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enikki-negai23.jpg



「…お前何でそういう考えしか出来ねぇの…?」
ユーリに先程までの勢いはなかった。
もっと、悲しそうな、そんな感情に変わっている。
「…何でって…」
フレンはごく当たり前の様に言う。
「僕の命は最下層だからだよ」
「…は?」
さも、当然のように言われたその言葉を、ユーリはうまくかみ砕くことが出来ない。
「僕の命は一番下。誰よりも、最後に考える。僕は、そういう立場にいるからね」
騎士の中の一番上である騎士団長、
その命は誰よりも下でなければならない。
最後の一人を助けて、そして漸く自分の命を考える。
「沈む船の船長は誰よりも先に逃げちゃいけないんだよ」
それはフレンにとって当たり前で、揺るがないし変わらない。
確固たる決意。
それはきっと、団長になってからじゃない。
騎士になった、その瞬間から持ち続けた信念なんだろう…。

「…そんで全部背負い込むのかよ…一人で抱えられるもんなんて高が知れてんだ、
 ぶっ壊れちまうぞ…」
ユーリがフレンの頬に優しく触れる。
「お前が傷付くことで心に傷を負う奴だっていんだよ、それは救ったうちには入らねぇだろ」
「…ユーリ…」
「お前の命はお前が思ってるほど軽いもんじゃねぇ。
 確かに何かあったとき、自分以外の人を優先させねぇといけないかもしれない。
 でもそれはお前の命を粗末に考えていいってわけじゃない。
 エステルだって、副官の姉ちゃんだって、あの陛下だって、
 ハンクス爺さんもテッドも箒星のおかみさんも、下町の皆もお前と旅した仲間も、
 騎士の連中だって、お前に何かあったら心を痛めるんだ。それを肝に銘じとけ」
「その中に、君は入っているの…?」
「あぁ、入ってるよ。多分…誰よりも…お前が傷付くことを恐れてるよ…」
「……うん…ユーリのお説教は心に染みるね…昔から…
 自分でも気付けなかったことをちゃんと言ってくれる…」
「……んな、たいそうなもんじゃねぇよ……」
フレンは首を振る。
「いや、この間だって……。僕は甘えてるって気付かされたよ」
「…いや、あれは…」
お前から逃げてただけだ…
ユーリは気まずそうに目を逸らした。
「お前を突き放すべきじゃなかった。ずっと後悔してた。
 お前には、弱音を吐ける存在が必要だったのに…俺は…怖かったから逃げ出した…」
ユーリが握り締めたシーツに放射状の皺が寄る。
俯いた顔を隠す肩は震えていた。
「ユーリ…?」
泣いているの?
伸ばした手をユーリはゆっくり握り返した。
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enikki-negai22.jpg



「……、…」
目をゆっくり開けるといつもの自室の天井が映った。
「よ、目、覚めたか」
その視界の端にひょっこり顔を出したのは幼馴染み。
「…ユーリ…」
「覚えてるか?」
「……大体は…僕は…生きているんだね…」
「お前が気を失った後ラピードとおっさんが皆を連れて来てくれたんだ。
 エステルにすぐ傷を塞いでもらったんだけど出血が酷くてよ、
 …あれから3日、眠りっ放しだったんだ」
「……3日………、…3日!?」
フレンはガバッと起き上がるも血が足りなくてフラリと体をベッドに戻すことになる。
「まだ寝てろよ、相当やばい状態だったんだからよ」
「そんなこと言ってられない、やることが沢山………」
あぁ、そうだ、今の自分にしなければならない仕事なんてあるのだろうか。
きっと団長の任は解かれることになる。
「ちょっと安静にしてろよ、血も足りてねぇし」
「…そんなことより陛下とソディアは?無事か?」
「そんなこと、ねぇ…」
ユーリは呆れる様に目を細めてフレンを見ると二人の無事を報告する。
「あいつらなら今頃後処理とかに駆け回ってるよ」
「…そうか…結局迷惑かけてしまったな…」
今度こそユーリはフレンを睨む。
「お前な、その自分だけ苦しめばいいみたいな考え方やめろ」
「…僕は大丈夫だよ、それより今の状況を少し教えてくれないか?何か出来ることは」
「だからっ!そんなことよりとかそれよりとか何なんだよお前!!」
起き上がろうとしたフレンの肩をベッドに押さえ付けてユーリが怒鳴った。
「……なに、怒ってるの…?」
フレンは突然のことに目を丸くしてユーリを呆然と眺めた。
「さっきからよ、自分のこと完全二の次に考えやがって…
 この件で一番重傷なのはお前なんだよ!
 国民も誰も怪我なんかしてねぇしお前がご丁寧に気絶させてただけの犯人の一味も
 今は意識を取り戻して取り調べを受けてる!
 副官の姉ちゃんも天然陛下も傷一つねぇ!
 3日も寝てたのはお前だけ!
 死ぬ手前まで血を出したのもお前だけ!!
 今安静にしてなきゃいけねぇのもお前だけ!!!わかったか!」
ユーリはまくし立てるとフレンに掛け布団を荒く被せて「寝てろ!」と締め括った。
「……そっか…誰も怪我しなかったのか…良かった…」
フレンがほっとしたように口にした言葉を聞いて、ユーリは思わず表情を苦痛に歪めた。

