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「…ユーリ…?」
フレンの体は固くなっていた。
ちょっと面白い。
「最近なんかムカつく理由がやっとわかった」
わかったんじゃなくて、
認めたくなかっただけかもしれないけれど。
「ムカつく?ムカついてたの?」
「あぁ。お前が俺のこと好きじゃなくなるとか訳わかんねぇこと言ってきたりするから」
「???ん、僕のせいなの?」
よくわからないが明らかにそう言われてフレンはごめんと謝った。
「…で、なんで僕のせいなの?やっぱり僕がユーリのこと好きなのが原因?もっと距離おくべき?」
「…だから、そういうの言ってくんのが原因だっつの…」
フレンは暫く考えてみたがやはりわからない。
「ごめん、全然わからない」
ユーリは少し体を離してフレンを見詰める。
「お前の一番が俺じゃねぇのは納得いかねぇ!」
「……はい?」
フレンは呆気にとられた。
「お前の一番は俺。そうじゃねぇと気持ち悪い」
フレンはきょとんとしながらも疑問に思ったことを尋ねる。
「…ユーリも僕のこと好きってこと…?」
「いや、それとこれとは話が別だ」
「別!?何が別!?」
「俺のことは置いといて…」
「置いとけないよっじゃあユーリは今までと変わらず彼女とか作るのに
僕はユーリのことずっと好きでいるの?ちょっと辛いんだけど…」
「や、そこは俺も考えた。」
ユーリは腕を組んで頷いた。
「考えたって何を?」
「ん、俺相手がお前ならいけるかな~とか…な。」
「いける…?」
「お前に好きでいろって言ってんのに俺が別の奴と付き合うのはちょっと酷すぎるだろ?」
「最低だね」
「だからな?俺もお前だけにする。」
「……頑張って好きになるってこと?なんか虚しいんだけど…」
「そこはあんま気にすんな。それにもともとお前のこと嫌いなわけじゃねぇし…」
「…好きでもないくせに…」
ぷいっと顔を逸らされたが「ずっと好きでいろよ」と確認すると怖ず怖ずと頷いてくれた。
よしよしと頭を撫でてやる。
本当はずっと前から気付いていたのかもしれない。
フレンが好きで居てくれるから安心してちゃんと考えてなかっただけだ。
俺がずっと、ずっとフレンのことを好きだったということを…。
告白されたとき、付き合う奴が出来たとき、長続きなんかしない理由はわかっていた。
幼馴染みの顔が浮かんでくるからだ。
だったら俺は…
もしかしたらフレンよりも前から好きになっていたかもしれないな。
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お疲れ様でした。
次回は学パロです。
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無言で見詰め合う。
お互い言葉が出なかった。
「……なに?」
最初に言葉を発したのはフレンだった。
そう言われて初めて自分の行動に気付いて手を離した。
「あ、いや…何も…」
視線を逸らせる。
「……あ~…そういや聞いた…」
何を?とフレンは首を傾げた。
「…彼女が出来たんだろ?…良かったな」
視線は合わせられない。
動揺が見透かされてしまう。
「ん?あ、あぁ~…ユーリ嬉しい?」
なんだその返しは…
ユーリは出そうになったツッコミをぐっと堪えてこくりと頷いた。
「そっか…ユーリが喜んでくれるならそれでもいいんだけど…
残念ながら彼女なんてできてないよ」
返ってきた思いがけない言葉にユーリは目を丸くして一瞬呆けてしまった。
「あ、あぁ!?嘘つくなよ、あ、彼女通り越してフィアンセだとか言うんじゃねぇだろな」
「フィアンセはフィアンセかもね、僕の、じゃ、ないけど。」
どういうことかわからなくて間抜けな顔になる。
「彼女は僕の部下の婚約者でね、その人は今新人騎士の巡礼の引率で帝都を離れてるんだ。
彼女のことが心配だから気にかけてやってくれないかって頼まれててさ。」
「……や、意味わかんね…なんでお前にそんなこと頼むんだよ?」
混乱する頭を抱えながらユーリが言うとフレンはう~ん、と少し悩んだようだった。
言うか言わないか悩んでいるという風だ。
「信頼されてるんだよ。…僕浮気しそうにないってよく言われるんだ」
「…ふ~ん?」
まだよくわかってないユーリは納得いかない表情で首を傾げる。
「…だから…彼には言ったことがあるんだよ…
小さい頃からずっと好きな人がいて…今も変わらないって…。」
「………ん、ん?あ、それって…」
ユーリが自分を指差すとこくりと頷いた。
「なかなか好きな人なんて変えられない。何度フラれたって諦めきれなかったくらいだよ?
