通のパフェ、フレンの前にはミニパフェだ。
フレンはそれを美味しそうに食べはじめるユーリの横で仕方なくアイスを一口含んだ。
