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16


ユーリはフレンの目を見て、半分呆れたような視線を向ける。
「相手の全部をめちゃくちゃ好きじゃないと付き合っちゃだめとか考えてねぇ?」
「さすがにそれは思ってないよ、でもユーリの気持ちには釣り合わなきゃいけないとは思う」
「俺はそんなん求めてねぇから安心しろよ、お前が俺を少しでもそういう風に考えてくれて
 うんっつってくれるならそれで満足だ。後は夜のあれこれに付き合ってくれれば…」
「だからそういうことをばらすなと言ってるんだ」
フレンはユーリを睨む。
頬は赤い。
さすがに経験すると嫌でもわかるか。
「ってかそうやって気持ち釣り合わせなきゃとか考えてくれてる時点で
 俺はすげえ愛されてんなって自覚してるんだけど。
 お前が足りねぇって思ってるだけでお前の愛も俺は相当感じてる」
「………本当?」
「ホントホント、ちゃんと釣り合ってる」
「…本当に本当…?」
「ホントにホント」
「…そっか…」
少し安心したように表情を和らげた。
「じゃあ付き合ってるってことでいいんだよな?」
「…いきな話飛んでない?」
「飛んでない」
願うような気持ちで見つめるとフレンは暫く考えたあと、ゆっくり頷いた。
「……うん、…じゃぁよろしくね、ユーリ」
「あぁぁぁぁっ」
にっこり微笑むとユーリは突然頭をテーブルにごとんと預けると妙な声を出した。
「ど、どうしたんだ?」
フレンが何事かと慌てる。
ユーリはぴくりとも動かず、机に伏したまましみじみと口にした。
「……長かった……」
ユーリがぽつりと呟いたひとことをフレンはじわりじわりと理解して、アハハと笑った。

「笑い事じゃねぇし。こっちは一回フラれてんだぞ」
「アハハ、うん、ごめん」
フレンはおかしそうに笑い続ける。
「…ムカつく…こりゃ夜はしっかり仕返しさせてもらわねぇと釣り合い取れてねぇよな?」
「はは…は……え、いやそれとこれとは…」
フレンの表情がみるみる引き攣る。
「逃げんなよ」と言って逃げ道を塞ぐ。
フレンは負けず嫌いだからそういうと強がって言わば言いなりだ。
始めて押し倒した時も同じ状況だったというのに全く成長のしない奴だ。
可愛い。

そんなことを考えていると店のドアがバタンと開いてカロルとレイウ゛ンが入って来た。
「あっいたっユーリ!」
カロルが指差す。
一緒に座っているのがフレンで、慌ててユーリの元に駆け寄る。
「ゆ、ユーリっその、ユーリの好きな人って…っ」
カロルの慌てっぷりにフレンは頭を傾げる。
ユーリはにやっと笑うと席を立ってフレンをぐいっと引き寄せた。
「楽しみにしてろよ、ガキが出来たらちゃんと抱っこさせてやるから」
「…な…」

呆気に取られるフレンと、固まった二人。
このあと丁度10秒後、二人の絶叫と一人の怒声が響き渡ることになる。



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次回からはちょっと長い公式シリアスです。
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15


ユーリとフレンは宿でのそんなやり取りを知らぬまま会話を続ける。
「フレンはエステルにやきもちをやいてくれたのか」
にやにやしながらフレンを眺めるユーリ。
「……なんだいそのだらしのない顔」
フレンはにやつかれることに不快感を表す。
「いやぁ、ただの友達ならやきもちなんかやかねぇよな?」
「……そうかな…」
「そうだろ、普通」
「…ん~…だったら僕はそういう意味で君のことが好きということになるのか…?」
「そうなんだろ?」
「えぇ~…」
「えぇ~じゃねぇよ」
不服そうな声を出すフレンをユーリはじとりと睨んだ。
「確かにユーリのことは好きだけどさ…」
「認めろよ、俺のこと愛してんだろ?」
「ほんとにぃ?だって前付き合ってた頃と気持ちそんな変わってないよ?」
「だから、それはお前が鈍感なだけでホントは前から好きだったんだって」
「…そうなのかなぁ…」
「そうなの。とりあえず付き合っとこうぜ、本当に違うと思ったらそん時はまた別れてやる」
「…相変わらず軽いね…」
「軽いっつーか…チャンスだから付け込んでるだけなんだけどな」
「付け込んでるとか言わない方がいいんじゃないか…?」
フレンが正直過ぎるユーリに苦笑いする。
「付け込みたいくらい愛してんの、俺」
心から愛おしそうな笑みを向けられフレンは少し頬を赤らめる。
片や自分の気持ちもわからなくて片や真っ直ぐな愛を向けてくれる。
この温度差が以前フレンがユーリを振った理由なのだが
それはやはり改善されていることはなくてフレンは内心がっくりする。
ユーリのことは好きだけど、本当にユーリの気持ちに自分は応えられているんだろうか。
ユーリはそれでもいいって言ってくれたけどいいわけがない。