数週間やそこらで気持ちに整理つくわけないじゃないか…そんなに器用じゃないよ」
フレンは苦笑した。
「……お前まだ俺のこと…が、好きなのか…」
「…この話はやめよう?ユーリのこと諦めるように頑張ってるのに声に出すと戻っちゃうよ」
フレンが優しく、どこか寂しそうに微笑むのを見て、
やっぱり安心した自分がいることに気付いた。
オルニオンでも…感じたこの気持ち…
「…フレン…言って…?」
何に対して感じているか、わからないほど鈍感じゃない。
「俺のことが…一番好きなんだよな…?」
縋るような気持ちになったのは俺の方…
こくりと素直に頷くフレンを見て思わずその体を抱きしめていた。
静かな夜だった。
頭の後ろで手を組んでベッドに寝転んで天井を見上げる。
明かりを点けていない月明かりだけが頼りの部屋。
ぼんやり見詰めるのは天井か、
それとも心に浮かぶ彼の姿か。
心にぽっかり穴が空いたような気がして何とも言い難い心境だ。
フレンに好きな人が出来た…
ただそれだけなのに…。
自分だってそうなったらいいと思っていたしそうなるべきなんだと思う。
あれから大分、時も経っているしあいつの中でけじめがついていてもおかしくない。
会ったら良かったなって祝福してやるべきなんだ。
なのに…
何でこんなにも胸が締め付けられるような痛みが走る…?
はぁ、と思わず出た溜め息は想像よりも遥かに重い気持ちを表した。
もやもやした気持ちを抱えながら目を閉じる。
静寂の中にコンコン、と響く音がしてパチッと目を開けた。
音の方を見ると扉が開いていて誰か立っていた。
暗くても分かる。
今あまり会いたくなかった。
「帰ってたなら言ってくれればよかったのに。今日下町で君が帰って来てるって聞いたんだよ」
「…ぁぁ…わり…」
ゆっくり体を起こす。
「暗いなぁ、明かりないの?」
「滅多に帰らねぇし…必要最低限のもんしかねぇ」
魔導器がなくなった今、あらゆるものの価値が上がった。
使えるものはみんな下町の住民に配ってしまったのだ。
「寝てた?テッドがユーリ疲れてるみたいだって心配してた」
「疲れてねぇって…」
目を合わそうとしないその態度に、フレンは微かに首を傾げた。
「僕邪魔?帰った方がいい?」
「んなことねぇよっ…なんか飲む?大したもんは出せねぇけど…」
ユーリが立ち上がろうとするのを言葉で止めた。
「あ、いやいいよ。様子見に来ただけだから。それよりホントに顔色悪いよ?
