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12


「…ど…して…」
行ってしまったはずのフレンが居る。
ユーリはわけもわからず混乱した様子でフレンを見詰める。
「もしかして見送りに来てくれたの?案外律儀なんだね」
「…いや…そうじゃ…ってかお前…どうして…もう行ったはずじゃ…」
「?僕は11時の飛行機だけど…。」
「…はぁ…ま、じで…」
ユーリがそれを聞いてじわじわと正気を取り戻す。
行ってしまったと思っていた愛しの人がそこにいる。
ユーリは何も考えるでもなくフレンの両肩を掴んで詰め寄った。
「俺っ俺もお前が好きだ!」
「……え?」
何を言われたかわからない様子でフレンがユーリを見詰める。
「好きだっ好きだフレンっ離れたいなんて言うなっ!
 俺はお前と離れたくないっフレン好きなんだお前のことっ」
「ちっちょっと待ってユーリ…っ」
まくし立てるように言われてフレンは困惑する。
「さっき気付いたんだっお前のこと好きなんだって…っ
 俺今までそんなこと考えたこともなかったから気付くの遅れちまったけど…っ
 俺だってお前に好きな奴出来たりしたら喜んでやれねぇっ」
「ユーリ…」
思いっきり抱きしめた。
久しぶりにフレンの匂いを感じてユーリは力を強くする。
「……ユーリ…その告白は受けられないよ…」
思ってもみない言葉にユーリは固まる。
体を引いてフレンの眼を見る。
「何でだ?もしかしてもう他に好きな奴…」
「…違うよ…僕ずっとユーリに片想いしてたんだよ…そんな簡単に諦められないよ…」
「だったらいいじゃねぇかっ
 こんなにもお前のこと好きだっつってんのに何が足りないって言うんだよっ」
「足りないとかじゃなくて…」
「フレンっ俺ホントに…っ」
「今はただ時間が迫っていて勘違いしてるだけかもしれないじゃないか…」
「勘違いなんてしてねぇよっ」
「…なら…1年待とう…?」
「は?」
フレンの思わぬ言葉にユーリは目を丸くする。
「僕が1年経って帰って来たときに、まだ気持ちが変わってなかったら…
 その時もう一度会って…聞かせてほしい…」
「…1年…」
「うん…」
「お前は?」
「僕は気持ち変わらないよ。絶対。」
「…そっか…わかった。じゃあ1年な。」
「変わらない自信ある?」
「あぁ。ばっちりな。」
「…そっか。じゃあ楽しみにしてる。」
フレンは照れながら笑う。
それが可愛いと思ってユーリはもう一度抱きしめる。
耳元で囁く。
「帰って来たとき覚えてろよ。とびっきりのプロポーズしてやるからな」
「!……ぷろ…ぽーずなんだ…」
耳まで真っ赤にしたフレンにユーリはクスクスと笑う。
今ならわかる。
こんなにフレンのことが好きなんだと。
しばらく抱き合っているとフレンが身をよじる。
「ユーリ…もう行かなきゃ…」
「ん、あぁ…」
名残惜しそうに体を話す。
「なぁ、すげーキスとかしたい気分なんだけど…」
「なっ…そ、そういうことは…ちゃんと1年後気持ちを確認してからにしてくれ…」
「そうか?ま、俺も気持ち変わらねぇ自信あるけどな。」
「…そう…なの?」
「なんか気持ちに気付いちまったらお前のこと可愛くて愛しくて堪らなくなってきた」
「っ!…ユーリ、なんか…いつもと違う…」
「そっか?嫌か?」
聞くとフレンはゆるゆると首を横に振った。
「…嫌じゃ、ないけど恥ずかしいね…」
「照れた顔も可愛いな」
「っ!!も、もう行くよっ」
フレンはばっとユーリから離れて荷物を肩に担ぎ直す。
スタスタと歩き出そうとしてピタリと止まる。
「…ちゃんと考えてね…」
「あぁ。お前も他の奴に惚れたりとかすんなよ」
「…努力するよ」
少しだけこちらを伺ながらフレンが返す。
それは強がってはいるがそんな気まるでないことはバレバレだ。

次会った時には思いっきり抱きしめて恥ずかしいこと言ってやって色んな表情を見てやろう。
漸く追い付いてきたおっさんとフレンの後ろ姿を見送る。

最後にいってやろうか。
どんな顔するかな。
ユーリがにやりと笑う。

「フレン!」
「?」
「愛してるぜ!」
「っ!」
あぁやっぱ可愛いわ。





このお話はこれにて終了です。
何気に今のところ一番嬉々として書いた連載です(笑)
フレンが離れていこうとするのを阻止するユーリという構図は大好物ですvvv
明日からは2人が幼馴染ではないという設定です。っていうか初めましてです。
全9話。高校生現パロです。


