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行きで体力を殆ど消費してしまったことと、夜遅いことから生ずる睡魔に勝てなかった子供二人を
背中に背負い、ユーリとフレンは慎重に岩場を下りていく。
ユーリに背負われた子ユーリは(ユーリ的には子フレンを背負いたかったが
フレンと子ユーリに全力で却下された)くいっとユーリの髪を引っ張ってユーリを呼んだ。
「なんだよ?」
「…絶対泣かせんなよ」
「おーおーいっちょ前なこと言うなぁ」
「絶対だからな」
子ユーリの声に真剣さが含まれていることを感じたユーリは「あぁ」と一言だけ答えた。
「ユーリと僕はずっと仲良しなんだね、嬉しいな」
子フレンは半分意識を夢の中へ飛ばしつつフレンの背中でふふ、と笑った。
「これからもずっとずっと仲良しでいてね」
「うん、そうだね」
背中の子供が意識を失って次第に重くなる。
それを一度背負い直して岩場をひょいっと下りた。
二人の子供を孤児院へ送り届ける。
二人は既に眠ってしまっていて、院の母親は「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」と受け取った。
起こそうかとも思ったが、このままこのありえない出来事は
二人にとって夢であったのかもと思ってもらった方がいいという判断で起こさなかったのだ。
少し寂しい気もしたが、実際ユーリとフレンはこういう体験を夢でしたことがあるような気がしていた。
それは子供二人が体験したことが自分たちの記憶に何らかの影響を及ぼしたのかもしれない。
もしくは自分たちが体験した記憶を思い出してきたのか…。
とりあえず二人は子供を院に返すとほころびの出口まで歩いた。
そういえば、と話始めたフレンの次の言葉をユーリは静かに待った。
「僕ね、星見つけてたかも」
「は?」
星を見つけただけでも?なのにかもとはどういうことだ。
「僕だけの星」
フレンはとても嬉しそうな笑顔を向けてくる。
意味を問い詰めても「内緒」とだけ言われて微笑まれた。
僕の願いを聞いたのも、叶えてくれたのも、ユーリなんだよ
「おっっっそいのよっ!!」
すっかりお月様が夜空に煌々と輝く時間。
漸く帰ってきたユーリとフレンを仲間が睨みつけながら向かい入れる。
「まったくっ街見てすぐ帰ってくると思いきやっ何してきたのよ!」
予想通り。リタはカンカンだ。
だから黙らせる言葉だってちゃんと用意済みだ。
「あぁ、ちょっと星空の下で結婚式を挙げてきた」
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次回からは公式コメディです。女体化注意です。(※女装ではありません)
シ○デ●ラパロです。
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「…は?」
ユーリはきょとんとフレンを見詰める。
なんだか言い負かしたみたいで気分がいい。
口ではこの幼馴染みには勝てないのだ。
「ユーリ僕と家族になってくれるって言ったのにまだ叶えてくれてないから…」
わざとがっかりした様子で言う。
「…は?は!?いや、お前、それって…っ」
動揺するユーリを見てフレンは更に気分をよくする。
「いつになったら叶うのかなぁ、僕の願い事は…ねぇ?」
フレンは自分の足の上で首を傾げる子フレンに笑いかける。
「願い事…ユーリと本当の家族になれますように?」
子フレンがそう聞くとフレンは優しく微笑む。
「目標は沢山出来たけど僕の願い事はこの時から変わらない…たった一つだけなんだよ」
「…………」
今まで…
今までフレンに先にプロポーズ紛いの言葉を先に言われて意気消沈、
今更自分が言ったって、とか、
実はユーリ的にはもう家族っていうか勝手に夫婦みたいだなんて思っていたので
何も進展を促さなかったのだ。
フレンはずっと待っていたということだ…
ユーリが言ってくれるのを…
「…もうなってるみたいなもんじゃねぇの…?」
「そんな「告白もしてないのになんか付き合ってた」みたいなノリは嫌だ。ちゃんと言ってほしい」
フレンがむっと眉を寄せた。
「……言うべきか…?」
「言ってくれない気か?僕は言ってるのに。僕はいつまで返事を待てばいいんだ?」
フレンは睨むように真っ直ぐ見詰める。
暫くの沈黙のあと根比べに負けたような形でユーリが静かに口を開く。
