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「で?話って?」
「え?あ~、いや…うん…」
ユーリにしては珍しく歯切れの悪い言葉が並ぶ。
フレンは窓の外を眺めながら「今日もいい天気だなぁ」なんて考えていた。
「傷、痛むか?」
「傷?ん~……大丈夫」
「痛むんだな」
「大丈夫だってば…」
「大丈夫ってことは痛むけど我慢出来るって意味だろ?」
「…さすが鋭いね」
ごまかしきれないと悟るとフレンは観念したように苦笑した。
「ホント…謝りたくて…あの時色んなこと頭ん中ぐちゃぐちゃしてて…
お前の言葉、聞けてなかった…」
「あぁ、あの時はどうしようかと思った。」
わざとらしく言ってやった。
「…ホント…ゴメン」
殊勝に謝るユーリにこちらも胸の内を明かしてやろうとフレンはゆっくり口を開く。
「あの時…どうして刺されたのがあの人で僕じゃなかったのかと責められているようだった…」
声が震える。あの恐怖を思い出すとみっともなく泣き出したくなる。
涙の流し方なんてとうに忘れてしまったけれど。
「んなことあるかっ」
「でも…」
「…お前が…この世からいなくなったら…俺は…」
「…でも…斬るんだろう?僕が悪になったら」
「斬らねぇよ…」
「斬らないって…意味わからないよ、僕が悪になるなら斬るって言ったじゃないか」
「…消すっつってたろ…」
「……同じ意味だろう?」
ユーリは首を振る。
「お前は…そうだな…監禁する」
「……は?」
思ってもない答えが返ってきてフレンは唖然とする。
ふざけてるのかと目を見ればユーリは存外真面目に答えているようだった。
「お前は斬りたくない。だから外と接触させないように監禁する」
「……脱走するかもしれないよ?」
「鉄の檻にぶち込んでやるから覚悟しろよ」
「…怖いね」
「飯はちゃんと食わしてやるから安心しろ」
「どうなのそれ。殺してくれた方がいいんじゃない?」
「言ったろ、お前がいなくなったら…俺が生きていけねぇ。だから殺さない。」
「…自分勝手だね」
「なんとでも言えよ。そんなこと、ならねぇだろうけどな、お前なら。」
「……。」
言ってること違うじゃない、とは言わなかった。
「今回のことで…俺がどんだけお前のこと、必要としてるかわかった。
お前は俺の半身だ。お前が死ぬかもしれないと思ったとき…立っていられなかった。
死ななくてホント良かった、死ぬなんて言うな。いいな?」
「…それって愛の告白?」
フレンがニヤリと笑ってからかうように言った。
だがその言葉に返ってきたのはからかわれたことを怒るものでも笑うものでもなく…
「あぁ。」
と短く真っ直ぐ真面目な面持ちで言われた。
「………。」
「………。」
「……ぷ…」
フレンがしばし呆然とユーリの表情を見ていたがユーリが耐え切れないとばかりに笑いを零した。
「…くくっあっははっ本気にすんなって!」
「……ユーリ…」
腹が痛いと抱えて笑う姿を見ていると一体どこからからかわれていたのかわからなくなる。
フレンはその様子をじとっと睨んだあと目を逸らした。
まったくこいつは、と一つ溜め息をつく。
窓の外を眺めながらユーリの笑い声をムスッとした表情で聞いていたら突然頬にキスされた。
「っ!?」
「怒んなよ、本気だから。」
優しく微笑まれたがどうにも信用しがたい。
「…あっそ。」
相手にしないように短く返事を返して再び窓の外を眺めた。
ユーリから目を逸らしていたから彼がどんな表情をしていたのかはわからない。
フレンは空を流れる雲を見ながら顔が熱いのを気のせいだとごまかした。
終
これにて「君がそういうのなら。」は完結いたしました。
長らくお付き合いありがとうございました。
纏まってんだか纏まってないんだか…;
これからは「最後の世界」を重点的に更新していきます~。
そういえば今日なりダン体験版DLしてやってみました~~
侍強いなぁ!!!
