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わかった。
なんかよくわからねぇがこいつはフレンだ。
もうそういうことにした。
女だけどもうどうでもいい。
俺の第六感がそう言ってる。
そしてこの目の前にいる理想の女がフレンというのなら最早遠慮することはない。
ぎゅうっと抱きしめる手を強める。
「い、痛い…ユーリ…」
「ん~、あんたなら平気だろ」
「どういう…」
「まぁまぁ…」
右手でフレンの髪をかきあげる。
「髪ふわふわだなぁ」
あいつと同じ。
好きなところを全て残して性別だけ変えるとはやるなフレン。
唇を寄せてこめかみにキスをする。

ダンスの曲はだんだんムーディーなものになり、時間が遅くなるにつれ雰囲気も出て来る。
明かりも少なく薄暗い。
堂々とイチャイチャ出来るシチュエーションというわけだ。
だからユーリも遠慮なくちょっかいを出す。
一方フレンはこんな人前でベタベタしたがるユーリを見るのは初めてで、
どう反応すればいいのかわからなくなっていた。

この反応は…ユーリは僕のことそういう目で見てるのかな…
いっそこっちも思い切ってユーリに触れてしまおうか。
躊躇いながらユーリの背中に腕を回して距離を縮めてみた。
「…かわいいなぁ」
と小さく呟かれてまたユーリは大事そうに抱きしめ返した。
そうして恐らく下町で一番いちゃついた二人は時間も忘れて抱き合った。

カチン

と頭の中で時計が動いた。
はっとフレンは現実に引き戻されて顔を上げた。
近くにある時計を見た。
時間は日付が変わる10分前。

『0時になったら解けるから』

魔女の言葉が頭に響く。
フレンはこの幸せだった時間に別れを告げるように抱きしめる腕を強めた。
頬をユーリの肩に擦り寄せて、目を閉じる。
「…ユーリ…」
「ん?」
ユーリはそんなフレンの頭を優しく撫でる。
「…ユーリ…」
「だからなんだよ」
ユーリが苦笑する。
「…ユーリ」
「…どうした?」
心配そうに覗き込んだユーリにフレンは笑顔を見せた。
「お腹空いちゃった」
「…は?」
「何か買ってきてもらっていい?お腹空いて動けない」
「はぁ?おま…今そんなこと言うタイミングじゃ…」
「お願い」
そう微笑まれたら断るわけにもいかず。
ユーリは渋々買いに行く。

「ユーリ、好きだよ」

かかっているはずの音楽も人の話し声も、何もかも耳に入らなかった。
ただその言葉だけが真っ直ぐ響いた。
「行ってらっしゃい」
「…あぁ」


見送るフレンの顔から笑みが消える。

「…ありがとう、ユーリ」

フレンは静かにその場から離れた。
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