ちゃんと食べてちゃんと寝てる?」
フレンがユーリに近付いて、ベッドに腰掛けるとユーリを覗き込むように見詰めた。
「…っ」
久しぶりに青い瞳と視線が絡んで、ドクンと心臓が反応した。
「だっ大丈夫だってっちゃんと食ってるしちゃんと寝てるっ」
引きはがすように両肩を掴んで距離をとった。
「………なんだかやっぱり距離が遠くなっちゃったね…」
「ん?」
フレンが一瞬寂しそうな表情で独り言のように呟いた言葉。
フレンは首を傾げるユーリに気が付いて苦笑した。
「…何でもないよ。…余計なお世話だったね、もう行くよ」
立ち上がろうとしたフレンの腕を掴んだのは、無意識だった。
あれから数ヶ月。
普段通りの生活に戻ってユーリもフレンも忙しい毎日を送っていた。
つまりは会っていない。
あの夜フレンとの関係は元に戻った。
普通の、どこにでもある友情。
それが当たり前で今までの関係がおかしかったというのに
心にぽっかり穴が空いたような、不思議な感覚が消えない。
どこか上の空のユーリを疲れているのだと勘違いしてカロルはユーリに休暇を言い渡した。
「一週間後に迎えに来るから!大人しく休んでね!」と半分強制的に下町でバウルから降ろされた。
突然休みを貰ったところですることがあるわけでもなく、何となく過ごして早3日。
さすがにこのまま居るわけにもいかなくて、動きの鈍い体に鞭打って起き上がる。
外は昔と変わらず下町独特の活気に溢れていた。
元気な子供に見付かって名前を大声で呼ばれながら駆け寄られる。
自然と注目を浴びる。
「ユーリーっ」
子供の名はテッド。
赤ん坊の時から知っている子供だ。
「ユーリ疲れてんの?酷い顔してるよ?」
「別にそんなんじゃねぇよ」
いっちょ前に心配なんてするようになりやがって、と頭をくしゃくしゃと掻き回してやった。
「わ~っやめてよっ」
「お~いテッド、噂の彼女が上で待ちぼうけてるぞ!」
じゃれあっているとおじさんに声をかけられた。
「彼女?」
ユーリが首を傾げるとおじさんが面白がって話を続けた。
「そうなんだよ、こいつ最近市民街に彼女なんか作りやがってよ」
「ふ~ん?」
テッドを見ると少し顔を赤くしていた。
「そ、そんなんじゃないよっただの友達!」
「隠すなよ」
おじさんがからかうのに拗ねたテッドはユーリに話を振った。
「僕のことよりユーリは!?」
「は?俺?」
「そういやお前最近浮いた話聞かねぇな」
おじさんもその話に食いついた。
「別に、色々忙しかったからな」
「へぇ?彼女っていやぁ最近フレンもいい人いるみたいだな?」
「フレンに?」
無意識に体が反応した。
「あぁ。貴族の娘さんらしくてな、遠征から帰ったりするたびに会いに行ったりしてるみたいだぞ。
噂では見合い相手じゃねぇかって。店から出て来たのを見たって奴もいるしな」
「……………へぇ…」
やっとの思いで出した声はその一言だった。
それから何を言われても耳に入らなくて、どうやってその場から立ち去ったのかも覚えてはいない。
「は、あ、や、何言って、何言ってんだお前」
自分でも驚くくらいしどろもどろになった。
「う~ん、告白というか…ユーリのこと好きなのをやめるよ、頑張って。」
「や、意味わかんね…」
「ユーリ、僕のこと気になるでしょ?」
「なってねぇよっ」
思わず反射的に声を荒げた。
脳が全てを否定したがっている。
「嘘だ、なってるよ。僕がフラれても隣に居るのってユーリからしたら気になって当然でしょ?」
「…気にならねぇって言うと嘘になるけどな…にしてもおかしいだろ、頑張って好きじゃなくすって…」
「本当は僕が気になってたんだよ」
フレンが困ったように笑った。
「本当は…ずっと気になってたんだ、僕が一方的に君に想いを伝えて…
君に迷惑がかかっているんじゃないかって。」
「迷惑って…」
「僕を見ると思い出さなかった?
誰かに告白されたとき、誰かを好きになったとき、思い出さなかった?」
まっすぐ問われて息を呑んだ。
「………そりゃ…多少は…」
否定は出来なかった。
誰かに告白された時、フレンが思い浮かんだ。
「ユーリは優しいから…。僕が君を好きだと…君を縛ることになる。それが気になってた」
目をまっすぐ見詰めてくる。
ユーリも見詰め返した。
「それにしたっておかしいだろ、そんなの」
フレンは笑っていた。
「ユーリそれ変だよ。親友が正しい親友の意識に戻ろうとしてるのに止めないでくれ」
変?そんなの自分でもわかってる。
フレンが自分を諦めてくれるなら昔みたいに何も考えずにこれからも隣にいれるはずだ。
なのに…言葉は止まらない。
「頑張ってなんとかなるもんかよっ」
「僕は今までユーリにしか無意識に意識を向けていなかったんだ。
それを意識的に外に向けようと思う。」
実は騎士の報告書に紛れて縁談の話も多く届くんだ。
今までは興味なくて断っていたけど会ってみたりすると何か変わるかもしれないし…
と初耳の話をどこか遠くに感じながらユーリの頭は考えることを拒絶する。
「…っお前はっ俺のことが好きなんじゃねぇのかよ!」
思わず大きくなった声にフレンは冷静な目を向けた。
表情は柔らかいものだったが。
「好きだよ。好きだった。たった今まで…ね。」
その口から紡がれたいつもと違う意味を含む言葉に目の前が暗闇に染まった気がした。
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今日は超久々に会う友人たちと会いました。楽しいひと時でございました。
そしてフレンちゃんキターーーーーーっ!!!!!