向けられる愛情には同じだけの愛情で返したいのがフレンの性格だ。

「ユーリ、やっぱりまだやめよう、僕自覚したらちゃんとユーリに言うから」
「んなの待ってたら枯れちまうっつの、いんだよ俺がそれでいいっつってんだから」
「いや、こういうことはちゃんとしないと」
「細けぇな…今時そんな確固たる決意でお付き合い始めるカップルなんていねぇっつの、
 しかも相手俺だし」
「細かくないよっ僕は相手が君だから余計真剣になってるのに!
 やっぱり君との温度差が広がるばかりだ」
「だから俺はお前が頷いて俺のもんになってくれりゃそれでいんだよっ」
「君のそういう投げやりなところは好きになれないっ」
「…あのさぁフレン」
ユーリは大きくため息を吐いてフレンを見た。




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野球今日の虎についてつぶやいてます。

今日の虎、9回どうしてこうなった
怖ーー怖ーーーーっエラー多過ぎだろっ!!!
こんな長くなる予定ではなかったはず!
「勝ってよかったです」だよホントっ(>△<;)
14


「あんたら付き合ってたの!?」
リタが心底驚いた顔をする。というよりショックを受けているようだ。
「…、いえ、私の思い違いでなければお付き合いなんてなかったと思いますが……
 ユーリがそう言ったんです?」
エステルが尋ねるとカロルは大きく2、3回頷いた。
「そうだよっ少し付き合って「友情か愛情かわからないからこんな気持ちでは付き合えない」って
 言われたって!頑固で自己犠牲の精神やたら高くて厄介事に首を突っ込みたがる
 危なっかしくて放っとけない人だって言ってたんだよ?エステルのことじゃん!」
「…確かにエステルっぽいわね…」
「え、でも私ユーリとお付き合いはしたことありませんし、
 大体待ち合わせ場所に来たのはフレンでしたよ?」
「……フレン?」
カロルとレイウ゛ンは思いがけぬ名前を出されて目を点にする。
「…頑固で…自己犠牲精神高くて…厄介ごとに首を突っ込みたがる放っとけない存在……
 ってまさか…」
そんな会話を傍観していたジュディスがクスリと笑った。
「あらダメよ?今彼デート中なんだから邪魔しちゃ」
「え…」
「…バカっぽい……」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!??」
その声は宿に響き渡る大きさだった。
それだけカロルは驚いた。
だって、憧れでもあり街ゆく女性からは引っ切り無しに声を掛けられる
あのユーリの好きな人が男のフレンだなんて誰が想像出来ただろうか。
「うっ嘘だよね!?何かの間違い…っそうか、僕たちをからかってるんでしょ!酷いな~まったく!」
カロルが現実逃避を始めた。
だが周りのメンバーたちは受け入れつつある。
「ただの幼馴染みにしてはあの二人距離が近いとは思っておったんじゃがの」
「フレンは見た目も中身も可愛らしいです」
「子供の頃は天使みたいなビジュアルだったらしいわよ」
「わ~、見てみたかったです~」
「別にあいつが誰と付き合おうが関係ないわ~」
女性陣は受け入れ早く既に話に花を咲かせている。
「ち、ちょっと待ってよっ僕付いていけないよっ」
いきなり突き付けられた驚愕の事実を受け入れることが出来ずおろおろと周りに説明を求める。
「少年!こうなったら酒場に乗り込んで真相を確かめるわよ!」
「う、うん!」
カロルとレイウ゛ンは慌てて出ていく。
「まったく騒がしいわね」
「私たちだけで食べに行きましょうか」
ジュディスが言うと満場一致で可決された。



