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巡回がてら昨日の店の近くに立ち寄ったフレン。
窓から中を覗くと昨日もいた面々がまた騒いでいる。
…騒いでいるというか今日は何だか嘆いているように見える。
全員揃って失恋でもしたかのような、そんな雰囲気が漂っていた。
まぁ人生なんて長いんだから、全員一辺に失恋することくらいあるかも…
とフレンは持ち前の天然を発揮する。
そんなことを考えている時、三軒くらい隣のレストランが何やら騒がしい。
人々が叫んでいる方にフレンの意識は集中する。
キャーとかうわぁとかの声の合間を縫って人だかりから一人の男が飛び出してきた。
手にはナイフ。見事な悪人面。
決め手はレストラン店主の「強盗だぁーっ!」という叫び声だった。
フレンはすっかり騎士モード。
強盗は真っ直ぐ立ち塞がるフレンに向かって突っ込んで来る。
「どけぇーっ!」
犯人が切り掛かりながらフレンに叫んだ。
フレンには当たり前だが避ける気配はない。
敵の攻撃をギリギリのところでかわすとその腕を掴んで背中側に捻って背中を膝で固定した。
「いってーっ!!」
思わず犯人も降参の関節技が決まっている。
その騒ぎに飲み屋からもギルドの連中が顔を出してきた。
今まさに関節技を決めている人物を見ると皆目を輝かせた。
「フレンじゃねぇか~っ!」
ギルドの男たちの騒ぎにも気付かずフレンはゆっくり体を離すと
犯人はすぐに駆け付けてきた騎士に取り押さえられた。
「あなたのおかげで無事犯人を確保出来ました。ありがとう」
一人の騎士が頭を下げるがもう一人の騎士がフレンを見て顔をみるみる驚愕の色に染めていった。
「あ、あなたは…フレン騎士団長…っ!!!」
「騎士団長!!!?」
それに驚いたのは最初に礼を言った騎士、回りの野次馬、
そして店から出てきていた昨日知り合ったギルドのメンバーと女店長。
「被害などは聞いてないので後のことはお任せします。」
「あ、はい…っ」
見目麗しいと風の噂が流れるも本物のレベルなんて知らないこの街の住人たちは、
一瞬でこの騎士団長の虜になってしまった。
数日後、フレンの部屋に遊びに来ていたユーリは
その執務室のドアをノックして入ってきた騎士にあからさまに敵意の目を向けた。
「フレン団長!任務の報告書をお持ちしました!!」
それはあのギルドのボス。
すっかりフレンのことを気に入ったあのギルドの一団は揃って騎士団に入隊したのだ。
「ご苦労様です」
フレンが手を伸ばすと元ボスはデレデレとフレンに近寄った。
言うまでもなくフレンに辿り着く前にユーリに阻まれる。
「それ以上近付くんじゃねぇよ…」
男の手から報告書を奪い取ったユーリは男を睨みながら後ろ手にフレンに手渡した。
「フレン、こいつ辞めさせろっつったろ!」
「え、だって仕事はしっかりしてくれてるし…」
「お前への下心丸見えの奴側に置いとくなっつってんだーっ!!!」
今日もユーリの悲痛な叫び声が木霊する。
あの日フレンとユーリ、ついていないのはどっちだったのかなんて、
きっと皆がユーリと答えるに違いない。
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次回は学パロです~~~
あれ、おかしい。今日下書きが終わっている予定だったのに。
なんで明日平日なんだ。
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散々ユーリに憂さ晴らしされたフレンはふらふらと宿の廊下を歩いていた。
「あ」
「あ…」
ばったり会ったその人と、同時に声を出す。
エステリーゼだ。
「あ…あの、フレン、おはようございます…」
「あ、はいおはようございます、エステリーゼ様」
「………」
「………」
沈黙が痛い。