1回勇者でやったら負けました、シルフにwww
体験版だと思ってなめてたww
面白いですね!!早く始めからやってみたいです~~
クルールのドット絵が可愛すぎてやばい。
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呪文を唱えるとぽうっと手の平が輝きだしてフレンの体を優しく包み込む。
「…ありがとうございますエステリーゼ様、もう大丈夫ですよ」
ふわりと微笑んで告げる。
「…はい、では今日はこの辺でやめておきましょう」
言葉を受けてエステルは治癒術をやめた。
「いつもありがとうございます。でももう大分よくなったのでしていただかなくても…」
「フレン!」
「はっはいっ」
彼女を気遣って遠慮した言葉はその当人の叱るような声にはねつけられた。
「フレンは遠慮しすぎです!フレンは怪我をしていて私にはそれを治す力がある、
それなら少しくらい頼ってくれてもいいじゃないですか。それとも私、そんなに頼りないです?」
「えっい、いえ決してそういう意味では…」
焦りながら彼女のマイナスな思考を否定する。
それを少し離れた窓際で眺めていたユーリはフレンの慌てぶりを見てプッと吹き出した。
「まぁフレンの立場を考えたら遠慮しちまうのもわかるけどな」
それを聞いたエステルは少し寂しそうな表情をしてフレンを見詰めた。
「そんなこと言わないでください…確かに少し身分は違うかもしれませんが」
「少し…」
フレンは少しという言葉を反復しながら苦笑した。
片や騎士団長まで上り詰めたとはいえ下町出身の成り上がりと片や帝国を治める副帝である。
その少しの間には天と地ほどの差がある。
そんなことを全く気にしていないという風にエステルは続ける。
「私はフレンのこと大切な友人だと思っています。それもフレンは特別なんですよ!」
「…特別…?」
「はい、だって私最初はフレンのこと兄みたいに慕ってましたから」
「……あ…はい…」
フレンは私の兄であり友人なんですよ、特別です。とにっこり微笑まれて
フレンは少しの間呆気にとられていたがすぐにその言葉を理解して嬉しそうにフワリと笑顔を返した。
「お城で話す相手もいなかった私に気軽に話し掛けてくれて、
今日はフレンとお話出来るかしらと毎日毎日楽しみにしていたんです」
にっこりと花のような笑顔が咲く。
「でも今考えてみたらあの時の話の主役は殆どユーリでしたね」
「ん?」
「エッエステリーゼ様っ」
自分の名前が出てきてユーリは思わず反応する。
フレンの焦りっぷりを見る限りあまり知られたくない事実だったらしい。
それを確信するとニヤリと笑ってフレンに近付いた。
「へ~…フレンは俺の話ばっかりしてたのか~」
「し、仕方ないだろっ下町での話をしようとするとどうしても君が出て来るんだからっ」
「いろいろ伺いましたよ、二人で結界の外へ出ようとしておじいさんに怒られた話や
遊んでいて窓ガラスを割ってしまって怒られた話とか…」
「…怒られた話ばっかだな…」
「ユーリといるといつも怒られてた気がするよ…」
「あっ倉庫に忍び込んで怒られた話もありましたねっ」
「…フレン、俺らそんなに怒られたエピソードしかねぇのか…」
「…あ、あの時はちょっと…色々あって…」
少し顔を赤らめて憮然とした表情で言い訳している。
言えない…あの時ユーリが騎士団勝手に辞めてちょっと拗ねていて
そういう話しか思い出せなかったなんて…。
とても楽しい話なんてする気になれなくて思い出すのは腹の立った思い出ばかり。
今思うとかなり気持ちを込めて訴えてしまっていた気がする。
鬱憤を晴らすように。
あの時の話を掘り返されるのは結構恥ずかしいかもしれない…。
困ったフレンは無理矢理話題を変えようとした。
「え、えと…ユーリたちはいつまでここにいるの?」
「だからお前が治るまでだよ」
ユーリがまたその話かとばかりに少し怒ったように言った。
「で、でももう結構大丈夫そう…」
「お前の「大丈夫」は一切聞かねぇ」
言葉の途中で言葉を被せられ全否定された。
「この間だって俺たちが戻んなかったらどうなってたと思ってんだお前。
もう絶っっっ対お前が退院するまではここを離れねぇからな」
「…はい…ごめんなさい…」
ユーリが怒っているのもわかるような気がしてフレンは気まずそうに謝った。
「……んで、エステルはいつまでここに居んだ?」
少し言いにくそうに言ったユーリの言葉にエステルは首を傾げる。
「へ?あ、何かまずいでしょうか…」
「まずいっつーかさ…ちょっとフレンと二人きりで話したいことがな…」
「僕にはないけど」
「俺にはあんだよっ」
きっぱり話はないと即答されてユーリは少し傷付いた。
「あ、そういうことでしたら…」
ガタリと座っていた椅子から立ち上がる。
「では私は失礼しますね、ごゆっくり」
ぺこりと一度頭を丁寧に下げて部屋から出て行った。
「…それで?話って?」
「…あ~…えっと…」
気まずそうにユーリが言葉を紡ぎだした。
エステルはリタに「初めての同年代の友達」って言ってたんですが
じゃぁフレンは一体なんなの!?ってことで。
リタは同性の友達ってことでしょう、とか勝手に解釈。
フレンのことは当時は優しいお兄さんとか思ってたらいいです。
昨日眠いとか言っといてユリフレ小説サイトさま徘徊して寝たの3時半とか…
今日休みだったから羽目はずしてみた!!