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すみません昨日なんですがまた更新されてなかったようですね…;;
これはなに?壬が悪いの??忍者が悪いの!?
やり方を変えた覚えなないんですが…。
とにもかくにもすみませんでした…
問い合わせくださった方もごめんなさいでした。準備はしてたんですが(><;)
相変わらず管理画面の表示は「公開」状態になっていたんですが
実際には公開されていないという類のバグでした。どうすればいいんだ…。


今日ジュディスの小説買ってきました~~
200頁ほど読んでものすごい眠たかったので寝てしまって最後までは読んでないんですが…。
今のところの感想としましては親子ーーってのもあるんですが
とにかくバウルが可愛い。
バウルが可愛い。(重要なので2回言った)
ジュディは一生バウルを大切にしてほしいですね。
13


エステリーゼが帰ってしまうとフレンは大人しくさっきまで彼女が座っていた椅子に腰掛けた。
「…あとでちゃんと謝っておいてくれ…」
はぁ、申し訳ないことをした、とフレンはうなだれる。
「別に気にしちゃいねぇよ」
「僕が気になるんだ!」
フレンが眉を吊り上げてユーリを睨む。
「ってか何怒ってんだよ、さっき会ったときの可愛い笑顔はどうした」
ユーリが体を伸ばして片手でフレンの両頬を真正面からムギュッと掴む。
フレンはその手を引きはがして睨む。
「……別に怒ってないよ」
「んじゃ当ててやろうか」
ユーリが何もかもわかっているような笑みで言う。
「ここにエステルが居たから怒ってんだろ?
 そのエステルが俺が買ったネックレスを付けてたから怒ってんだろ?
 俺がジュディに買ってやったって知ったから怒ってんだろ?」
「………」
指折り怒りの原因を述べていく。
フレンの表情を見てニヤリと勝ち誇った顔をする。
「当たり?」
「…まぁ…そうだね…」
フレンはむぅ、と眉を寄せた。
悔しい、と顔に書いている。
「んで?お前はその感情の名前を知ってんのか?」
「……やきもち…?」
「疑問符付けんな」
「……やきもち焼いてたね、僕。みっともない」
「そうか?俺は嬉しかったけどな?」
ユーリがにっと笑うのでフレンも苦笑を漏らした。



「あれ、エステル帰ってたの?」
カロルは宿にあったエステルの姿を見て首を傾げた。
ユーリに会えなかったのだろうか。
「あれ、エステルご飯食べてくるんじゃなかったの?」
リタが階段を下りながら言う。
そういう話で進んでいたらしい。
「カロル、ユーリ別に私に用事なんてないって言ってましたよ?」
エステルが首を傾げる。
「えぇっ!?そんな訳ないよっだってユーリデートって言ったんでしょ!?」
リタと共に下りてきたパティに確認を取る。
「そうじゃの、デートと言っておったぞ」
「じゃあ相手はエステルでしょ!?」
「はぁ!?なんであいつとエステルがデートなんかすんのよ」
リタが睨む。
「えっだってユーリが言ってたんだよっ
 エステルとちょっと付き合ってフラれたけど今も好きなんだって!」
「…え、私とユーリが…です?」
エステルは首を傾げた。
12


ユーリは言い訳のように事実を説明する。
「違うんだって、このネックレスはジュディスに…」
「あぁ、ジュディスに買ったものなのかい?」
「いや、違う違う、自発的に買ったもんじゃなくてだな」
「わかったジュディスに買ったんだね」
「だからっ」
なかなか思う様に話が進まないのはユーリが内心柄にもなく慌てているからか。
だってこんなフレンの態度は想定外だったのだ。
だってこれはまるで、そう……