enikki-negai21.jpg


唇をゆっくり離すと、見開くフレンの瞳と視線が絡んだ。
「…ユーリ…」
「…俺に…お前か斬れるわけねぇだろ…」

こんなにも…こんなにも大事なのに………

「……ユーリは…僕のこと、嫌いなんだと思ってた……」
「そうだったらどれだけ良かっただろうな。もう喋んな」
ユーリは腰帯を解いて傷口に巻いた。
「エステルに看てもらうからな。もう少し辛抱しろよ」
ギュッと帯を結ぶと背中と膝裏に手を差し込んでその体を持ち上げた。
「…こんな軽くなっちまいやがって…」
鎧を着ていてこの軽さはなんだ。
ユーリは眉を顰めたがそのまま走り出す。
ユーリの腕の中で微かにフレンは微笑んだ。
「…そっか…嫌われてた訳じゃないのか…」
「黙ってろって!傷口開くだろーが!」

良かった、…良かった…
本当に心からそう思う。
君がいなくなった僕の世界には光はなかった。
君は僕の輝ける星。
僕を、照らしてくれる光源。
君が居なきゃ暗くて暗くて、迷ってしまう。
君が手を伸ばしてくれるから、僕は前を向いて歩いていける。

君が、笑ってくれる。
それだけで、救われる、単純な心。

ご飯を美味しく感じなくてもいい、
夜に眠くならなくてもいい、
自分の功績を感じられなくてもいい、

願う事はただ一つ…………


「……叶った……」

いまならほら、きみのわらったかおもおもいだせる……


フレンはそう小さく呟くと穏やかな表情のまま、腕を体からぶらりと力無く落とした。
「フレン…?」
動かない腕の中の愛しい人にユーリの足は止まる。
「おい…フレン、………っ、フレン!起きろよっ!おい!頼むから…起きてくれ…っ!」
がくりと膝が折れる。

何度呼び掛けても反応はない。
しかし微かに呼吸はしている。
今にも消えそうな、儚く力無い息遣い。

いかないでくれ、待ってくれ、
まだ、ちゃんと言ってないことあるだろ、
お前だって、ちゃんと聞くまで死ねないだろ、
そうだろ…?


頭では早く城に連れて行かなければと思うのに
なかなか足が言うことを聞いてくれない。


その時、遠くから犬の鳴き声と数人の叫び声が聞こえてユーリは顔を上げる。
「…助かる…絶対、助けてやるからな…っ!!」
金縛りから解けたようにユーリは立ち上がって自らも彼等に近付いた。





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自分の作画の遅さとか考えるとそろそろちんたらしてられない時期になってきた。
あせる。
絵日記に絵がなくなったらすみません。。。
enikki-negai20.jpg