明日はまた朝早いから早く寝なきゃ~~
あぁユリフレ補充したい。
そういえばバサラ3がもうすぐ発売ですね。
んでそのすぐ後になりダンが発売…
やばい急がしすぎるよ!!
「フレンっ!!!」
部屋の扉がバタンと無遠慮に開かれたと思ったら次の瞬間には視界は黒で埋め尽くされていた。
頭を抱えられているような感覚に抱きしめられていると理解する。
震えているのがわかる。
「…泣いてるの?」
「…泣いてねぇよ…」
一層力を入れて抱きしめられる。
「心配かけてごめん」
「…ここ来たときに…護衛兵倒れてるし…部屋入ったら血まみれのお前が倒れてるし…」
「…あ、そういえばソディアは…」
「…あの姉ちゃんならお前の側で倒れてた…怪我とかはなかった」
「そうか…良かった」
「良かった!?」
ユーリがばっと離れて肩を強く掴む。
目にはうっすら涙を浮かべていた。
「良くねぇだろ、死にかけたんだぞ」
「あぁそうか…そうかも…」
「そうかもって…お前な…」
ユーリが何を言いたいのかはわかっているつもりだ。
「大丈夫、今回は死のうとは思ってなかったから。
だって身を呈して守った相手に怪我でもされてたら合わせる顔がないじゃないか。」
「…だからってな…ちょっとは自分のことも考えろっての…」
ユーリが怒ったように言うが顔は心配しているそれで手は優しく頭を撫でた。
支離滅裂だ。
しばし頭を撫でる気持ちいい感覚に身を委ねているとユーリが突然何かを決めた。
「俺決めたからな!」
「は?何を?」
主語なく宣言されてもこっちはついていけない。
「お前の怪我が完全に治るまでここから離れない!」
「な…そんなの無理に決まってるだろ…君にも仕事があるじゃないか…」
「じゃあお前から報酬貰う」
「目茶苦茶だよっ!」
思わずツッコミを入れる。
「お前がこんな状態でいつ命狙われるかわかんねぇのに心配で仕事どころじゃねーよ。
それならここにいた方がずっと安心だろ?」
あっけらかんと言い放つユーリにフレンは目を点にしてしばし固まっていた。
「そっそんな依頼絶対出さないよ!?」
「んじゃあ俺が出すわ」
「は!?」
「俺が凛々の明星に依頼出す。」
「な…」
「もう諦めろって。屁理屈ではお前に負ける気しねぇ」
「…………。」
フレンはもう言い返すことすらしんどくなった。
こうなったらこっちの言うことなんて絶対に聞いてくれないのだ。
…はぁ、と大きく一つ溜め息をつく。
「わかったよ…好きにしてくれ」
「お前に言われなくても俺は好きにするぜ?」
ニヤリと口の端を上げられてこちらはへの字に下げた。
本当、口では勝てる気がしない…
そんなやり取りの中でも休まず頭を撫で続けてくれていた手の感触が心地好くて
フレンは静かに目を閉じる。
「少し眠くなってきた…」
「寝ろよ、ずっとここに居てやるから」
「…うん…お休み…」
「お休み」
「……」
「………」
額に何かが当たる感触がした。
「…今キスしただろ…」
目を閉じたままだが憮然とした声で言った。
「よく眠れるおまじないってやつだ。」
「…子供じゃないんだから…」
「昔はこうしないと眠れないっつってたろ?」
「…だからもう子供じゃないの……も、いいよ、寝る。」
諦めて口を閉じた。
寝返りをうってそっぽを向きたいところだったけど傷口が痛むので動けなかった。
ユーリにずっと見詰められている感覚が少し恥ずかしくて意識してしまうのだけど
心地好いリズムで撫でられる感触に眠りへと誘われた。
こんなに気持ち良く眠れたのはいつ以来だろう…
深く深く夢の中へ落ちていった。
ダメだ…眠すぎる…。
眠すぎて最近眠いしか書いてない何この日記…。
あと2回で終わります。
とりあえずこっちを終わらせてあとはひたすら「最後の世界」を更新していきたいと
思いますよ~~
次の連載がつっかえてるので(笑)
あと「最後の世界」ですが全58話とか言ってましたが壬の番号が間違っていまして…
59話が正解でした~~
よろしければお付き合いくださいませ。
「…ん…」
かすかに意識が戻ってゆっくり目を開ける。
「フレン!」
「……エステリーゼ…さ、ま…」
エステリーゼはフレンの手を握り目に涙を浮かべていた。
「…どうして…」
「ユーリが…嫌な予感がするって…引き返すってきかなくて…それで…戻ったらフレンが…う…」