「…じゃあ…家族になるか、本当の」
あまりに素っ気ない言葉だったがフレンの表情は綻ぶ。
ユーリの顔は赤い。
素っ気ない態度も照れ隠しだと知っている。
だから怒る必要なんてない。
返事はとっくに決まっている。
「はい」
なんの儀式があるわけじゃない。
結局ただの口約束にすぎない。
それでも言うのはすごく緊張するし、これを言うことによって二人の距離が変わるのは確かだ。
嬉しくてフレンの表情は緩みっぱなしだ。
「待たせすぎだよね」
ふやけ顔のまま子フレンを抱きしめた。
あんな言葉一つで世界一幸せだと言うような笑顔を見せるフレンを見て、
子ユーリは絶対フレンを悲しませるようなことはしないと、心の中で静かに、だけど強く誓うのだった。
「さて、とりあえずここから動こうぜ。もう暗いし。子供は寝てる時間だろ」
ユーリがそう言って立ち上がると3人も立ち上がる。
「ガキ扱いすんな」
「そうだよ、おっきい僕とユーリだって一緒に寝てるくせに。僕たちと一緒だよ」
「一緒に寝てる?」
「さっき言ってたでしょ?寝たって」
「………ちょ、フレン…っ」
「…へ~え?」
子フレンの言葉に子ユーリは動揺し、ユーリはにやりと笑みを作った。
子ユーリにもその言葉が意味するところはわかっていなかったが
何となくいい予感はしていなかったのだ。
「そうだよなぁ、お前らも一緒に寝るんだよなぁ、仲のいいこったな」
ユーリの笑みはなんだか怖い。
どろどろとしたものを感じとった二人はお互いの体を寄せて引っ付き合った。
「ユーリなんか怖い…」
「そんなこと言うなよ、お前が今くっついてんのと同一人物だってのに」
一歩近付くと子供らは一歩後退した。
「うわ~んっ怖いよ~」
子フレンは逃げ出し少し離れて立っていたフレンにしがみついた。
「うわっ、なに?どうしたの?」
「ユーリがいじめる~っ」
何かを探していたらしいフレンは話を聞いていなかったようで首を傾げた。
「ユーリ…」
フレンが呆れたように睨むとユーリは両手を挙げて無抵抗の意思を見せた。
「いやこいつが俺と一緒に寝てるとか言うから。話の流れ的になぁ?」
「同意を求められても困る」
少し顔を赤らめたフレンはしがみつく子フレンの頭を優しく撫でた。
「小さい頃の君は純粋で可愛かったのに…」
「人は知識を得て汚くなるものなんだよ」
「ぷ、何哲学者みたいなこと言ってるの」
クスクス笑うフレンの元に近付いてしゃがみ込む。
「何探してたんだ?」
今なんか探してただろ?と首を傾げる。
まぁここでこいつが探すものなんて聞かなくてもわかるけど。
「…星がね、落ちてないかと思って」
「お前まだそんなかわいいこと信じてんのか?」
「いやさすがに…でももし願いを聞いてくれるなら縋ってみるのもいいかなって」
「珍しいな、なに願うんだよ、世界平和か?」
ユーリが言うとフレンはゆっくり首を振った。
「それは自分の力でなんとかするよ」
「頼もしいけど「自分」じゃなくて「皆」の力な。」
そこを訂正するとフレンは苦笑して「そうだね」と言葉を噛み締めた。
それでも尚答えを求めて見詰めてくるユーリに視線をしっかり合わせて不敵に笑った。
「ユーリが願い事を叶えてくれますように、だよ」
「あれ、ユーリ夜だ」
フレンが何とも素っ頓狂なことを言ったので全員が首を傾げた。
「夜だな」
としか答えることができなくてユーリは頷いた。
「いや違うそうじゃなくて。もしかして僕たちの世界でも時の流れは一緒なのかと思って…」
つまり、現実世界でも夜なんではないかと。
そしてその間、仲間はずっと岩場で待ちぼうけということになる。
リタあたりが黙ってはいないだろう。
「…すっかり忘れてた…
っつーかあいつらにしたら俺らは今ヨームゲンにいることになってるわけだから
余計こんな遅くなる予定じゃなかっただろうしな…」
リタの怒る顔を想像して思わず苦笑してしまう。
というより怒るリタを宥める仲間たちに思わず悪いと謝りたくなる。
「んじゃぼちぼち帰るか。」
「そうだね、これ以上待たせるのはどうかと思うし…」
「えっ帰っちゃうの!?」
子フレンがユーリにしがみつく。
「あぁかわいい…っお前もかわいいけど素直な部分は少なくなったよな…」
「僕は十分素直なつもりだよ。あとかわいいとは思ってくれなくていいから」
フレンがじとりとユーリを睨むとユーリはいや、と首を振った。
「絶対素直じゃねぇ。かわいいっつってもそうやって反発するし」
「かわいいと思われたくないからだろ」