キンッ

刃と刃がかちあう甲高い音が静寂を切り裂く。
「っやめろ!フレン!」
剣を合わせるユーリだからわかる。
何度も何度も、こうして会話してきたからわかる。
こんなに弱い剣だったろうか。
見た目だって少し痩せた様に見える。
前、会った時もそうだった…?
見ないようにしていたから、気付かなかった。
気付けなかった…。
それなのにフレンに迷いはないように見える。
それが逆に怖い。
何を考えて剣を振るっているか、認めたくない感情が読み取れる。
「…っ俺にっお前を斬れってのかよ…っ!!」
ユーリは力任せにフレンを押し返すと間合いを一気に詰めフレンの体を地面に縫い付けた。
二人の荒い息遣いだけが聞こえる。
月に照らされた蒼い瞳が透き通って綺麗だ。
こいつを、好きになった理由。
ユーリの心臓は一つ不整脈を刻んだ。
「…何で躊躇うんだ…」
フレンの低い声にユーリの肩が微かに跳ねた。
「君が言ったんだろ、悪党になるなら斬ると。」
「……理由も聞いてねぇのにホイホイ斬れるかっての…」
「権力を行使して国民に重税を課し苦しめた。君が嫌いな悪党以外何者でもないじゃないか」
「悪党は悪党っていわねぇんだよ、お前は自分がしたことに後悔してる。そうだろ」
「…後悔なんかしてない。僕は考えて行動した。」
「でもそれを悪だと思ってんだろ。だから俺に斬られて罪を償おうとしてる。」
「……そうだよ、僕はこの罪の償い方に君に斬られることを選んだ」
「勝手に決めてんじゃねぇよ、そういうのは俺が決めんだ」
「どうせ僕はこのまま生き延びても罪を問われるだろう、
 そうしたらどうなるかわからない。僕のことを邪魔だと思っている人は沢山いるからね…
 知らない誰かに斬られるくらいなら……」
「……フレン……」
フレンはじっとユーリの瞳を見詰める。
ユーリもそれから離すことが出来ない。
「……ユーリ……」
「…ぁ?」
「…君は…あの時何で会いたいのかって聞いたよね」
「………あぁ…」
「答えは簡単だよ…

君のことが好きだからだ」

「……、」
ユーリは目を大きく見開いた。
「…好きだから、会いたくなった。理由なんてない。それは理由にならないか…?」
「ふれ…」
フレンはゆっくり目を閉じる。
「ユーリ…時間がないんだ…早く…剣をとってくれ……」
「時間って……、っ!」
フレンの浅い呼吸で揺れる腹部が、黒く染まっていた。
「おま…っ怪我っ!」
ユーリが動揺して怯む。
腹部からは夥しい血が出ていた。
「……ユーリ…お願い…早く……」
懇願するような、濡れた声。
ユーリの目の前が黒く染まっていく。
何度も…

何度も、

何度も……


頭に過ぎらせてしまった汚い感情。


シンデシマウマエニ、ジブンノモノニシテオケバヨカッタ………


あぁ、せっかく……
隠していたのに……


ユーリは横たわったままのフレンの唇に自分の唇を重ねた。




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今日はへいあんじんぐうにつよしさんのライブに行ってまいりました~~~
時間すごい早く感じた…っ
まぁ1時間半なんで早いのは早いんですが。
雨もほとんど降らなくてよかったですvvv
しかし背中と胃がすごい痛くて立ってるのがものすごい辛かった…(汗)
いや、立ってましたが。たってないと見えないww

リフレッシュしてきたのでまた原稿頑張ります。(実は原稿中)
enikki-negai19.jpg


「団長!よろしいのですか!?」
ソディアはフレンに詰め寄る。
「こうなったのは全て私の責任だ。黙って陛下を見殺しにする訳にはいかない」
「ですが…っ」
「ソディア、今話した通り法を施行する。手配してくれ」
「団長!」
「聞いてくれ、ソディア。正し形だけだ。払えない国民から無理に奪わなくてもいい。
 暴力もダメだ。払ってきた国民の名前と金額は全てこちらで把握する。その間にソディアには…」
「陛下の居場所を突き止める為に動け、ということですね」
ソディアが先を言うとフレンは頷いた。
「出来るだけ早く頼む。騎士たちにはこちらから陛下のことはうまく隠して連絡する。
 陛下を無事お救いできたら金は全て持ち主に戻す…
 人々には…精神的苦痛を与えてしまうことになるが……」
「…わかりました。」
「…一ヶ月…一ヶ月が限界だ…。ヨーデル様のことだ…
 ご自分のことで人々が苦しむことはきっと望まれないはずだ…。」
一ヶ月…
それまでに見つけられなければ見捨てると…
フレンは覚悟を口にする。
どちらかを取らなければならない。