好きな人の恋人だとも知らずに好きな人を打ち明けてデートをセッティングしてもらったエステリーゼも
恋人であることを言わずにデートをセッティングしたフレンも
感じる気まずさは一緒だった。
それでもこれはなあなあに出来る話題ではなくて、謝らなければいけない。
「…あのフレン」
「すみませんでした!!」
フレンはエステリーゼよりも先に頭を下げた。
「あ、謝らないでくださいっ私が悪いんです、
フレンは私のお願いを断る人じゃないと知っていたのに…」
「いえっ言わなかったこちらがやはり悪いですっ…結果二人を傷付けることになってしまって…」
「いえっ傷付けたのは私ですっ今思えば思い当たることは沢山あったのに私鈍感で…っ」
「え、思い当たることが沢山あるんですか…?」
そこまできてフレンの表情は引き攣る。
仲間への配慮とかもあったから二人の関係は内緒にしようと、
合流してからユーリと話し合ったはずだ。
つまりうまく隠せている気でいたのだ。
思い当たることが沢山あると言われるのは心外だ。
「ユーリにも言われました…なんか酷いことされてるけどやっぱりフレンが好きなんだって…」
「…は、はぁ…」
少しちくりとくる言い方だ。
ユーリらしい。
「これからもいいお友達でいてくれます…?」
「そ、それは勿論!こちらからお願いしたいくらいで!」
「よかった!嫌われたらどうしようと思っていたんです!」
エステリーゼはほっと笑みを零した。
「でもフレンとはデート出来なくなりました…」
「は?」
フレンはエステリーゼの言葉を理解出来ず首を傾げる。
「私はフレンのことも好きなのにフレンはユーリと恋人ですから…残念です…」
「………はぁ…」
このお姫様は一体どういう感情でユーリをデートに誘ったのだろう。
その疑問と同時にやはりフレンは鈍感だったと思わざるを得ない。
何だかとても虚しくなる言葉を頂いてフレンは部屋に戻る。
とりあえず今日は巡回でもしながら昨日の店を見に行ってみようなんて考えながらドアを開けた。
ちなみにエステリーゼがあの時デートをしたがったのはユーリが好きなのではなく
デートという行為そのものに憧れを抱いていただけだったらしい。
「昨日は知らない間に飲みつぶれてお触りあんまり出来なかったって客から苦情がきてさ…」
事情を話す店主にその場にいた三人は頼むからそれ以上喋らないで!と心の中で懇願した。
フレンのことでは我を忘れる傾向にあることは昨日フレンとの関係を知ったエステルも、
まだ知らないカロルも、確信を持っているレイウ゛ンも知っていることだった。
「確かにあいつ美人だからギルドの連中が入れ込むのもわかる気がするしね、
彼さえよければそのままうちで…」
まだ話続ける店主の言葉を遮ったのは、ベキッと言う大きな音だった。
それは堪え切れなかったユーリの拳が壁に大きな穴を空けた音。
その場にいた全員が言葉を無くす。
ユーリは俯いているせいで表情は見えない。
「……悪ぃけど……あいつのことは忘れてくれ…」
静かな、声だった。
「え、でも…」
「そのギルドの連中が暴れたら…俺がどうにかするから…」
ピリピリと空気が痛い。
精一杯感情を抑えている。
それでも漏れ出す怒り。
店主はこくこくと二、三度頷いて逃げる様に帰って行った。
残された三人も立ち去りたい気持ちでいっぱいだったが、ユーリの目がギロリとカロルを捕らえた。
「……カロル…」
「はっはいっごめんなさい!」
条件反射の様にカロルは謝罪を口にした。
「…今後こういう仕事が来て人手が足りなくても…」
「わかってるよっフレンには頼まない!」
カロルが宣誓するように言う。
その時カチャッと隣のドアが開いた。
「なんか僕のこと呼んだ…?」
フレンだ。
この重っ苦しい空気を全く感じないこれは体質なのか。
いっそ羨ましいと三人は思う。
ユーリは部屋にフレンを押し込んでドアを閉め、鍵をかけた。