早速ユーリと並べました。
なんか剣のクオリティに1人感激www
改めて出してみてユーリの腰最高だと感じたそんな夜でした。
あぁ眠い…明日も早いので早く寝なきゃ…。
ご飯を食べ終わると「じゃあもう行くね、久しぶりに話せてよかったよ」と
にっこり笑ってフレンは騎士団に帰って行った。
夜ベッドで横になってもなんだか寝付けなくてユーリはこっそり部屋を抜け出した。
風にでも当たって気分を落ち着けようとしたのだ。
ぶらぶら歩いていると街の外れに一本の木があって
その陰から見知った金色が靡いているのを見付けた。
近付いた。
吸い寄せられるように、
当然のように。
「フレン」
声をかけると星を見ていたらしいフレンの視線がゆっくりこちらに向いた。
「あれ、ユーリ。どうしたの?こんな時間に」
「ちょっと眠れなくてな…お前は?」
「僕は星が見たくなって」
本人が気付いているのかどうかわからないがフレンが星を見るのは落ち込んでいるときだ。
「ジュディスは一緒じゃないの?」
少しからかったような物言い。
「だから…ジュディとはそんな関係じゃねぇっつの」
「そんな関係じゃない人と腕なんか組まないよ普通」
「…なんだよ気にしてたのか?」
ユーリが言うとフレンは顔を逸らした。
「……お前まだ俺のこと好きなの?」
小さく呟いた言葉はこの静寂なら容易に相手に伝わった。
「……好きだよ」
星を見ていたフレンが視線をユーリへ向けた。
「好きだよ、今も昔と変わらない」
「…………ふ~ん…」
何故かすごく安心した自分がいてユーリは少し驚いていた。
「…ユーリは優しいね」
突然の言葉にユーリは呆気にとられる。
「は?今の会話の中に優しい要素なんて微塵もなかっただろ」
「だって片想いの僕にまでそんな気を遣ってさ。放っといてもいいよ、僕なんか」
「…別に気なんか遣ってねぇよ…ただ…見せびらかす趣味はねぇだけだ…」
好意を寄せてくれている人にわざわざいちゃつく姿を見せたいとは思わない。
ただ、それだけだ…。
「それが優しいんだよ。ん、でもそろそろかな~って考えてたんだ…」
「何が」
「…ユーリに告白するの、何回目かな」
「…10回目だな」
ユーリが即答するとフレンは思わずといった感じにぷっと笑った。
「よく覚えてるね、そんなに嬉しかった?」
「自惚れんな。言われた方はよく覚えてるもんだ」
ユーリが言うとフレンはまた視線を空へ移した。
「…10回か……きりがいいね」
「なんのきりだっつの…」
フレンはにこりと微笑んでユーリを見た。
「僕、もうユーリに告白するのやめるよ」
「だからっそれはジュディの悪ふざけで俺らは結婚なんてしねぇっての!」
「またまたぁ~おめでたいことなんだから隠さなくてもいいのに~
でもいつの間にそんな展開になってたの?僕全然気付かなかったよ~」
「だからなんの展開もない!」
「あら、じゃあ私との関係は遊びだったのね…っ」
「話がややこしくなるから黙っててくれないかジュディ!」
食堂でテーブルを囲む4人。
カロルとジュディの攻撃にユーリは一人苛々していた。
「ユーリ、遊びは酷いよ」
フレンがむっとユーリを睨む。
「だからっ遊びも何もねぇっつの!結婚はジュディの冗談だってのが何でわかんねぇんだよっ」
「というかそこまで嫌がらなくても…」
ジュディが少し寂しそうに言った。
「ジュディスもしかしてユーリのこと本気で…!?」
鈍感なカロルが何かに感づいたように言うとジュディスはくすりと笑った。
「ふふ、どうかしら」
「あーもーやめてくれっ疲れるだけだっ」
ユーリが両手を挙げて降参の態度を見せた。
「しょうがないわね、このくらいで許してあげるわ」
「…ったく…」
「え?え?結局結婚は?嘘なの?」
「ごめんなさい」
ジュディが楽しそうに笑いながら悪いと思ってもいないのに口先だけで謝る。
「嘘なのかい?棟梁信じてたみたいだけど…」
フレンが言うとジュディスはあら、とわざとらしく口に手を当てた。
「じゃあ棟梁に悪いし本当に結婚する?」
「…ジュディ…本気で怒るぞ…」
「あら怖い。ただの冗談なのに。なんだかご機嫌斜めなのね」
「知るか」
ユーリはふいっとそっぽを向いた。
苛々する。
なんだか無性に。
フレンを見てると。
何でお前そんな笑ってるんだ!?