「俺がいなくても寂しくないって言うし」
「実際寂しくないから」
「お前…っ俺のこと好きだって言ったくせにっ!」
「好きだけど…」
ユーリとフレンのやり取りは包み隠さず子供たちの目の前で繰り広げられる。
「お前本当に俺のこと好きなの?友人としてとかぬかすんじゃねぇだろな」
「いやちゃんと好きだってば…」
「俺と寝たのも一時の気の迷いとかじゃねぇんだろな」
「いっ今そういう話を持ち出してくるなっ」
フレンは顔を真っ赤にして睨む。
「どうなんだよ?」
「…君は…僕のこと信じられないのか…?」
「そういうわけじゃねぇけど、言葉で聞かねぇと自信持てないことだってあんだろ」
ずいっと距離を縮める。
真剣な眼差しを向けるユーリに、ここは答えなければ後々拗れそうだとフレンも観念する。
顔を更に紅潮させてユーリの望む答えを口にする。
「…ユーリと…ね、寝たのも…気の迷いなんかじゃないし…
ユーリのこと、友人とは違う意味で好きだよ…」
「そっか」
ユーリはにっと笑うと隣に座っていた子フレンの目を優しく手で塞ぐとフレンにキスをした。
「…っ!」
してやったりと不敵な笑みを向けるユーリを真っ赤な顔で睨む。
そしてもう一人、顔を赤くするのは、そんな二人を目の当たりにした……
「えっなになに?僕何も見えないっ」
ユーリの手から逃れ子ユーリに何があったのか聞こうとした子フレンは、
子ユーリのあまりの顔の赤さに目を見開いた。
「ど、どうしたの?大丈夫?ユーリ」
「…っ」
子フレンを見て更に顔が熱くなる。
俺とフレンの関係は今よりもきっと深いのだと、幼いながらに理解した子ユーリだった。
「え~っこの人たち僕たちなの~!?」
子フレンは軽く説明を受けて目を見開いた。
「あぁ、信じられないかもしれないけど…ってか俺もまだ信じてないけど」
「すご~いっすご~いっ!!」
「………」
子フレンはあっさり信じたようだ。
ユーリと子ユーリは若干この子の行く末が心配になった。
「ユーリかっこいいね~」
キラキラとした視線をユーリに向ける。
なんだか照れてしまう。
「そ、そっか?」
「うんかっこいいっ」
「いや、お前だってしっかりかわいい感じに育ってんぞ」
「かわいい?僕もかっこいいがいい」
「お前はかわいい」
「ユーリがいじわる言う~っ」
子フレンはユーリから逃げてフレンの元へしがみついた。
「ふおぉ…おっきい僕…」
子フレンが感心した感じでフレンを見上げる。
「小さい僕…」
フレンも何とも言えない気分でその子供を見詰めるが、頭で整理するとすぅっと目を細めた。
「ダメじゃないかっ一人でこんなとこに来てっ!」
「ひゃっごめんなさいっ」
「そうだぜ、何かあったらどうすんだ」
子ユーリも説教に加わる。
「だって…願い事は誰にも聞かれちゃいけないって…」
「さっき思いっ切り口に出してなかったか?」
「…………、あっ!!」
子フレンは漸く気付いたように声を上げた。
「ユーリが何お願いしたって聞くから~っ」
「俺のせいか!?」
子フレンが目に涙を為ながら子ユーリに詰め寄る。
「…まぁ…言った方が叶う夢ってのもあるから…」
ユーリが宥める。
ほんと?叶う?と心配そうに見上げる子フレンを
ユーリは我慢出来なくてついにぎゅうっと抱きしめた。
「ぅわっ!」
「かわいいっかわいすぎるっ!」
しかも今こいつが心配しているのは「ユーリと家族になる」という願い事が叶うかどうかだ。
そんな相乗効果もあって余計かわいい。
「ユーリいたいよ」
「このアホっぽいところが何とも言えねぇっ!」
「ユーリそれ失礼だよ」
フレンが睨んだ。
「っていうか離せよっ」
と、ユーリの腕を掴むのは幼い自分。
その自分を少し憐れな目で見る。
「…可哀相に…お前はまだ事の重大さがわかってねぇんだな…」
「は!?なんだよそれっその目やめろっ!」
何かわからないがすごい同情の眼差しを向けられて子ユーリは反発する。
「お前のせいだぞ、お詫びにしっかり俺を癒してくれ」
より一層強く子フレンを抱きしめたのを見て子ユーリは「離れろっ!!」と叫んだ。
「ユーリと本当の家族になれますように、だよ」
満面の笑みで言われた言葉に、子ユーリは目をパチクリさせ、ユーリはうなだれた。
「え、なに?ユーリの反応意味わからないんだけど…」
フレンが後ろから眉を顰めてツッコんだ。
「…本当の…家族?」
子ユーリは復唱することで質問する。
「そう。ユーリ本当のお母さんいないって言われた時すごく寂しそうだったでしょ?