「え、ユーリ、なに?」
と戸惑いながら部屋に連れ込まれるフレンを見ながら三人は
「フレンには悪いが助かった…」と肩を撫で下ろした。
「なに?」
フレンは部屋で首を傾げた。
部屋に連れ込まれ、ベッドに座らされて肩をきつく掴まれている。
「…お前昨日飲み屋でバイトしたのか…?」
「うん。そうだよ。」
「…触られたり…したのか…?」
「あぁ~…」
フレンはしみじみ思い知ったように言った。
「ギルドの仕事って大変なんだね…」
「大変じゃねぇよっんなもんにいちいち付き合ってんじゃねぇっ!」
「だってユーリたちのギルドは何でも屋みたいなものでしなかったら名折れだって…」
「真に受けんなアホっ!」
ベシッと頭を叩く。
「痛ぁーっ」
「うるせぇ、で、どこ触られたか詳しく話せ」
「なんでっ」
「洗うんだよっ嫌なんだよなんかっ!」
「自分で洗うよっ」
「いいから来いっ!」
ぐいっと腕を引かれて風呂場へ連れて行かれた。
触られたかところも、そうじゃないところも、綺麗にされたとかされてないとか。
こうしてユーリの昨日から溜まった鬱憤は少し晴らされた。
朝早く宿に来客があった。
「カロル、カロル~、お客様がいらっしゃってます、カロル起きてます?」
コンコン、コンコン、と何度もノックするのは早起きして応対したエステルだった。
「おきゃくさん~?」と、カロルが寝ぼけ眼で扉を開ける。
そこに立っていたのは…
「昨日のっ昨日のあいつはどこ!?」
昨日仕事を受けた酒場の女店長だった。
丁度その頃、ユーリは目を覚ましたところだった。
隣を見ると昨日なかなか寝付けなかったらしい恋人がまだ夢の中を旅していた。
そんな姿に苦笑して頭を一撫でしてやると少し身じろいだもののすぐに旅を継続させた。
そういえば昨日「俺がデートしてる間何してたんだ」と聞くと
「ギルドの仕事を手伝ってた」と言っていた。
何をしていたのかはわからないが「ギルドって大変だね…ユーリたちはすごい…」と
繰り返し言っていたところを見ると余程大変な仕事だったのだろう。
ぐっすり眠って起きる気配はない。
隣のカロルたちの部屋が騒がしいことに気付いたのはその時だった。
朝っぱらからうるせぇな、とユーリは外に顔を出す。
「だからっ昨日の奴にもう一回助っ人頼みたいんだよっ!」
「そんなこと言われても昨日の人はうちにとっても助っ人で本当はギルドの人じゃないんだよっ」
「でも知り合いなんだろ!?」
「なんだぁ?なんか問題か?」
「…おっさん眠いんだけど~…」
「あっユーリ、レイウ゛ン!」
大人の登場にカロルは縋る様な目を二人に向けた。
「あんたらブレイブなんとかのギルドの奴かい?」
「あぁそうだけど?」
答えたのはユーリ。
レイウ゛ンは関係ないとばかりに部屋のベッドに座って眠そうに頭を掻いた。
「昨日依頼した店の者なんだけどね、昨日のフレンとかいうの、もう一日貸して欲しいんだよ」
「フレンを?」
昨日のフレンの仕事は店のヘルプか?ユーリは思う。
「ギルドの客の連中があいつのこと相当気に入ったみたいで朝からあいつ出せって煩いんだよ」
「へぇ、あいつそんな活躍したのか…」
「あぁ、稼いではくれたんだけど「まだ金分触ってない」って暴れ出しちまってさ…」
「……金分触ってない…?」
ユーリの表情が固まる。
カロルも固まる。
ついでにエステルも奥にいたおっさんも、
ユーリの変わりそうな空気を敏感に感じ取って嫌な予感を募らせたのだ。
ユーリはゆっくり口を開く。
泣き言を言っている様な…頼りない声だった。
「…俺はお前が来ると思って……」
「………」
まさかの一言にフレンの中にフツフツと罪悪感が生まれる。
そういうことか。
「…ユーリ…」
疲れた体を力一杯動かして何とか俯せのまま上半身だけ肘で支えて起こす。
ごめんなさいと言おうとした時、ユーリの目の色が変わってフレンをギッと睨みつけた。