ついに耐え切れずに泣き出してしまった。
さすがにこの心優しいお姫様に血まみれの人間は刺激が強すぎたか…
怖かっただろうに…。
「…すみません…こんな姿をお見せしてしまって…」
見ればエステリーゼの服は血まみれだ。自分の血がついてしまったのだろう。
エステリーゼの疲労の様子から一晩中治癒術をかけてくれていたとも見れる。
…自分がどれだけ眠っていたのかはわからないが。
「あ、エステリーゼ様はお休みになってください。もう大丈夫ですので…ありがとうございます」
「いっいえっ私なら大丈夫ですっ」
「何言ってんのよ!そんなフラフラしてっ」
リタがエステルの頭をコツンと叩く。
「あんた寝ずに治癒術使ってたんだから疲れてて当然でしょ!?
遠慮せずに休めばいいのよっもう大丈夫だって言ってるんだしっ」
リタがエステルを心配して言う。
「でもフレンは大丈夫じゃないときでも大丈夫って言うってユーリが…」
「そうかもしれないけど今はあなたは休んだ方がいいわ。
肝心な時に倒れでもしたら…今は大丈夫なようだし休める時には休むのが得策よ」
ジュディスもリタの肩を持つ。
「…わ、わかりました…フレン、何かあったら遠慮せず起こしてくださいね?」
「ありがとうございます、エステリーゼ様」
ふわりと笑顔を見せると漸く安心したのかエステリーゼも同じように優しく微笑んだ。
リタに連れられ隣の病室で休むことになったエステルが部屋を出て
この部屋にはジュディスとフレンの二人になった。
「…あの…他の皆は?」
「ユーリならここにいられると心配なのがエステルにまで伝わって落ち着けないから追い出したわ」
にっこり笑って言う。
「…そう…」
皆と言ったのにユーリのことしか言わないジュディスに苦笑する。
「あら、ユーリのことが聞きたかったのでしょう?」
違ったかしらとわざとらしく傾げられる。
カロルやレイウ゛ンのことも気になったのは確かなんだけど。
「呼んでくるわね、あなたが目を覚ましたこと早く教えてあげないと可哀相だから」
クスッと微笑んでゆっくりした動作で部屋を出る姿は
とても「可哀相」などと思っているようには思えなかった。
しかしそのジュディスが部屋を出て数分後、部屋の扉は無遠慮にバタンと開かれた。
「フレンっ!!」
カツン…
かすかな金属音がした。
そのごく小さな音を聞いたフレンは
「来たか…」
と呟く。
ゆっくりと扉が開かれる。中を伺うように。
側に置いてあった剣にそっと手を伸ばす。
ヒタヒタとそれが近付いてくる。
カーテンごしに影が映り込む。
一瞬の沈黙の後カーテンごと切り裂く銀色が月の光を受け弧を描きながら振り下ろされる。
それを手に取った剣で受ける。
キンッ
金属同士がぶつかる音が響く。
「…生きていたか…フレン・シーフォ!」
「また君か…来るとは思っていたけど」
半身を起こした状態の態勢の悪さでは敵の攻撃を真正面から受けるのはキツイ。
ぐっと力を入れてそれを弾く。
じわりと傷口が開いてシャツに血が滲む。
「くっ…!」
痛みに顔を歪めながら相手を睨むように観察する。
間違いなくあの日この傷を負わされた暗殺者だ。
生きていることが知られれば再度仕掛けてくることはわかっていた。
今まで意識を失ってはいたがユーリがずっと側についていてくれたみたいだから
敵も迂闊に仕掛けられなかったのだろう。
最初の金属音は見張りの兵が倒された音、無事だろうかと瞬間考える。
だがすぐに思考を戻し男に集中する。
怪我を負ったこの状態でまともに戦えるだろうか。
血の染みはみるみる拡がっていく。
血を止めるように傷口を力任せに掴んだ。
ドクンドクンと脈打つそれは心臓の音か、それとも傷口が疼くのか。
血は止まるどころか手を伝ってポタポタとシーツを汚した。
長期戦は明らかにフリだ。
ギラリとすぐにでもけりを付けようとした瞳に気が付いて暗殺者がクククッと笑う。
「今日はこの間とは違うみたいだなぁ…」
この間…剣も抜かずに死のうとしたあの時。
「そうだね…あの時の原因に僕が生きていて良かったと言われたから…」
彼の言葉に生きるも死ぬも左右される自分に苦笑しながら言った。
右手に持った剣がいつもより重く感じられてカタカタと震える。