『甘ったれんじゃねぇ!』

あの時の言葉が頭に響く。
甘い考えは捨てなければならない。
あれもこれもと言ってられる子供時代は、終わったのだ。
自分の足で…しっかり立たなければ…。
また君は…こんな僕を叱るだろうか…。


「…すまない、頼めるのは君しかいない…」
フレンが頭を下げる。
「いえ、頼って貰えて嬉しいです。」
「ありがとう、君が信頼する一部の騎士には話してもらって構わない。
 出来るだけ早くヨーデル様の居場所を突き止めてくれ」
「はっ、了解しました!」
敬礼をし、ソディアはドアノブを持って立ち止まる。
「…フレンさま…」
「なんだい?」
「…全て終わった後…あなたは……」
「……。行ってくれソディア、時間が惜しい」
「…はい…」
ソディアは部屋から出て走り出す。
何かを決意したフレンの目が忘れられなかった。




「あの方はご自分がなさったことを絶対に許しはしない!
 早く行かないと取り返しのつかないことに…っ
 エステリーゼ様、いや、凛々の明星に頼みたい、ヨーデル様をお願いします」
ソディアが深々と頭を下げた。
「え、えっと…」
カロルがあまりな事実を聞かされて困惑しているとジュディが一歩前へ出た。
「それ、罪を償うってどういうことかしら。彼の所には今ユーリとレイウ゛ンが行ってるわ、
 彼に…斬らせるつもりなのかしら」
「えぇっそんなのダメだよ!すぐに止めに行かなきゃ!」
「だそうよ、これはうちのボスの命令だからここで見張りをするわけにはいかなくなってしまったわ」
「な!?」
ソディアは口をあんぐり開けて固まる。
「急ぐんでしょう?ボス」
「当たり前!皆行くよ!」
カロルに続いて凛々の明星の仲間たちは部屋を飛び出した。
18


バタン!
開かれた扉にカロルたちは身構えた。
しかしそこにいた人物を見て目を丸くした。
「ソディアと…ヨーデル…!?」
ドアの前には身を隠すようにマントに覆われたヨーデルとそれを誰かから守るかのようなソディアがいた。
エステルはすぐに駆け寄る。
「ど、どうしたんです!?怪我は…!?」
「私は大丈夫です。ソディアが怪我を…」
ソディアを見ると血色が悪く青白い顔をしていた。
重傷かと思いエステルが手を伸ばすがやんわりと断られた。
「…いえ、ただのかすり傷ですので。エステリーゼ様、ヨーデル様をお願いしてもよろしいでしょうか、
 私は団長のところに…行かなければ…」
「フレン?フレンは今どこに…」
「あの方は…罪を償おうとしてらっしゃる…早く行かなきゃ…」
頬や目元が紅潮し、今にも泣き出しそうな顔でソディアが言う。
「フレンはどうしたんです!?ヨーデル、フレンのこと何か知っているんです!?」
「こうなったのは全て私の所為です。フレンは私を助ける為に…」


ヨーデルとソディアの話はこうだ。

フレンとソディアがユーリに会いに行っていて城を留守にした間に
ヨーデルは評議会の強行派と親衛隊にさらわれた。
彼等の目的はただ一つ。
自分たちを地の淵に追いやったフレンの失脚。
エステリーゼを立て実権を握るつもりだった強行派の評議員、アレクセイを殺され道標を無くした親衛隊、
彼等の要求はただ一つ、恨むべき人物の苦しむ顔を拝むこと。
そしてその証となるものと皇帝の交換取引だ。


「あなたが苦しむことはわかっていますよ…
 民が苦しむこと…っ!!あなたの手で民を苦しめることであなたは苦痛を感じるはず!
 あなたはさぞや光に満ちた理想を抱いて騎士団長にまで上り詰めたのでしょうなぁ…」