「もう一個聞く。お前誰と付き合ってる…?」
フレンは目を丸くして、質問の意図に気付き答えにくそうにポツリと呟いた。
「……ユーリ…です…」
「ほぉ~、一応自覚はあったんだな」
呆れと怒りが混じり合った目を向けられる。
そう、二人は付き合っている。
それも付き合ってもう何年も経つ。
どちらが告白したとかもう覚えていないが二人の気持ちは一致して、関係が変わるのも自然だった。
フレンは力が抜けてポスッっ顔面から枕に突っ伏した。
目はまだユーリを捕らえる。
「…僕だって…嫌だったけど…でも…僕が断っていいもんでもないじゃないか…
エステリーゼ様とデートして…ユーリがエステリーゼさまのことを好きになるなら…
しょうがないと思ったんだ…」
フレンは遂にユーリから目を離して枕に顔を埋めた。
男の自分と付き合って、ユーリはそれでいいのだろうか。
フレンがいつも感じる劣等感だった。
「…お前が考えんのもわかる。俺も何度も考えたことだ。
だけど何も言われずに違う奴と待ち合わせさせられた俺の気にもなってみろ。
しかもそれ仕組んだの、恋人って結構えげつねぇぞ」
「…ごめんなさい…」
くぐもった声で謝るとユーリはふぅ、と息を吐いた。
ベッドに移動してフレンが突っ伏す横に腰掛けて頭を撫でた。
「…エステリーゼ様にも悪いことしたな…やっぱり…断ればよかったかな…」
「エステルには言っといた。お前に酷いことしたって落ち込んでたぞ」
「っ!言ったのか!?」
「あぁ。」
『エステル、フレンに好きな奴居んの知ってんのか?』
『え?やっぱりフレンってそういう人居るんです?』
『…俺』
『…え?』
『フレンが好きなのは俺。』
『………ぇ、だって…フレンが…』
『あいつは人の頼み滅多に断ったりしねぇからな。外ならぬエステルの頼みなら尚更だろ』
『………。』
「…あぁ…どうしよう…何で言っちゃうんだよ…っ」
一通り聞いたフレンは枕の中で嘆いた。
「なんだよ、そのまま付き合って欲しかったのか?」
「そうじゃないけど…っ……はぁ、明日どんな顔して…」
フレンはこの世の終わりの様な落ち込み様だった。
さすがに悪いことしたかな…とユーリは心を痛めたがここは優しくする場面ではないと鬼になった。
「一晩しっかり反省しろよ」
「…うぅ…」
ついてない日は一日中ついてない。
今夜は簡単には眠れそうにない。
「…はぁ…酷い目にあった…」
帰り際、店長から貰った報酬をズボンのポケットに突っ込んで盛大に溜め息を吐いた。
宿に帰ってカロルの部屋をコンコンとノックした。
今夜はカロルとレイウ゛ン、ユーリとフレンの二人ずつの相部屋だ。
「あっお帰りフレン!どうだった?」
カチャッと扉を開けたカロルはフレンに今日の仕事の成果を尋ねた。
「あ、あぁ…これ報酬…」
お金の入った袋を手渡す。
「うわっすごいいっぱい入ってるけど!?」
予定よりも多い報酬にカロルは目を丸くする。
「なになに?フレンちゃんギルドの仕事でもしてたの?」
奥からレイウ゛ンが顔を出した。
「あ、まぁそんなところです」
「だいじょぶ?なんか疲れてない?」
「はぁ…ギルドの仕事って大変なんだね」
レイウ゛ンの言葉にカロルたちはすごいねと苦笑いで答えた。
一体何があったんだと顔を見合わせるカロルとレイウ゛ンを置いてふらふらと自室に戻った。
ドアを開けると窓枠に肘を付いて頬杖をつく親友がいた。
入ってきたフレンをちらりと確認するもすぐに視線は窓の外に移された。
誰が見てもわかるが、あまり人には見せない不機嫌な姿。
今日は本当についてない。
ユーリとエステリーゼの恋を応援させられて、
ギルドの仕事を手伝わされて、
行ったら遅いと怒られて、
客にはセクハラ紛いの行為を受けて、
帰ったらユーリは不機嫌で出迎え。
気持ちはわかるが今は宥める元気は残っていない。
そのままベッドにボスッとダイブした。