僕が家族になれればユーリ少しは寂しくないかなって。
ユーリと家族になれたら嬉しいなって思ったんだよ」
「…家族…俺と…フレンが…?」
「…僕と家族はいや?」
子フレンが怖ず怖ず尋ねるのに子ユーリは勢いよく首を横に振った。
「いっ嫌なわけないだろっ…う、嬉しいよ…すっげー嬉しい…」
子ユーリもはにかむ。
「ほんとう!?よかったっユーリ大好きっ!!」
子フレンは思いっ切り子ユーリに抱き着いた。
それを見ていた二人。
「…あぁ…言われた……」
ユーリはがくりと両膝を付いて打ちのめされていた。
「なに?なにか問題あった?ユーリは僕と家族の約束したこと後悔してる?」
フレンがうなだれるユーリに合わせるようにしゃがんで首を傾げる。
「…違う…家族は…今でも嬉しいと思ってるし…この時の俺はほんと弱ってたから…助かった…」
ユーリは俯いたままそうぼそぼそと口にする。
「え、じゃあ…」
「お前からってのがダメなんだっ!!」
ユーリは勢いよく顔を上げてフレンを睨んだ。
「なんで言っちまうんだよっ俺から言いたかったっこんな…逆プロポーズみたいな…っあぁっ!!」
ユーリはまた頭をがくりと落とした。
「ん?ん?よくわからないな、逆プロポーズ?僕は女の子じゃないよ、ユーリ」
「んなの知ってるっつの…っ」
フレンを好きだと認識してからずっと後悔していたのだ。
「家族になってくれ」なんてプロポーズ、自分からしたかった。
そんな意識はなかったかもしれないが歴としたプロポーズには違いない。
本当の家族なんて、結婚でもしないとなれないのだから…。
そのことに気付いた時ユーリはどれだけ心にダメージを喰らったか。
時間はもう戻すことは出来ない。
「最悪だっお前最悪だっ二度も俺にこんな仕打ちっ」
ユーリは涙目でフレンを睨む。
「何わけわからないこと言ってるんだよ、僕付いてけないよ…」
フレンはむぅっと眉を寄せる。
「…ユーリ、この人たちだれ?」
「ん、あ、あぁ~…」
なんて言えばいいのかわからず途方に暮れる子ユーリと
キョトンと見詰める子フレンの視線にも気付かず、
ユーリとフレンはそんな言い合いを続けるのだった。
いくら結界の中とは言っても子供には険しい岩山の上にその場所はあった。
大人である二人は平気だったが子ユーリには大きな岩が目の前に立ち塞がる。
思わず怯みたくなるところだがこの先にフレンがいるとなるといかない訳にはいかない。
子ユーリは必死にその岩を駆け登る。
すでに日はすっかり落ち、月と無数の星々が夜空を彩る。
高い所にあるその場所で見る星はいつもよりも近くて、まるで本当に星が落ちてきそうだ。
要約岩山を登りきり、開けた場所に出る。
遮るもののないそこは一面星の海で思わず息を呑む。
ユーリとフレンは暫しその光景に見とれていたが子ユーリだけはそんな余裕はなかったようだ。
そんな広い草原の緑の中に漸く捜していた金色を見付けると一目散に走り出した。
「フレン!!」
その声に反応して座り込んでいたその子供が「ユーリ?」と振り返る。
月の光りにキラキラと輝く金色の髪と青く透き通った宝石の様な瞳。
ユーリは思わず「…天使だ…」なんて柄にもなく呟いてしまった。
「フレン…っ」
子ユーリは子フレンに飛び付きぎゅうっと抱きしめる。
その背中に自然に腕が伸びようとしたその時。
子ユーリは体を離してゴンッと一発頭を殴った。
結構容赦ないが心配していた彼を見ていた大人二人は何も言わなかった。
「いたい」
「バカフレン!心配かけやがって!」
「ご…ごめんなさい…」
子フレンはあちこち切り傷擦り傷だらけだった。