目も霞んできた。思ったよりも血を流しているらしい。
いよいよ急がなければならなくなってきた。
なかなか仕掛けて来ない相手に剣を向け続けるのは体力的に無理があった。
そしてこの男は仕掛けてはこないだろうと確信していた。
こうやって立っているだけで相手はドンドン勝手に体力を消耗させて死に近付いて行く。
それならそれを待っていた方が確実にとどめをさせるのだ。
こいつを倒すならこちらから仕掛けるしかない。
体力の全てをかけて相手に一太刀入れるしか方法はない。
ぐっと手に力をこめる。
この出血量から考えてもチャンスは一回…ミスは出来ない。
相手の隙を伺う。
「…仕掛けてこないのか?」
こちらの意図などお見通しだとばかりに暗殺者が挑発する。
「仕掛けるよ…」
一言呟いた。
ばれていようがなかろうがそれしか勝機はないのだ。
じっと相手の出方を伺う。
その時だった。
「団長!ご無事ですか!?」
ガチャッと扉が開かれる音がする。
この声には聞き覚えがある。
「来るなっ」
フレンは咄嗟に叫ぶ。
「見張りの兵が倒れて…」
「ソディアっ!!!!」
暗殺者が殺気を放ちながらソディアの方に振り返る。
暗殺者の的は最早この緊張感を邪魔したその人物に向いていた。
ソディアに向かって剣を振り上げる暗殺者、
最後の力を振り絞ってそこへ駆け寄る。
全てがスローモーションに見えた。
目の前に鮮血がとぶ。
剣はベッドの上に置いてきていた。
重たい剣を持っていては間に合わないと瞬時に判断したから。
剣も盾もないこの状況下で部下を守ることが出来たのは
己の身体のみだった。
左肩から右脇にかけて切り裂かれ血を吐いた。
「フレン様っ!!!」
泣き叫ぶようなソディアの声が病室に響き渡る。
グラリと倒れる瞬間ソディアの腰にあるホルスターから剣を抜き取り暗殺者を突き刺した。
それは意識したものではなく体が勝手に動いた反射的な動きで
予見出来なかった男は避けるそぶりさえ見せなかった。
「う…がふっ」
心臓を突かれた男はがくりと膝から崩れて倒れた。
あの時反射的に斬ってしまったのは商人であった男性だった。
だが今は目の前のこの男を斬ることによりソディアを助けることが出来た。
心のつっかえが取れたように安心した顔を浮かべて
フレンはその場に倒れた。
「ユーリ!」
「よぉ、久しぶりだなカロル」
数日ぶりの再会に駆け寄ってくるカロルの顔を見てふわりと微笑んだ。
「その様子だと…フレン、大丈夫だったんだね」
こくりと頷いてやるとカロルも安心したように微笑んだ。
「そっちはどうだった?」
「うん、資材の受け取りは完了したよ、あとはお店に納品するだけ」
カロルたちはユーリと別れて仕事をしていた。
フレンのことは心配であったけど仕事を滞らせるわけにはいかない。
「そか。悪かったな、まかせて」
「ううん、簡単な仕事だったし大丈夫だよ。」
その返事にユーリも安心したように微笑む。
「じゃあ僕もフレンに会いに行ってくるね」
早く元気な顔が見たいのかカロルは走り出したいのを我慢しながらユーリに言った。
ぽんと頭を叩いてやると待ってましたとばかりに駆け出した。
ユーリが病室に行くとそこはもう満員でフレンの周りには心配する顔や安心した顔が並んでいる。
「もうっホントに心配したんですよっ」
「でも無事で良かったじゃない」
「そうだねっもう大丈夫なんでしょ?」
「まったく人騒がせなんだから…」
「あら、そういうリタが一番心配していたように思うのだけれど?」
「なっう、うるさいわよっ別に私は何も心配なんかっ」
「そうよね、絶対助かるって自分に言い聞かせてたものね」
「あっあんた聞いてっ!?」
エステリーゼが心配して
おっさんが飄々としているようで内心ほっとして
カロルが心の底から喜んで
リタが赤くなって
ジュディスがそれをからかう。
そんな仲間に囲まれるフレンを見て
お前だって仲間の一員じゃねーか
と、微笑んだ。
「わっ私なんかよりもっと大変なのがいたでしょ!?」
リタが少し離れて立っていたユーリを見ながら言った。
「あぁ~確かに青年は見てられなかったかも~」
「フレンの横に座ったまま心ここに在らず、でしたね」
「そうそう、ご飯も殆ど食べてなかったし」
「片時だって離れたがらなかったわよね」
「………」
