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フレンは立ち上がって距離を詰める。
「…ユーリと踊りたい…ダメかな…」
「い…いや…」
心臓の音が煩いくらい耳につく。
相手にも聞こえてるんじゃないかというほど。
自分はフレンにフラれて傷心の身だ。
そして今、そのフラれた相手に瓜二つの女に恋をして、心臓を高鳴らせている。
どこまでも、あいつのことばっかりだ。
あいつにはフラれているし、男同士、想いが成就する可能性は少ないだろう。
それなら、俺を誘ってくれるこの女なら…
ユーリは女の手を取った。
ゴミ集積場をあとにし、下町の広場に戻る。
女連れであるユーリを見て、下町の住人が冷やかしにやって来た。
「おいおいっユーリ女の子と一緒かよっ」
と近付いたおっさんはその女の顔を見て「なんだ」と呟いた。
「フレンか」
「!」
フレンはビクンと肩を揺らした。
ばれている!?
それならユーリは…
ちらりとユーリに視線を向けるとユーリは呆れた顔をしていた。
「よく見ろよ、おんな」
「え?あ、ホントだ、あまりに似てたんで気付かなかったよ」
「……」
フレンはばれてはいないようだとホッと肩を下ろした。
「それにしても似てるな、あ、フレンってのはこいつの親友でさ、こいつと違って品行方正な奴でさ」
とフレンにフレンの説明をしてくれた。
「あ、そうなんですか」
とフレンも何食わぬ顔で頷く。
「にしてもお前好みがわかりやすいったらねぇな」
とおっさんは笑った。
「うっせぇな、関係ねぇし、誘われたのは俺の方」
「他の女はこっぴどく振ってるらしいのにな」
にひひと笑い続けるおっさんにユーリは怒りで目を細めた。
「そう怖い顔すんなって!」
どうやら飲酒して酔っ払っているらしいおっさんはバシバシとユーリの肩を叩いた。
「こいつのことよろしくな、言葉遣いと目つきは悪いが根はいい奴なんだ」
「余計なお世話だっ」
ユーリがおっさんの頭をべしっと叩いた。
フレンはにっこり目を細めて、「そうですね」と笑った。
「でもユーリはすごく優しいよ」
とキラキラした瞳を向けられてユーリは怯んだ。
おっさんは恋をする瞳を目の当たりにして「ごちそうさん」と
最後にもう一度ユーリの背中をバシンと叩くと笑いながら立ち去って行った。
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