Y選手が引退してからたまにテレビに出演してるんですが
それをことごとく見逃していた壬は今日漸く…っテレビで引退後のYさんを見ることが出来ました。
やっぱりだめです。現役時代の映像とか見るとまだ寂しいです。
あぁ、本当に辞めちゃったのかと…。まだあんまり実感湧かないんですよね。
F投手がYさんと組めなくなってから成績が下がってしまったからやっぱりYさんの
おかげだったのかな、みたいなこと言ってるのを聞いてじーんとしました。
最後にバッテリー、見たかったなぁ…。
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11



「青年っとりあえず大通り出て!」
「あ!?」
後ろからついて来るレイウ゛ンの言葉に反射的にキツイ語調で答える。
「タクシー拾うわっ」
「…あ…サンキュッ!」

大通りに出ると暇そうにしているタクシーをすぐに拾うことに成功する。
「空港まで急いでくれ!」
ゼェハァと苦しそうに息をするレイウ゛ンも飛び乗る。
「おっ!?訳ありだねっまかせなっ!」
タクシーの運転手はただならぬ様子に何か確信してハンドルを握る。

が、しかし。
車に乗って数十分。
「…全っ然進まねぇな…」
ユーリがイライラしながら空を見たり前の方に動く気配はないかと様子を伺う。
こんなときに限って道は大渋滞で車は前に進まない。
「走った方が早くねぇか…?」
「でも道わかんないでしょ…」
「それなら大丈夫!もう至るところに看板出てるし迷わないと思うよ!
 力になりたかったがこのままじゃ間に合いそうにねぇからな、走った方が速いと俺も思うわ!」
運転手の親父はユーリの言葉にそう返した。
「サンキューおっさん!」
ユーリは車から飛び出てひたすら走る。

しんどいとか苦しいとか思わなかった。
ただフレンに会いたかった。

ひたすら走って走って走って…
漸く辿り着いた空港、急いでフライト予定の掲示板を見る。
次回フライト予定10時45分…
今は…10時35分…

間に合わなかった…。
「…ぁ…はぁ、はぁ…っは…はぁ…くっそ…」
息も整わない中、膝に手をついて荒く息を繰り返す。
間に合わなかった…
フレンは行ってしまった…

後悔の念が駆け巡る。
もしあいつが帰ってきた時に気持ちが変わっていたらと思うと…
「っフレン…!」





「ユーリ…?」


「…っ!」
何よりも透明なその声は喧騒の中まっすぐ心に響く。
ゆっくり振り返るとそこには求めた青がユーリを捕らえていた。





明日で最終話です~~
10


一睡も出来ずにとうとう運命の朝を向かえる。
ユーリはゆっくり起き上がってしばらく何をすることもなくぼーっと座り込んだまま動かなかった。
今日、フレンが行ってしまう。
そう思うと辛くて、時が止まればいいのにと思ってしまう。
そんなくだらない考えをおこしている今も尚、時は止まることなどなく進んで行く。
考えはまるで纏まらず結局ただ悶々と泥沼に沈んだ。
今日居なくなる…
そう改めて気が付いてユーリはのそのそと立ち上がった。
顔が見たい。
そうしたら何か変わる気がした。
ユーリはふらふらと部屋を出てフレンの部屋を目指す。
コンコンとノックをするも返事はない。
まさかまだ寝てるなんてことはないよな、と扉のノブを回した。
「フレン?いる…か…」
そこにはフレンが生活していた全てが綺麗になくなっていて
ただガランとした部屋がユーリを出迎えていた。
部屋はいつもより広く見えた。




「フレンちゃんなら朝早く挨拶にきたわよ。短く「お世話になりました、行ってきます」ってね。」
その足でレイウ゛ンの部屋へ来たユーリはその言葉を聞いて拗ねたような顔をした。
実際傷付いた。
自分に一言もなく行ってしまったことに対して。
「…おっさんとこには挨拶来たのかよ…」
それを聞いてレイウ゛ンは苦笑する。
「顔合わせると辛くなるからって。最後にそんな思い出作って行きたくないってさ。」
「………。」
「青年ももう止めたら?」
「…やめる?」
意味深なレイウ゛ンの言葉に反応を見せる。
「そうよ。もう悩むのやめて、これはただの勘違い、フレンちゃんのこと何とも思ってないんだってね」
「…勘違い…」
「フレンちゃんだって向こうに行ってる1年で変わっちゃうんだろうしね。
 彼女とか作って帰ってくるかもよ?」
「彼女…?」
「そしたら青年だって祝福してあげなきゃいけないでしょ」
「………」
フレンに彼女…?
考えたこともなかったことだった。
途端駆け巡るフレンの言葉。