このまま眠ってしまおう。
こんな一日は早く終わらせたい。
目を閉じて現実逃避をしようとしたがそれを邪魔する声が引き止める。
「…おい」
「………」
きた…
フレンは、はぁ、と溜め息。
今日何度溜め息を吐いたんだろうか。
うんざりしながら顔をユーリの方に向けた。
「…なに…」
「…今日のはなんだよ」
「何が?」
「…エステルが来るなんて言ってなかったろ」
「…言ってなかったっけ?」
「…………。」
フレンのどうでもいいというような態度にユーリはイライラを募らせる。
左拳をギュッと握って何かを堪えているのが目に入った。
殴ろうとでも言うんだろうか。
それでもフレンはじっとユーリを見て視線を逸らさない。
ユーリは自分を落ち着けようと息を大きく吐いた。
「…っひっ!」
妙なところを撫で上げられフレンの背筋にぞっと冷たいものが走る。
「へへへ…いい反応だなぁ」
「ちょ、やめてください…っ」
きっと睨み付けるとギルドの男たちは、おや~?と言う顔をした。
「おい店長、あんたんとこのバイトが睨んでくんぞ~」
少し離れてドリンクの準備をしていた店長に叫ぶ。
「それはあなたたちが…っ」
「いいのか~?そんな態度とんならもうここにこねえぞ?」
「えっ!」
ぴくんと女店長が反応した。
「困るよなぁ、ここは俺たちが金を落としてもってるようなもんだもんなぁ」
女店長は痛いところをつかれたと顔を歪める。
が、すぐ笑顔を張り付けとんでもないことを言った。
「勿論常連さんにはサービスですよっ
そいつ気に入ったのならじゃんじゃんちょっかいかけてもらって構わないんで!」
「は!?」
フレンは耳を疑う。
「やだねぇ何でもするってギルドなんだろ?
その分報酬は弾むしギルドの信念の汚さないためにも頼むよ!」
「…そんな…」
確かにユーリたちのギルドは若干何でも屋みたいな仕事だ。
だけどこれはその「何でも」の行為に入るのか!?
「信念曲げちまったらギルドの名折れだもんなぁ」
「………」
「ギルドの悪い噂ってのはすげぇ勢いで広まるからなぁ」
「もう一回聞くぜ?お前はギルドの名を背負って俺らの相手してんだよな?」
「………」
ここで自分が逆らうことはギルドに迷惑をかけるということ…
それは代理人である自分がしていいことではない。
それにこのギルドは
ユーリが決めた居場所なのだから…。
「よしよし、そうやって大人しくしてりゃいいんだよ、優しくしてやるからな」
げへへと下品な笑いを浮かべながら顔を近づけてきた。
「……」
フレンは覚悟を決めにっこりとそれは綺麗に、そして怖い笑顔を見せた。
「僕にちょっかいかけたいならまた注文してくださいね。あくまで仕事の優先事項はヘルプなので。」
ベシッと近付いてくる顔面にお盆を押し付けて拒む。
綺麗な笑顔を貼り付ける小悪魔だった。
「大丈夫です、まだまだお酒は奥にいっぱいありますから。じゃんじゃん言い付けてくださいね」
背後から体を触ろうとした男の手をきつく抓って、自分に触りたいなら金を使えと言い放った。
その強気な態度をギルドたちは気に入ったようでバカ騒ぎに拍車がかかる。
「じゃんじゃん持って来い!!」
次第に飲みつぶれる客が増えていく。
そうしている間に漸く遅番の店員がやってきて
回りのブーイングをさらりと受け流してその場を立ち去ることに成功するのだった。
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えーーと。
そろそろこんな話もお知らせしていこうと思いますよ。
実は「Fit via vi」の基てんさまからのお誘いがありまして
びびりながらこの度初同人誌を作ろうと計画しております。
びびりなので今までオンオンリーでひっそりやってたんですが
せっかく一緒に行ってくださるという方がいるのでこの際飛び込んでみましたよ!!