皆が一斉にからかってきたがユーリはどこ吹く風、涼しい顔で聞き流している。
しかしちょっと脚色し過ぎだろ…
飯食ってねぇとか別行動だったカロルが知ってるわけねぇし。
…あんま喉通んなかったのは事実だが。
「あら、言い返さないの?」
ジュディスが期待外れとばかりにがっかりした声を出した。
「ま、心配してたのはホントのことだしな。」
あっさり認めてフレンの方を見るとこちらも少し驚いたように目を見開いていたが
ふと悪戯を思い付いたように笑った。
「とても心配してくれてたみたいだね。安心して腰抜かしてくれたくらいだもんね」
「……」
やっぱりな、これで当分笑われるんだろな、俺。
さすがにユーリが顔をしかめるとカロルたちも
「えーっユーリ腰抜かしちゃったのー!?」
「あんたどんだけなのよそれ」
とからかってきた。
でもフレンがクスクスと楽しそうに笑ってるからまぁいいかと周りの声も黙って聞き流すことにした。
楽しい時間はあっというまに過ぎるもので。
空も大分暗くなってきたのでカロルたちはそろそろ行こうかと立ち上がる。
「じゃあ、僕たちそろそろ行くね」
「うん、わざわざ来てくれてありがとう」
フレンもにっこり微笑む。
「ユーリも。行ってくれ。」
「は?いや、俺は…」
唐突に言われた言葉にユーリは慌てて拒否しようとする。
「僕はもう大丈夫だよ。いつまでも仲間にばかり働かせてちゃ悪いだろ?」
「……。」
「え、い、いや…それは…でも…ユーリがいると…心強いけど…」
カロルがごにょごにょと言いながらユーリを見る。
「………。」
ユーリはフレンから目を離さない。
「何考えてる?」
「何も?ただもう大丈夫だから居てもらってもしょうがないかなって。
後のことはソディアたちに頼むから。」
「………。」
「心配なのはわかるけどさ、顔見たくなったらバウルで戻ってもらえばいいじゃない」
リタも説得する。
「……フレン」
フレンは何も言わずに優しく微笑んだ。
「……わかった。」
「じゃぁユーリも一緒に…!」
なんだかんだで嬉しそうにカロルが言う。
ユーリは最後まで目を離さずにフレンを見ていた。
ただじっと。
離れたくないと気持ちをその瞳が語る。
「ユーリ?」
カロルは微動だにしないユーリに尋ねる。
「ん、あ、いや、なんも。」
そう言いながらも目はじっとフレンを見つめる。
「…ユーリ、ずっと側にいてくれてありがとう。ホントに嬉しかったよ」
フレンがにっこりと笑う。
ユーリはその笑顔もはかないような気がして目を離せられなかった。
扉を閉める最後の最後まで。
その夜起こるであろうことを予想してフレンは目を閉じた。
この回は大分修正しました…。
実はこの話全19話なのでもうすぐ終わりです。
修正が普通に入るだけならば…ですが。
まぁ話数が伸びたりする大幅な修正はないと思…いたいんですが…;
ちなみに「最後の世界」は全58話です。
どっちもなんて中途半端…っ!!
その後の連載の方もすでに書き始めていたりします。
この2つが終わったらまた新しいの始めようと思います~~。
ユリフレ愛。
「君がそれを言うのか…?」
「は?」
信じられないと言った表情で見詰めてくるフレンにユーリはわけがわからないと声を漏らした。
「先にいらなくなったのは君の方じゃないか…!」
ガバッと起き上がったフレンは胸部を襲った激痛に顔をしかめた。
「っう…っ」
「おまっだから大人しくしてろって…」
「っ触らないでくれっ!」
触れようとした手は強い語調と睨まれた瞳にビクリと動きを止めあてもなく宙をさ迷った。
「信じられないっ君がそんなことを言うなんてっ」
「さっきから何言ってんだよ意味わかんねーよ!」
「君はもう大分前から僕のことなんていらなかったじゃないかっ」
「はぁ!?誰がんなこと言ったよ!?」
「騎士団に入ったくらいからっ……君は一人で悩む様になったじゃないか…」
「…何の話だよ」
「勝手に悩んで勝手に辞めて…何も相談してくれもせず…っ
君は僕があの時どんな気持ちだったかわからないだろう!?あの時どれだけ寂しかったかっ!」
目からボロボロと大粒の涙を零しながら訴えられた。
まずい、と思った。
本気で怒らせてしまった…
いや、しまっていた。
一体いつからそんな気持ち隠してきた…?