その言葉にソディアの沸点はぶつんと超える。
「貴様…っ!!!」
「ソディア落ち着け!取り乱すと相手の思うツボだ!!」
「しかしっ!!!」
ソディアの肩を抑えるフレンの手は震えていた。
それを感じてソディアはやっとの思いで気持ちを抑え抜きかけた剣から手を離した。
「……私が人々を苦しめることなら…なんでもいいのか?」
フレンが相手を伺うように口にした。
「えぇ。民の信頼を根こそぎ奪うような…そんなシナリオを期待します。」
ニヤニヤと使いの人物が答える。
「……わかった。ならお金を用意しましょう。」
「金?」
相手が怪訝な顔をする。
「もちろん金庫から出すわけではありません。私の一存で、新たな法を施行します。
 民には今の10倍の住民税を課します」
相手はふむ、と口元に手を当てて考える風だった。
しかしにやりと口元を笑みに変えると「20倍にしてください」と言ってのけた。
「20!?そんなこと…っ」
ソディアが思わず口を出す。
「無理だとはわかっておりますよ。だからですよ。人々が払える金額ではだめなんですよ。
 苦しんでいただかなくては…」
「……本当に…ヨーデル様はご無事のまま返してくれるんだろうな…」
フレンは拳を握りながら相手を睨みつけた。
「えぇ、保証しましょう。3年後に、再度取引をすることを。」
「3年だと!?ふざけるな!!!」
再度剣に手をかけたソディアをにやりと見つめる。
「私を殺しますか?別に構いませんよ。私の人生は既に終わっている…。
 しかし私を殺すと皇帝は戻って来ない。私が帰らなければ仲間が皇帝を殺すでしょう…」
「…っく!!」
がちがちと剣の金属音が響く。
剣に掛けたままのソディアの手が震えている。怒りで。
「…わかりました。3年…ですね…」
「!?団長!?」
「ひひ…取引成立ですな」
窓に足をかけながら相手は言う。
「言っときますが後なんてつけないことです。私が何かを感じたら、その時は私は私の首を斬ります。
 そうするとどうなるか…わかりますな」
耐える二人の表情をにやりと最後に堪能すると男はゆっくりと窓の外に消えていった。




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修正したらやたら長くなった…。
17



フレンの瞳は虚ろで、何を考えているのかわからなかった。
こんな目をする奴だっただろうか…。
ユーリはゆっくりスピードを緩めた。
「…何やってんだよ…こんなとこで…」
月に雲がかかって、フレンの辺りだけ陰っていた。
まるで、暗闇の中にいる今のフレンを象徴しているようでユーリは拳を握る。
「……」
「答えろっ!どういうことだっ!お前は…何をしたかわかってんのか!?」
フレンはゆっくり口を開く。
瞳に光は宿らない。
「…分かってるさ…国民に、重税を課し、苦しめた」
「!お前…っ」
「許されないことをしたよ。沢山恨まれた」
「…何がしたいんだよ…お前…」
「…ユーリに話すことはないよ…自分で考えて…最善だと思う行動をとった。」
「最善だと…!?ふざけてんのかお前…」
ユーリの拳に力が入る。
「ちょっと青年落ち着いて!」
レイウ゛ンが前に出た。
「最善って?フレンちゃんがこんなことしたのには何か意味があるんでしょ?」
「……確かに意味はあります。ですがそれを公表するつもりはありません。」
月にかかっていた雲が途切れて、辺りを光が包んだ。
明るくなって、フレンの周りに横たわる男たちを確認出来るようになった。
「…なんだこりゃ…」
倒れた男たちは見知った格好をしていた。
評議会の格好と、騎士団の格好…
「…強行派と…親衛隊…?」
レイウ゛ンが静かに口にした。
ポタポタと、フレンの持つ剣から赤い液体が落ちていた。
「…お前の政策の後ろには…強行派の評議会が関係してるって聞いた…何があったんだ…」
「…言ったはずだ。理由を公表するつもりはない。」
「んなんで納得すると思ってんのか!?お前は説明しねぇといけないことしたんだよっ!
 何で何も言ってくれない!?」
「…ユーリが言ったんじゃないか……君に出来ることは何もないよ」
フレンは剣の切っ先をユーリに向けた。
ユーリの目が見開く。
「…僕を斬りに来たんだろう?ならそうするといい。」
「その前に話させろって言ってんだよ!」
フレンは言葉が聞こえていないように走り出す。
振りかぶるフレンの剣を咄嗟にかちあう所だけ鞘から抜いた剣で食い止める。
「やめろっ!話を聞かせろっつってんのがわかんねぇのか…よっ!」
力を込めて押し返す。
「…話をしてどうするんだ…?僕がしたことはもう取り返しのつかないことだ。
 話して罪が消える訳じゃない」
フレンの瞳に微かに光が射す。
まるで、こうなることを望んでいたかのような、そんな目だった。
16