君が彼女を作って結婚したとして…僕はそれを祝福出来ない…

離れることを選んだ

「………」
フレンは忘れたいと思ってる。
一番手っ取り早いのは好きな人を作ることだ。
俺はそれを祝福できるのか…?
「フレンちゃんはそれが出来ないから青年に気持ち打ち明けたんでしょ」
「……俺も…喜んだりなんて出来ない…」
フレンの隣に自分以外の奴がいるなんて…
「フレンちゃんは青年が好きだから
 青年が誰かと一緒になることを祝うことは出来ないって言ったのよ」
「…俺…俺も…フレンのことが………」

好きだ…

ユーリの中で一つの答えが出た瞬間、心の中に光が入ったように軽くなった。
次の瞬間立ち上がって部屋を出ようとするユーリ。
レイウ゛ンは慌ててその腕を掴んで止める。
「ちょっ、ちょっと青年っ」
「何時だ!?フレン何時の飛行機だ!?」
「確か…10時30分くらいの…」
「くそっ」
間に合うか間に合わないかの時間だ。
ユーリは部屋を飛び出して走り出す。
フレンに会うために。

フレン、言いたいことがあるんだ…っ
間に合ってくれ!

気付かなくてごめん。
こんなに悩むほどお前のことが大切だったのに…
今から行くから…俺の言葉を聞いてくれ。






あと2話くらいで終わります~~
9


悩んでいる間にも時間は刻々と過ぎていく。
教室、フレンと別れを惜しむ友人がフレンの周りに集まる。
そんな光景も見るのが辛く屋上へと逃げ出した俺は流れる雲をぼんやり眺めながら
出発がいよいよ明日に迫った親友のことを想う。
フレンはいつも通り友人たちに振る舞っていた。
ぎこちなく接する自分以外とは。
俺の顔を見る度辛そうに笑顔を向けてくる。
ごめん、と言われているようだった。

おっさんのところでひとしきりぶちまけた後、自分は迷っているんだと気が付いた。
あの時、突然の告白を聞いて反射的に今の関係を優先して拒否の言葉を返したのだが
今それも崩れかけていて、それならあいつの気持ちを受けとってあいつの側にいたいと思うのだ。
あいつと離れるのが何より辛い。
そう思うのだ。
心臓がキリキリ痛んで息苦しくなる。
「…俺は…あいつのこと…」
どう思っているんだろう…
伸ばした手は虚空をさ迷った。





最近聖剣2のBGMを聞きながら作業しているんですが見事に妨害されております(笑)
作業しようと思っても出来ないwwwさすが作業妨害BGMwww
聖剣2は何度も究めました。何週もしました。
何年かしてからもう1回やっても面白いと感じた作品です。
なんかまたやりたくなってきたー。
ポ/ポ/イが好きでたまらん。


9時~のニノのドラマ見ました。
鬱のお母さん怖い…。演技が迫真。
8


「おはよう」
「…よ、よぉ…」
朝郵便受けを見に行こうとドアを開けたらちょうど通学しようかという場面のフレンとばったり会った。
ここは寮だから会うことはよくあることなのだが
昨日のことがあっての今日で少し気まずい空気が流れる。
「…えっと…」
何か話さなくてはと言葉を探す様子を見てフレンは悲しそうに笑った。
「昨日はごめん。酔っ払いに絡まれて少し混乱してたみたいなんだ。」
「え?あ、あぁ、いや…うん」
「お金足りた?」
「あぁ、割り勘したらむしろお前多いぐらいだったぜ、
 おっさんが後で返すとか言って持ってるはずだから猫ばばされないようにちゃんと取りに行けよ」
フレンは楽しそうに笑った。
「うん、わかった。じゃあ行くね。ユーリも遅刻しないようにね」
「あぁ…」

今前みたいに普通に喋れた感じがする、と思いながらフレンを見送る。
それだけで気分が高揚して嬉しくなった。
もっと話して居たいと思った。
そう思ってまた落ち込む。
フレンはそんなこと思わないだろう、と。
昨日言われた。離れることを選んだと。
こうやって顔を合わせて話すだけでもあいつは辛いに決まっている。
昨日あいつは言った。
汚い考えしか出来なくてごめんと。
相手が傷付くとわかっていて自分の理想を押し付けたいと思うこの俺の方が遥かに汚い人間だと、
そう思って自嘲した。