「も、わかったから少し落ち着けっ傷が開くだろ!?」
「ギルドなんか作って…下町から出てって…世界救う旅までして…」
「いやその旅にはお前も一緒にいただろ?それに別に世界を救おうだとかそんな大義名分はなくて…」
「そんなこと言ってるんじゃないよっ君はもう僕に何も言わなくなったじゃないかっ
君の方がいらないんじゃないかっ僕のことなんて…っ」
「……っ」
ユーリははっとした。
フレンが言う寂しさとは今まさに自分が感じているそれなのだと。
一人で抱え込んで誰にも言わず悩んで悩んで悩んで…
それなら自分に打ち明けてくれればよかったのに、何かしてやれたかもしれないのにと
思うその寂しさをもうずっと前から感じていたのか。
それなら言ってやればよかった。
一言、理由を。
「そんなん…恥ずかしくて言えるか…」
「……?」
小さすぎた告白は聞いてもらうことが出来なかった。
「は、恥ずかしかったんだっつのっお前に…そういうの改めて相談するのなんかっ
かといって他に相談する奴もいなかったけどな!」
仄かに赤くなってきた顔を見てやろうと目を拭っていたら見せて堪るかとばかりに抱きしめられた。
「あ、動けた…」
「ぃ、いいい痛いユーリっ…って何?」
意味のわからない言葉を口にしたユーリにどういう意味だとキレ気味に聞き返した。
「…さっきまで…お前が目、覚ました安心感で腰が……」
「腰が?」
途中で言葉を止めてしまったユーリは今度こそ顔をボッと赤くした。
「いっいやっ何もっそっそそそういやお前が起きたら医者呼ぶように言われてたんだっ」
離れて行こうとした温もりを無意識にぐっと掴んだ。
「…フレン…?」
「……?あ、ごめん。」
パッと手を離して反射的に謝った。
しかしその手はまた握り締められた。ユーリの手に。
真正面から熱く見詰められてそれだけで頭が沸騰しそうだ。
悔しい…どうしてこんなに好きなんだろう…。
「…お前のこと…必要ねぇなんて思ったこと…今まで一度だってねぇよ…」
「……もっと早く言ってくれ。」
「…俺にはお前が必要だ。お前じゃないとダメだ。…ダメか…?」
首を傾げて尋ねてくるユーリを見て、プッと吹き出してしまった。
「僕も…君がまだまだ必要みたいだ」
フレンもユーリににじり寄って額を肩に乗せた。
「……本当はまだ色々納得いかないとこあるけど…
腰抜かすほど喜んでくれたんだったら…今は許してあげるよ…」
ククッと笑いを堪える振動が肩ごしに伝わる。
「サンキュ」
ユーリはフレンの頭をそっと撫でて抱きしめた。
野球見てたら時間が遅くなった…。
あと1点…1点だったのにっ!!
まさかの延長12回の攻防。
「あれ?あそこにいるのフレンの…」
カロルが指したその先には副官のソディアが何やら騎士たちと話している。
その表情には疲労の色が滲み出ているように見える。
ユーリたちは倒れた店主の代わりに店に商品の仕入れをすることを申し出たのだ。
幸い仕事を請け負っていなかった凛々の明星はそれではお願いしますと
頭を下げた奥さんの依頼で仕事中なのである。
と言っても商品の仕入れ先は主人しか知らないことらしく
病院まで聞きにきたのだがそこでソディアを発見したのだ。
ただならぬ様子に思わず声を掛けた。
「よぉ、どうしたんだ?」
「!ユーリ殿っ良かった…っ連絡がつかないのでどうしようかと…」
「は?俺になんか用か?」
ソディアの顔色は近くで見るとより悪いことがわかる。
「団長が…何者かに刺されて今この病院に…っ」
「!?」
ユーリは心臓を鷲掴みされたような衝撃を感じた。
誰が…刺されたって…?