お前俺のこと好きなんじゃなかったのかよ
………
…そういやしばらく言われてないな…
っつーか会うのもしばらくぶりなんだけど…
今はもう……違うってことか…?
その後の会話は覚えていない。
ユーリはずっとフレンを睨んでいた。
フレンは特に気にしていなかったがカロルが萎縮してしまう程度にはすごい形相だったらしい。
コンコン
控えめなノックがしてカロルが返事をする。
カチャと扉を開けたのはフレンだった。
「久しぶりだね、カロル」
「あ、フレン!話は聞いてるよ、時間空いたら一緒にご飯だよね?もういいの?」
「うん。きりが良かったから。」
「すぐ支度するよっ待っててもらって構わないかな?」
「じゃあ外で待ってるね」
フレンはにこりと笑って外に引き返した。
外に出ると大工ギルドが帰る準備をしていた。
「よし、今日はこれで仕舞いだ!」
「お疲れっした~」
棟梁の言葉に部下が次々に頭を下げて挨拶する。
棟梁のおやっさんはフレンも勿論よく知る人物で、仕事を終えた彼にフレンも挨拶に向かった。
「お疲れ様です。大分完成に近付いてきましたね」
「いやぁ、ここが終わっても次があるからな、まだまだ疲れるには早いわ」
はははっと笑う。
「よろしくお願いします。騎士団も出来る限り協力しますので。」
「あぁ頼むよ!団長さんの親友がやってるあのギルドも色々手を貸してくれてるんだよ、
お陰で仕事も早く進むよ」
「そうですか」
フレンも嬉しそうに笑った。
親友が誉められるのは自分が誉められるより嬉しい。
幸せな気分に浸っているとおやっさんが思い出したように話題を変えた。
「そういや聞いたか?親友の兄ちゃんギルドの色っぽい姉ちゃんと結婚すんだとよ」
「え…」
「今日も腕組んでな、式には招待しますなんて言われちまったよ、礼服なんて持ってねぇってのに」
ガハハと笑うおやっさん。
フレンは「そうなんですか…」と小さく呟いた。
「この街で式を挙げるなら街をあげて盛大に祝ってあげないといけないですね」
「だな、なんたってここで結婚する第一号カップルだからなぁ!」
そんな話をしていたらユーリ達が宿から出て来た。
「お待たせ~」
「ワン!」
カロルが元気に手を挙げてラピードが嬉しそうにフレンに飛び付く。
ユーリとジュディは駆け寄るカロルとラピードの後ろを落ち着いて歩いてきた。
「よっ御寮人!」
おやっさんがユーリとジュディを冷やかす。
「…まだ言ってんのか…」
ユーリが呆れたと溜め息をつく。
「式の日取り決まったら教えろよ~」
「えっユーリとジュディス結婚するの!?」
カロルが目を丸くして振り返る。
「いやだから…」
ユーリがうんざりしながら訂正しようとしたが。
「おめでとう」
というフレンの言葉を聞いて喉から声が出なくなってしまった。
「さ、行こうか。今日は僕がご馳走しようかな、めでたい席みたいだし奮発するよ」
知らなかった~と興奮するカロルとすたすた歩いて行くフレンを見詰めながら
ユーリは何ともわからない感情に捕われていた。