「お前それヤキ―…」
「まさか待ち合わせのお相手がフレンとは思いませんでした」
エステルがユーリの言葉に盛大に被ってきた。
……エステル、空気読んでくれ……
そんなユーリの視線も気にせずエステルは続ける。
「ユーリがデートすると言っていたのでてっきり女性の方と待ち合わせしているのかと…」
「…エステリーゼさま、デートではなく食事です」
フレンがそこを否定する。
「それを俺らがするとデートになんだよ」
ユーリが言ってのける。
「…これ、デートだったのか…」
フレンは少し目を瞬いてきょとんとしながら呟いた。
ユーリは熱い視線を送りながらこくんと頷く。
「……でも今はお邪魔のようだから僕は帰った方がいいんだよね?」
「…は?なんで?」
怪訝な顔をするユーリの反応を受けフレンは気まずそうにエステルに視線を向ける。
「いや、なんとなく…」
ユーリは視線を辿り何が言いたいのか理解する。
理解してしまうとにやけられるのが止められなくて
ユーリはにやにやしながらフレンに挑発的な目を向ける。
「…フレン、エステルはこれ飲んだら帰るから」
「え?あ、もしかして私がお邪魔なんです?だから誤解されないかなって言ったんですっ
 ユーリ、少しは考えて行動してくださいっ」
エステルはカタンと席を立つ。
考えろって言われてもこいつのこの反応は俺の想像の範疇を越えていたから。
「えっエステリーゼさまっそんなお掛け下さいっ私はまた時間を改めて来ますのでっ」
実はまだ仕事も残っているんですっと立ち去ろうとするエステルを追いかける。
「いえ、あの、私皆と晩御飯がありますしどっちみち帰らなきゃいけなくてっ」
「せめてあのお酒一杯だけでもっ」
一緒になって出て行きかねないフレンの腕を掴む。

「お前まで行ってどうすんだって、エステルは飯食いに行くんだよっ」
「いやでもっ」
自分が来たことによりエステルが遠慮して帰るというのは立場上気まずい。
それはわかるが。
ここで二人して出て行かれたら俺またここで一人じゃねぇか、
意味わかんねぇから!
ユーリはフレンの手を掴んで制止させたままエステルに手を振って帰って貰った。
11



店に入って来たのはエステルだった。
「あ、ユーリ」
エステルはキョロキョロ見渡してユーリを見付けると駆け寄った。
「どうしたんだ?何か用か?」
「え?私はてっきりユーリが用事あるのかと…カロルたちに早く行くようにって…」
「…………」
あぁ~…成る程な…
全部わかった。
今までの噛み合わないような気がしていた会話の気持ち悪さも
「子供」というキーワードに対してやたら真剣だったカロルにも
全て合点がいく。

あいつらは俺とエステルの関係を勘繰り勝手にくっつけようとこんな手回しをしたということか…。
やっぱりいらねぇことすんなっていっときゃよかった…
ユーリは頭を抱えた。

「ユーリ、何か私に用事でもあったんです?」
「いや、別に…あいつらのただの勘違い」
「そうだったんですか」
「悪かったな、なんか知らねぇ間に巻き込んだみたいで…」
「え?いえ、気にしないでください」
「せっかくだから一杯飲んでくか?」
「でもユーリデートなんですよね、私が居ては誤解されませんか?」
「あぁ、ま、大丈夫だろ。」
ユーリは向かいの椅子に座るように促して店員を呼んだ。


「それ…」
「え?」
ユーリが自分の首もとを指差して言う。
「そのネックレス」
「あ、すみません、ジュディスが貸してくれたんです。」
「別に謝らなくてもいいけど…深い意味があるわけじゃねぇし…」
大体たかられて買ってやったものだし、とは心の中に留めた。
「でも可愛いデザインですよね、ユーリにこんなセンスがあるなんてびっくりです」
「いやだからそれは…」
ジュディスに頼まれたから…とユーリが言おうとした時だった。

「へぇ、それユーリが買ったものなんですか?」
声の主は穏やかな表情で二人が座るテーブルの前に立っていた。
「フレン!」
二人ハモるように見上げて名を呼んだ。
穏やかな表情のフレン、ユーリは嫌な汗をかいた。
この表情の裏に怒りが見え隠れする。
つまりこいつは今不機嫌だ。
「ふ、フレン、早かったな」
「うん、待たせて悪いと思って早めに切り上げたんだけど、必要なかったみたいだね」
にっこり。
「……いや、違うぞ、エステルはたまたま居合わせただけっていうか…」
「フレンだったんですね、ユーリの待ち合わせの相手は」
「エステリーゼさま、お久しぶりです、お変わりありませんか?」
「えぇ、フレンもお元気なようで安心しました。」
「よくお似合いですよ、そのユーリが買ったというネックレス」
キラキラ眩しい笑み。
こいつは怒っている時ほどこういうキラキラした笑みを浮かべるんだ。
10