認識を拒否する脳はうまく言葉を処理出来ない。
「3日程前巡回に出たきり帰って来ない団長を捜していたら路地で倒れているのを見付けて…」
「………」
3日も経って少し落ち着きを取り戻してきたソディアが少しずつ説明する。
逆に今聞いたばかりのユーリは青い顔をして今にもふらりと倒れてしまいそうだ。
「どうして…隊長は帯剣していたにも関わらず剣を抜いた様子は見られませんでした
…それ程の手連にやられたということなのでしょうが…」
「今も治療を施されているのですが…もう3日も昏睡状態で…」
次々に入ってくる情報を処理するのにやたらと時間がかかる。
ソディアの説明の途中はっとしたユーリが突然ソディアの肩を掴んだ。
それはもう強い力で。
「どこにいるっ!?」
「こ、ここの廊下を真っ直ぐ行って左に曲がったところに…」
「っ!」
皆まで聞くことなくユーリは乱暴にソディアから手を離すと猛ダッシュで言われた方へ走って言った。
フレンの病室の前には騎士が立っていてすぐわかった。
「なんだ貴様っ」
物凄い勢いで駆けてきた青年を警戒するのは当然だ。
「どけよっ!」
ユーリはその騎士を軽く蹴散らしバタンと扉を開けた。
そこには見慣れた顔が静かに眠っていた。
ゆっくりゆっくり近付いてベッドの脇で膝からガクリと力を抜いて膝立ちの状態で
そのベッドに眠る人物を見る。
見慣れているはずのその顔は穏やかに眠っていてまるで死んでいるようだとゾッとした。
それからユーリは部屋から殆ど出ることなくフレンに付き添った。
2日程経った頃ソディアが言った。
「ユーリ殿がフレン様に会いに行って下さったので…安心してしまっていました…
フレン様…凄く悩んでおられたから…」
「………。」
ユーリはフレンの顔をじっと見つめながらソディアの話を静かに聞いていた。
「いくら襲われたとは言え、民間人を反射的に斬ってしまったことを…」
耳に入ってきた言葉の違和感に少し時間が経ってから気付く。
「……ちょっと待てっ襲われた?あんた公務執行妨害だとか言ってなかったか?
それにあの人も一方的にって…っ」
それを聞き返されたソディアは驚いたように目を見開いた。
「…聞いていないのですか…!?」
そこでソディアが話した内容はフレンが数日前自分に伝えようとしていたそれだった。
何故聞いてやらなかった!?
権力がフレンを変えたなんて勝手な妄想が広がって
ソディアや主人の話を真に受けて全く聞いてやらなかった自分を殺したいと思うほど憎んだ。
フレンの辛そうな顔はこの目にちゃんと映っていたはずなのに…
当分会えていなかったその距離を感じてしまって
知らない奴になってしまったんじゃないかと勝手にうろたえた。
昔なら簡単に信じてやれただろうに
変わったのはフレンじゃない、
自分の思いだった。
「まぁしょうがないよね、皆魔導器が無くなって不便になったのをどこかに発散したいんだよ」
「どうして俺に言わなかったんだよ…」
「言ってもどうにもならないことってあるじゃないか…。」
「っけど」
「ありがとうユーリ、でも僕も君に甘えてばっかりいられない。君には君の世界があるし僕にも僕の仲間がいる。」
「…じゃあ…俺はもういらねぇか…?」
言われた言葉にフレンは息を詰まらせた。
門番交代いたしました!!!
更新履歴見てみますと…どうやらスタン殿3年近く番をしてくださってたようで…www
リメDが出たときに描いたものなのでそんなくらい経ってるかな…って納得。
大体Dのイラストないのに何故門番だけがスタンなのだと…www
当サイトの七不思議のひとつです(笑)
そういえば昨日Pのクロスエディション体験版をダウンロードしまして遊んでたんですが。
通常攻撃が1回増えたのは大変喜ばしいことなんですが…
頼むから通常攻撃でTPを回復させてくれ!!!!
Pの悪いところは技使う回数が限られてるところですね。
近くに完全回復ポイントないとあんまり技仕えない…。
アーチェとか特に。
クレスが技を自重するとモーリア坑道が大変なんだよ~~(他キャラのTPの都合が。)
なんかやばいときはミントのタイムストップという名の鬼畜技で切り抜けていた気が…。
基本的に道具は使わない壬です。グミも出来るだけ食べたくないんですよ~~。
なんとかしてバンナム~~~っ
あ~なんか思い出します。青春。
やっぱりPは壬にとって特別です。
チェスアーイベントが増えていたらいいなぁvvv
それにしてもやはりマニュアルクレスのジャンプ斬り無双は健在だったwww