「そりゃ自分勝手な話だわね」
「…わかってるんだよそんなこと…」
レイウ゛ンが居る物理準備室まで来たユーリは頭を抱えて伏した。
別に会いたかったわけじゃない。
事情を知っているのが幸か不幸かおっさんしかいなかったから。
「気持ちには答えられないけど一緒に居たい。出来れば以前と変わらぬ関係で。と」
「…………。」
「そりゃ酷だわよ。それが辛いからフレンちゃん青年に気持ち打ち明けたんじゃない。」
「………。」
「前までと変わらないって相当よ?あんたたち端から見ててもそういう関係なんじゃないかって疑いたくなるようなべったり具合だったからね」
「……。」
「普通あんなべったりしないでしょ。そういうのもフレンちゃん追い詰めた要因だと思うけどね。
 青年そんなスキンシップとかしないタイプでしょ?なんでフレンちゃんだとあぁなっちゃうのよ」
「…触りたくなる…」
「…あぁ…なるほど。」
あまりに単純で煩悩に従順な答えにレイウ゛ンはそれしか言えなかった。
「…おっさん青年もフレンちゃんのこと好きで好きで仕方ないって風に見えるんだけど
 気のせいなわけなのよね?」
「……多分…」
「多分て何よ」
「…わかんなくなってきた…俺はあいつのこと幼なじみ、親友だと思ってきた…
 でもあいつの気持ちを知ったとき、あいつがもう側にはいれないって言ってきたとき…
 親友だとかとは違う感情が流れてきた…行かないでくれって…叫びたくなった…」
伏せながら篭った声で痛切に訴えてくるユーリにレイウ゛ンは顎に手を当てて「うーん」と唸った。
「…青年本当にそれ友情?今の青年見てるとそうは思えないんだけど」
「……わかんねぇんだよ…突然過ぎて…」
もっと考える時間が欲しかった。
違う。あいつのこんな辛い気持ちに気付いてやれなかったのは自分だ。
時間を無くしたのは自分のせい。
何も感じ取れずに日々何気なく過ごしてきた過去の自分を恨んで泣いた。
7


「今日は…楽しかったね」
「そうだな」
「…誰も誘わなかったんだね」
「あぁ…お前の好きな奴誘ってきた方がいいと思ってな」
「…そっか。」
会話もぎこちなく続かない。
普段なら探さずとも話題が出てくるのに。

沈黙重い中フレンの背後から酔っ払いがちょっかいを出してきた。
「なになに修羅場~ぁ?君可愛いねぇ、こんな奴ほっといてお兄さんと遊ばない?」
「えっあ、あの…」
困惑するフレンのすぐ横にその男の顔があった。
その顔寸分違わぬ場所を目掛けてグラスが飛ぶ。
「いってっ!」
パリンと音を立ててグラスが割れる。
男が投げた相手を睨みつけるがそれ以上の鋭い眼差しが男を捕らえていた。
「そいつに気安く触んなよ…」
「…っちっ」
勝ち目がないと感じたのか男は舌打ちしてフレンから離れた。
ユーリはおしぼりを手に取りフレンに差し出す。
「わりぃ、濡れちまったか?」
「…………。」
フレンはそれを受け取ろうとせずそのおしぼりを微妙な顔をして見詰めていた。
「…フレン?」
「……やめてくれないか…」
「…」
「…あれくらい…一人で何とか出来たよ…もう…君に頼ってちゃいけないんだよ…
 留学に行く1年じゃない…これからもずっと…」
「…ずっと…」
心にどろっとしたものが積もる。
「…僕は君から逃げるんだよ、近くに居るのが辛いから…」
徐々にフレンの感情が溢れ出す。
「今までは君は「めんどくさいから」って彼女を作ったりしなかったけど…
 これからは違うかもしれない…彼女を作って、結婚だってするかもしれない…
 僕はそれを祝福することは出来ないっ…だから言った…そうしたら言わなくてもいいだろう?