「これ見て!」
カロルが広げた自作の地図は今まで回ってきた街の場所や探索ポイントまで事細かにかかれている。
その中に街の情報もあってカロルはそれをレイウ゛ンに見せた。
「ほらっこの街には一軒しか酒場がないんだ!」
「ふんふん」
レイウ゛ンが頷く。
「これ、酒場の名前!『赤い流星』!」
「…赤い…流星…」
「見て!ユーリがエステルに上げたネックレス!」
赤い、星型の飾りが付いたネックレス。
「あっそうか!」
「そう!ユーリはあのネックレスに「酒場で待ってる」ってメッセージを込めていたんだよ!」
「っ!!…やるわね少年…っおっさん気づかなかったわ…!」
「へへっ」
カロルは鼻の下を人差し指で擦り誇らしげに笑う。
そうとわかればエステルに酒場へ移動していただかなくてはならない。
ユーリの一大決心を無駄には出来ない。
「嬢ちゃん!今すぐ酒場へ行くのよ!」
「え?酒場です?」
「そう!今すぐ!」
「確かユーリは酒場でデートしているんですよね?お邪魔じゃないです?」
「お邪魔じゃないから!酒場に行ったら青年によろしく!」
「え?え??」
エステルは激しく困惑する。
「いいから早く!ユーリが待ってるから!」
カロルにまで促されてエステルは首を傾げながら酒場に急いだ。

そんなエステルを見送ってカロルとレイウ゛ンは
ユーリ、健闘を祈る!
と、沈みつつある夕日にユーリの勝利を願った。
その横で話に付いていけないパティが首を傾げていた。



酒場に着いたユーリは店内を見回してフレンがいないことを確認すると適当に腰を降ろした。
「いらっしゃい」
美人なお姉さんがすぐに注文を取りに来た。
「甘いのちょーだい」
「ふふ、畏まりました」
メニューも見ずに注文を言うユーリに店員は微笑む。
「一番甘いのでいいかしら?相当甘いけど」
「あぁ大丈夫、よろしく」

さて、フレンはどれくらいで来るだろうか。
待っている間に酔い潰れないように長期戦も視野に入れたペース配分で酒を楽しむか、と
ユーリが前に出された甘いお酒を一口含んだ時だった。
カランカランとドアのベルが鳴って入って来たのは…
9


「おーっユーリやっと見付けたのじゃーっ!」
パティがユーリに突進する。
あまりの衝撃によろめきながらも何とか耐えることに成功する。
「なんだよ、そういや俺を捜してたんだって?」
「そうなのじゃ!イソギンチャクとクマノミのように寄り添いあって愛を深めるのじゃ~」
「悪ぃけど俺これから用事あんだよ、あ、晩飯は俺抜きで食っといてくれよな」
「なんじゃなんじゃ~!?まさかデートではあるまいなぁーっ」
「まぁそんなとこだ。悪いな、愛を語らえなくて」
ぽんぽんと頭を叩いてやった。
「まったくモテる男を愛すると女は苦労するの」
「はは…」
ユーリは渇いた笑いを零した。
「ま、そんなわけだから悪いな、酒場にいるからもしもの時はそこに来てくれ」
「わかったのじゃ、酒を飲み過ぎて羽目を外さんようにの」
「へいへい」
パティに見送られユーリは酒場へ歩き出した。



「エステル可愛いね、そのネックレス!」
「え、ありがとうございます…」
カロルに言われてエステルは頬を染めて喜んだ。
「ジュディスにも似合っていると言っていただきました」
ふふ、と微笑むエステル。
ナイスアシスト!とカロルとレイウ゛ンは心の中でジュディスを讃える。

「なんじゃ?エステルネックレスを買ったのか?」
パティが宿に戻って来て玄関ホールで話す3人を見付け話に加わった。
「あパティ、お帰りなさい、ユーリは見つかりました?」
エステルが尋ねるとパティは腕を組んで渋い顔をした。
「見付けたんじゃがの?デートじゃと言うんじゃ!このうちを差し置いての~」
「デート、です?」
「えっデート!?」
エステルが軽く首を傾げるのに対してカロルとレイウ゛ンは盛大に驚いた声を出した。
「どうかしたのかの?」
「えっだってエステルここにいるのにっ」
「嬢ちゃん青年から何も聞いてないの?!」
「え?ユーリにです?いえ得に何も…」
「どういうこと!?青年誰とデートしに行ったの!?」
レイウ゛ンの頭の中は混乱する。
「酒場に行くと言っておったから大人の女性なんじゃないのかの?」
「酒場に?」
その情報でカロルは何かに気付く。
「…あっ!レイウ゛ンこれ見て!」
それはカロルがコンプリートを目指している地図だった。
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