門番が馬を小屋へ連れて行っている間にユーリたちは城に潜り込んだ。
「ラッキーだったね」
カロルが素直な感想を述べるがユーリは眉を寄せた。
「…間抜け過ぎんだろ…」
仮にも団長補佐がする行動とは思えない。
「ま、どんな罠かは引っ掛かってからのお楽しみってね。フレンちゃんの部屋まで急ぐわよ」
城の中は閑散としていて殆ど人の気配がなくてそれが返って不気味だった。
苦労することもなくフレンの部屋にたどり着いた。
「行くぞ」と全員の意識をアイコンタクトで確認しドアノブを捻る。
手の平に思っていた以上に汗をかいていることに気付く。
剣を持つ手が滑るかもしれないと頭の片隅で考えながらも
それを拭う余裕はなくてそのまま勢いに任せてドアを開けた。
「フレン!」
全員が威嚇の為に武器を構えたが、それはすぐに下ろされた。
「…あれ?」
「…やられたっ」
フレンはおろかソディアの姿もそこにはなくて、
大きく開け放たれた窓が風に押されてキイキイとなっていた。
「くそっ追うぞ!」
「えーっどこ行ったかわかんないのに…っ」
カロルが文句を言ったがユーリはそれも聞かず窓から外に飛び出していた。
「ユーリ!…ったくお前さんが冷静さを欠いてどうすんだっての!
 皆はここで待機!おっさんはユーリを追いかけるから!いいわね!?」
確認を取りながらもレイウ゛ンの体は既に窓から外に出て空中にいた。
「ちょっと…っ!」
とカロルがすぐに窓際まで駆け寄るが走り去っていく小さな影しか捉えることができなくて、
とりあえずここに残った男は自分一人で、自分がしっかりしないとと仲間に向き直った。
そこには神妙な表情が並んでいてカロルは怯みながらも指示をする。
「…え、えっと…待機だって。皆大人しくしてようね、ね」
「…フレン…」
「あいつどういうつもりなのかしら…」
「ユーリ…フレンと戦うんかのぉ…」
「それはフレン次第だわ」
自分よりも落ち着いているらしい女性陣を前に
カロルは苦笑いを浮かべて大人しくするしかなかった。


「青年っ!ちょ、待ちなさいってっ!お、おっさんの歳も考えてっ!」
「だったら付いてくんなって!」
「そういう訳にはいかないでしょっ青年が暴走しないようにっ止めないと…っ
 って!お願い少し休憩…っ!」
「一人でしてろっ!」
二人はそれでもスピードを落とすことなく走り続ける。
闇雲に走っているわけじゃない。
先頭にはラピードがフレンの馬の匂いを追っている。
間違いなく、走り続けていれば会えるのだ。


そして、その時は訪れた。
闇の中に映える金色を目に捉える。
「フレン!!」
名を呼ぶとそれはゆっくり振り返った。



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今日も更新うまくいってない感じだったんですが
壬のPCでの話なんですがどうやら「カテゴリー」をクリックして見ていただくと
アップされてる???みたいです。
公式の質問掲示板でも最新記事があったりなかったりするなどの質問が以前あったようで
そのバグが残ってる感じなんでしょうか。(解決したと書いてましたが…;;)
一応予約更新は毎日設定しているのでもし最新記事が一番上になかったら
カテゴリークリックをお試しくださいませ。

または翌日になってしまいますが壬が手動更新するまで記事が更新されない感じかもしれません…。
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