 おめでとう…って…。」

泣きそうな顔をして微笑んだ。
「僕は君のこと嫌いになんてなれない…だから離れることを選んだ。…ごめんね…」

汚い考えしか出来ない…

そう言うとフレンはガタッと席を立つ。
「ごめん、先帰る。」
お金をその場に置いて立ち去るフレンをただ呆然と見ているしか出来なかった。







行ってきました。
負けました。
途中まで絶対勝ったと思ってましたね。
守護神が大事な試合で打たれることが多い気がしてならぬ…。

っていうかもう病的に眠い…。
もう寝よう。ではお休みです~~。
6


「……って睨まないでよ青年…」
「べっつに、睨んでねぇけど」
「…おっさんフレンちゃんがどうしてもって言うから来たんじゃない…」
「………」

待ち合わせの場所、集合したのは3人。
フレンは目を丸くしてユーリを見た。
「…誰も誘わなかったの?」


誘いたいと思う奴がいなかった。
フレンとだけ居たかったから。
少し先を歩くフレンを見詰めながら思う。
「…フレンちゃん気を遣ってんのよ」
「…わかってるよ、んなこと…」

フレンは俺が自分と二人きりになるのは嫌だろうと考えておっさんを誘ったのだろう。
それなのに俺が他に誰も誘ってなかったから驚いていたのだ。
自分でも思う。
本当なら振った相手と二人きりになんてなりたくないと思うのが普通だろう。
でも違った。
フレンがそのせいでまた自分に期待するようなことがあっても
それを嫌だと感じないしむしろそうなってくれたら、と考えてしまったのだ。
どうかしている、と思った。



一通り楽しんだあと晩御飯のために居酒屋へ寄った3人。
勿論未成年である二人はノンアルコールだ。
おっさんだけがアルコールの入った炭酸飲料で疲れを癒す。
「ぷはーっんまいっ!」
「まさにおっさんだな、おっさん。」
ユーリが頬杖をつきながら呆れたように言う。
「ふん!今に青年だってこんな風になんのよ!」
「へ~、そりゃ楽しみだな」
「自分だけは違うとか思ってんでしょ!
 甘いわよぉ~これから年取っていくのなんてあっという間なんだから」
そんな二人のやり取りを見てフレンが呟く。
「でもユーリがおじさんになってるところなんて想像出来ないね」
クスクスと笑う。
「そりゃこっちの台詞だっての。」
「フレンちゃんは綺麗なおじさんになるでしょうね」
「何ですか、それ?」
「なんだよおっさん、俺はおっさんみたいになってフレンは綺麗なオジサンになんのかよ?」
「だって普通に想像したらそうでしょ。フレンちゃん「うまい」なんて言わないしね」
「…へいへい、どーせ俺は言葉遣い汚いですよ」
「でもユーリはカッコイイおじさんになると思うな」
にっこり微笑まれてユーリは目を丸くする。
一体どんな俺を想像したんだろうか。
じっとフレンを見ているとフレンは何かを察したように目を逸らした。
「あ、うん、ごめん…」
「は?なんで謝んだよ」
「あーっと…おっさんちょっとトイレ行ってくるわ。」
二人の気まずい空気の中レイウ゛ンは立ち上がる。
その場には二人だけになった。





負けた…っ
明日は聖地へ赴きます。
明日は勝ってくれーーーっ
5


「……留学…?」
一瞬言葉の意味が理解出来ないほどの衝撃だった。
「うん。来週からとりあえず1年。もしかしたら早まったり延びたりするかもしれないけど…」
「…………」

だってないのだ…

「それって…前の…話とか絡んでる…?」

フレンと離れたことなんて一度も…

「違うよ。せっかくのチャンスだし…と思って…」

たったの一度だってフレンと離れたことなんかないのだ。

「……もう…決まってんだな…」
声が震える。
もうすぐフレンと居られなくなる。
それでこんなにもショックを受けている自分に驚く。
「…考えてみればユーリとこんなにも離れ離れになるの初めてだね」
「…そう…だな…」
「……。…じゃあ僕部屋戻るね」
「い…っ」
「え?」
「…あ…いや…」
行くなと叫びそうになった口を必死に抑える。
そんなこと、言える立場じゃないくせに…。
「…な、なぁ、あと一週間しかないんだったら明日どっか行こうぜ?休みだし…」
「え?」
フレンは驚いたように目を見開いてそれから普通な素振りで言った。
「…僕とユーリ?」
「あぁ」
「……。他には?」
「は?」
考えてもみなかった言葉が返ってきた。
「…その…他にも人、いた方がいいでしょ?」
「…あ…あぁ…」
なるほど、そういうことか…
フレンと二人きりで気まずいなんて忘れていた。
「…それは…適当に…誰か連れて来たい奴いたら連れてきたらいいんじゃねぇの?」
本当は二人が良かったとは言わない。
「…そうだね。じゃあユーリも誰か誘っといてね」
「…あぁ」
おやすみ、と言って部屋を出るフレンを見送って今までに感じたことのない空虚感に襲われた。
自分の中でフレンは相当な部分を占めていたんだと気付かざるを得なかった。
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