需要があるのか謎ですけど!!!
ユリフレオンリーイベント「星空の設計図」
「マグパイ」【リゲル-07】のてんさんのスペースにて置かせていただく予定です。(出来たら。)
個人のスペースはありません。委託です。ひっそりおかせていただきます。
ありがとうございます!!
内容は学パロほのぼの…の予定がちょっとずれそうです。
学パロ(現パロ)の女装ネタになりそうです(爆)ユリフレオールキャラでコメディです。
つーか半分書き直してます。なのでずれてます。
サークルリストとか発表されてもうひいいいって感じです。
やばいです。自分行っていいんだろうか。
とりあえず頑張ります!
以降は場合によっては関西のイベントにも出没するかもです。…しないかもです。
オフラインの情報部屋もそろそろ作ろうと思います。不束者ですがよろしくお願いします。(礼)
すみません手違いで明日の更新予定の記事が一瞬出てしまいました(汗)
混乱させてしまった方いましたらすみません…っ!!
「…ここ…か…」
フレンは一人言われた場所にやってきた。
中に入ると昼を少し過ぎたところだというのにもう出来上がっている酒飲みで溢れている。
カロルが持ってきた仕事とは急病で従業員が急に休んでしまった酒場のヘルプだった。
なるほど、20歳越えが条件だったのも頷ける。
「おーい、ビール追加だぁ~」
「姉ちゃん酒まだかー!?」
酔っ払いたちは好き勝手に店員を呼び付け自分の要求を口にする。
「はいただいま~っ」
ホールは一人なんだろうか。
忙しそうに走り回る店員はこの女性一人だけ。
するとその人と目が合ってぺこりと頭を下げた。
「いらっしゃい!一人?」
「あ、いえ客ではなくて、凛々の明星の者なんですけど…」
「ブレイブ…?あ、さっきのガキんとこの!?」
話が通じてフレンはこくりと頷いた。
「遅刻だよっこの忙しい時にっ奥に着替え用意してるから着替えてさっさと働きな!!」
「え、あの」
「さっさと行けっつってんだよ!」
「わぁっは、はいっ」
話に付いていけず呆気に取られていると怒鳴られてしまってフレンは慌てて奥に引っ込んだ。
何で僕がこんな目に…
簡易的なロッカールームで着替えをすませ店に出る。
白いシャツに黒のベストとズボン。所謂バーテンコスだ。
「はいこれ、オーダー表。これでオーダー取って。じゃ、よろしく!」
「え、あのまだ何も説明…」
「おーい追加頼まぁ!」
どんなメニューがあるかもわからないままフレンは仕方なく呼ばれた方に走った。
しかしそこは下町で積んだ経験がものを言う。
居酒屋のバイトだって経験済みのフレンはテキパキと働き、遅刻分の汚名も返上する勢いだった。
「やるじゃんあんた。ここで働かないか?」
ホールにいた女性は店長だったらしく、フレンを誘ってきた。
「あ、いやそれはちょっと…」
本職の関係上掛け持ちはまずい。
「おーい注文頼む~」
「あ、はいっ」
話している隙もなく客に呼ばれて走り回った。
今ここにいる団体客はギルドの一団で、ボスらしき人を中心に酒盛りが行われている。
常連のお得意様で女店長も頭が上がらないらしい。
フレンの素早い対応に気をよくしてきたギルド員はお酒を持って来たフレンの腕を掴んだ。
「…?あの、何か?」
「兄ちゃんよく働くなぁ、それに美人だ」
「……ありがとうございます…」
酔っ払いの言うことだと相手にしない。
気分は良くないが。
「笑顔見せてよ~」
肩を組まれてぐいっと引き寄せられた。
「兄ちゃんギルドの助っ人なんだってなぁ?」
「はい」
「じゃあギルド背負って俺らの相手してるわけだ…」
スルリと男の手がフレンの腰を摩った。
