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enikki-sin9.jpg


フレンは悩んでいた。
自分の姿を確認したのはあの魔女が取り出した鏡でだけだ。
もしもそこに写った虚像こそが魔法だったりしたら…。
一種の催眠効果で胸があるような錯覚を覚えているだけだったら…。
自分は今男のままで格好だけ女だったりするんじゃないかとか次から次へと心配事が出てくる。
本当に女になっているなんてとても信じられなくなってきてクレープ屋に向かうのもやめて
ゴミ集積場の傍でうずくまっていた。
ここなら誰も来ないだろうと。
このままここで日付が変わるまでじっとしていよう、
あぁ、でももし本当に女の子になっていたならユーリに…
言えない気持ちを打ち明けるチャンスなのに。

どうしようと頭を抱えていると、「どうしたんだ?」と声がして思わず固まった。

この声は……

「女がこんなトコで一人でいるの危ないと思うけど?」
ゆっくり腕の中から顔を上げると見慣れた足元が見えた。
黒い背景に同化するんじゃないかってほど全身真っ黒な出で立ち。
視線を上に上げていく。
想像通りの顔がそこにあった。

一方ユーリはその上げられた顔に息を呑んだ。
女だと思ったその人がフレンに見えたのだ。
瞳の色が、瓜二つだった。
彼と同じこんなに鮮やかで澄んだ青を持った人を、ユーリは見たことはない。
一目で落ちてしまった。

「…な、なにしてるんだ?こんな所で…迷子か?」
ユーリは激しく動揺しながらも平静を装った。
「え、あ、いや…まぁそんなトコ…」
フレンは顔を逸らして隠しながら言った。
「迷子なのか?だったら俺が連れてってやろうか?この辺詳しいけど」
「い、いや、いいっ大丈夫っ…です」
「そっか?」
よく見るとユーリの手にはゴミ袋が握られていた。
クレープ屋のゴミを捨てに来たのだろう。
迂闊だった。
屋台で働いていたのだからゴミを捨てにくることくらい簡単に想像出来ただろうに。
ユーリはそのゴミをゴミの山の中に置くと振り返る。
「大丈夫って…こんなところでうずくまってて大丈夫には見えねぇんだけど…」
「ほ、本当は迷子じゃないんだ…」
フレンは思う。
ユーリは自分を女だと思っている。
つまり、自分は本当に女になっているのだ。
今なら異性としてユーリに近付ける…。
勇気を出せば…ユーリと願った形でいられるかもしれない…。
フレンの手は震えていた。
「…ユーリ」
「ん?」
あれ、名乗ったっけ?とユーリが心の中で思う。
「ユーリに会いに来た、一緒に、ダンスを踊ってほしくて…」
フレンはじっとユーリを見詰める。
その熱い瞳にユーリはごくりと唾を飲み込んだ。
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