一人であの岩山を登ってきたなら無理はない。
「一人でこんな所に何しに来たんだよっ」
「流れ星を拾いに…」
「流れ星って…っそんなん…」
落ちてる訳ないだろと怒鳴る声はフレンの信じている瞳に飲み込んだ。
「ごめんね、流れ星見付けられなかった…」
「…そ、そっか、残念だな…」
「でもね、代わりに綺麗な石を見付けたんだよっ」
「…!」
ユーリはその子フレンの言葉にはっとする。
そうだ、ここで俺は一生の宝物になる石を貰うんだ。
そのあと……
子フレンは子ユーリに握っていた石を渡す。
それは綺麗な青いような紫のような、なんとも不思議な色だった。
一目で惹かれる。
「星は見付けられなかったけど、この石もお願い事聞いてくれるかなって…」
「願い事?何を願おうとしたんだ?」
まずいっその後を聞いてはいけないっ!
「ちょっ!」
ユーリは慌てたが時既に遅し、だった。
子フレンの小さな口から願い事が紡ぎ出される。
「ユーリと本当の家族になれますように、だよ」
「俺には大人になった俺と出会った記憶がない。」
「僕にも」
「だがこのあと何か大切なことがあったような気はぼんやりとだがするんだ」
「うん、それも同じ。」
ユーリとフレンは子フレンを見付けられる手懸かりを頭の中から捻り出す。
違う人物かもしれない。
ここはフェローが作り出した幻の世界だ。
だが全く違うというわけではないはずだ。
ここにいるのは間違いなくユーリで捜しているのはフレンだ。
二人には身寄りがなく孤児院で暮らしていて
自分と同じようにそのことを他の子供に罵られた経験がある。
全てが違うわけではないなら似たようなことがあったかもしれない。
この頃の記憶がすっぽり無くなってしまっているのも気になるのだ。
「…確か…親がいないことを言われたことと関係があるような気がするんだけど…」
「俺もそんな気がする」
「なんなんだろう、覚えてるはずなのに頭に霧がかかってるみたいだ…」
親がいなくて子フレンはどうしようと思ったのか。
ユーリの為に何かをしたはず。
そこでフレンははっと気付く。
自分が捜しているのは自分自身だ。
子フレンが何を思ったかなんてわかるわけがない。
記憶がないのだから。
そういう風に考えることではなかった。
捜しているのは自分自身。
自分なら一人ぼっちと言われたユーリに何をしてあげようと思うか、だ。
その瞬間なにかがパンッと頭の中で弾けた。
「…っ痛っ!」
「フレン!?大丈夫か?何か思い出したか?」
ユーリが頭を押さえて倒れ込みそうなフレンに近付く。
「…………、なにか…願い事を…」
「願い事?」
フレンの言葉にユーリはぴくりと反応した。
「願い事って…流れ星にでも願うのか?」
子ユーリの言葉にフレンはゆっくり顔を上げた。
「流れ星…」
「流れ星に願い事したら叶うって…」
「!それだ…っ!!」
フレンは立ち上がる。
「な、どういうことだよ!?」
付いていけないユーリと子ユーリはフレンに説明を求める。
「願い事だ!僕は流れ星を探しに行ったんだ!」
「願い事?」
「確か小さい頃街の外れに流れ星が落ちる場所があるって聞いたことがある気がする」
「星なんて落ちてくるわけ…」
「ないって俺は考えたがフレンは信じてたな…」
子ユーリの言葉にユーリは付け足す。
それは下町の大人たちが面白がってついた嘘だがフレンは目を輝かせて聞いていた。
「そこに居るのか!」
「多分!」
「フレン!!」
走り出す子ユーリ。
それに続こうとしたフレンはユーリが立ち止まっているのに気付く。
「ユーリ?」
「…ん、あ、いや、今行く」
なんでだか、頭の奥底でそこに行くことを拒んでいた。
